がん治療で後悔しないために

主治医に必ず確認すべき5つのポイント

がんと診断されると、多くの方が強い不安や焦りを感じます。治療を急ぐあまり、必要な情報を十分に得られないまま治療が始まってしまい、後になって「もっと確認しておけばよかった」と後悔される方も少なくありません。

本来、がん治療において患者さんが主体的に治療法を選択するためには、主治医と適切にコミュニケーションを取り、必要な情報をしっかり確認しておくことが欠かせません。しかし実際には、「医師に質問しにくい」「説明を聞いても難しくて理解できるか不安」と感じ、重要な点を聞けずに終わってしまう方も多く見受けられます。

そこで本記事では、がん治療で後悔しないために、最低限これだけは確認しておくべき5つの項目を丁寧に解説します。外来でうまく質問できるよう、メモに書いて持参したり、ご家族と一緒に受診したりするなど、質問しやすい環境づくりもあわせておすすめします。

1.がんの部位(臓器)と進行度(ステージ)を正確に把握する

1.がんの部位(臓器)と進行度(ステージ)を正確に把握する

当たり前のように思えるかもしれませんが、実は自分のがんのステージを知らないまま治療を受けている患者さんは少なくありません。
ステージは、がんの治療方針を決める上で非常に重要な情報であり、これを知らないと自分で治療について調べたり、理解したりすることが極めて難しくなります。

なぜステージを知ることが重要なのか?

  • 治療法の選択に直結するから
  • 予後(将来の見通し)を理解するため
  • 他の医療機関でセカンドオピニオンを受ける際にも必須情報だから

ステージは、がんの大きさ、周囲の組織への浸潤、リンパ節転移、遠隔転移があるかどうかをもとに決められます。
主治医に確認する際は次のように聞くとよいでしょう。

「私のがんはどのステージで、その根拠はどの検査結果ですか?」

根拠まで理解できれば、不安は大きく減ります。

2.主治医が勧める治療法と、その代替治療法を確認する

2.主治医が勧める治療法と、その代替治療法を確認する

医師から治療法を提示されたとき、多くの方は「そういうものなのだ」と受け入れてしまいがちです。しかし、どのがん治療にも必ず複数の選択肢があり、主治医が提示していない治療法が存在する可能性もあります

たとえば、

  • 手術が勧められたが、放射線治療という選択肢もある
  • 抗がん剤治療の種類は1つではない
  • 新しい治療や臨床試験が利用できる可能性がある

など、さまざまなパターンがあります。

質問例

  • 「この治療を勧める理由と、そのメリット・デメリットを教えてください」
  • 「この治療以外の可能な選択肢はありますか?」
  • 「それぞれの治療法の効果やリスクの違いは?」

治療法を比較できることで、自分にとって納得できる選択をしやすくなります。

3.治療の目標(ゴール)を明確にする

がん治療には、目的によって大きく3つの方向性があります。
主治医と患者が治療の目的を共有していないと、後になって「こんなに負担が大きいとは思わなかった」「思っていた治療効果と違った」と後悔につながることがあります。

がん治療の3つの目標

  1. 根治(がんを完全に治し、再発を防ぐこと)
    手術や高精度放射線治療などが選択される。
  2. 延命(がんを完全に治すことは難しいが、状態を安定させ長く過ごすことを目指す)
    抗がん剤、分子標的薬、免疫療法などを組み合わせる。
  3. 緩和(症状を和らげ、生活の質の向上を目指す)
    痛みや呼吸苦の改善、体力維持、生活支援などが中心。

これらはどれが正解というものではなく、患者さんの価値観や生活の優先順位によって選択すべき治療が変わります

確認すべき質問

  • 「この治療の目的は、根治・延命・緩和のどれに当たりますか?」
  • 「治療成功の判定基準は何ですか?」

目的を知ることで、治療の意味や期待できる効果を正しく理解できます。

4.治療のリスク(副作用・合併症・後遺症)を事前に確認する

4.治療のリスク(副作用・合併症・後遺症)を事前に確認する

どのような治療にも、必ずリスクがあります。
がん治療では特に、手術の合併症や抗がん剤の副作用が生活の質を大きく左右することがあります。

確認しておきたいリスクの例

  • 抗がん剤による吐き気・脱毛・倦怠感
  • 放射線治療による皮膚炎や臓器障害
  • 手術に伴う合併症(感染、出血、麻痺など)
  • 取り返しのつかない後遺症の可能性

リスクを理解していないと、不測の事態に直面したときに大きな不安を感じたり、治療を途中でやめたくなったりすることがあります。

質問の例

  • 「この治療の主な副作用と、その頻度はどれくらいですか?」
  • 「副作用が出た場合にどのように対処できますか?」

リスクを知ることは、恐れることではなく“備えること”につながります。

5.治療がうまくいかなかった場合の次の選択肢を確認する

意外と見落とされがちですが、がん治療において「効かなかった場合の選択肢」を知っておくことは極めて重要です。
がん治療は100%成功が保証されるものではなく、治療効果が乏しい、あるいは途中で治療方針を変更する必要が出てくることもあります。

確認すべきポイント

  • 次に選べる治療法はあるのか
  • どの時点で治療効果が「効いていない」と判断するのか
  • 治療が難しくなった場合に利用できる緩和ケア体制はあるか
  • 臨床試験や新薬の選択肢はあるか

治療の全体像を理解しておくことで、「行き当たりばったりの治療」ではなく、将来を見越した計画的な治療が可能になります。

後悔しない治療のために

がん治療で後悔しないために、以下の5つは最低限確認しておくことを強くおすすめします。

  1. がんの部位・進行度(ステージ)
  2. 主治医が勧める治療法とその他の選択肢
  3. 治療の目標(根治・延命・緩和)
  4. 治療のリスク(副作用・合併症・後遺症)
  5. 治療がうまくいかなかった場合の対応策

質問しにくいと感じる場合は、メモにして持参する、家族に同伴してもらうなど、サポートを得ることも大切です。
患者さん自身が正しく情報を理解し、自分で納得して選んだ治療は、治療への前向きな姿勢にもつながり、結果的に治療の質を高めることにもつながります。