第4のがん治療「免疫チェックポイント阻害薬」は自分のがんに使えるのか

近年、「第4のがん治療」として注目されている免疫チェックポイント阻害薬は、がん医療に新たな可能性をもたらしています。これまで主流であった手術・放射線治療・抗がん剤治療に続き、患者さんの体内に備わっている免疫の働きを最大限に引き出すことで、がん細胞を攻撃させる画期的な治療法です。日本でも次々と新しい薬剤が承認され、適応となるがんの種類も広がりつつあります。

免疫チェックポイント阻害薬は、従来の「免疫療法」とは異なる仕組みで効果を発揮します。がん細胞は、本来であれば免疫細胞に攻撃される存在ですが、自らを守るために“免疫のブレーキ”を押す仕組みを利用して免疫からの攻撃を逃れています。免疫チェックポイント阻害薬は、このブレーキを解除し、免疫細胞が持つ本来の力を取り戻す薬です。一部のがんでは高い治療効果を示し、いったん効果が現れると比較的長く持続することも明らかになっています。これまで効果的な治療法が限られていた患者さんにとって、非常に期待される選択肢となっています。

しかし、「自分のがんにも使えるのだろうか」と疑問を持つ方は少なくありません。ここでは、代表的な免疫チェックポイント阻害薬と、それぞれが現在どのがんに対して使用できるのか、分かりやすくまとめます。

代表的な免疫チェックポイント阻害

代表的な免疫チェックポイント阻害

現在広く使われている免疫チェックポイント阻害薬は、主に以下の3つに分類されます。

  • ニボルマブ(オプジーボ):PD-1を標的とする抗体
  • ペムブロリズマブ(キイトルーダ):同じくPD-1を標的
  • アテゾリズマブ(テセントリク):PD-L1を標的とする抗体

PD-1とPD-L1はいずれも、免疫の働きを抑制する“ブレーキ”として作用する分子で、これらを阻害することで免疫が活性化され、がん細胞が攻撃されやすくなります。

ニボルマブ(オプジーボ)が使われる主ながん

最も広く知られるニボルマブは、多くのがんで保険適用が進んでいます。

  • 悪性黒色腫(メラノーマ、術後補助療法を含む)
  • 非小細胞肺がん(2次治療)
  • 腎細胞がん
  • ホジキンリンパ腫
  • 頭頚部がん
  • 胃がん(3次治療以降)
  • 悪性胸膜中皮腫
  • 食道がん
  • MSI-Highの結腸・直腸がん

このように幅広いがんに対し使用が認められており、特に治療選択肢が少ない患者さんに新たな道を開いています。

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)が使われる主ながん

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)が使われる主ながん

キイトルーダも使用範囲が広く、以下のがんで使用できます。

  • 悪性黒色腫(術後補助療法を含む)
  • 非小細胞肺がん(化学療法併用を含む)
  • ホジキンリンパ腫
  • 尿路上皮がん(腎盂・尿管・膀胱がんなど)
  • MSI-High固形がん
  • 腎細胞がん(アキシニチブとの併用)
  • 頭頚部がん
  • 食道扁平上皮がん

特に注目されているのがMSI-High固形がんへの適応です。
MSI-Highとは遺伝子修復機能が欠損し、変異が非常に多いがんのタイプを指します。変異が多いがんは、免疫細胞に発見されやすい「ネオアンチゲン(がん特異的な目印)」を多数持っており、そのため免疫チェックポイント阻害薬が高い効果を発揮しやすいとされています。

アテゾリズマブ(テセントリク)が使われる主ながん

アテゾリズマブ(テセントリク)が使われる主ながん

アテゾリズマブはPD-L1を抑制するタイプの薬で、次のがんに適応があります。

  • 非小細胞肺がん(1次治療、2次治療、化学療法併用)
  • 進展型小細胞肺がん
  • トリプルネガティブ乳がん
  • 肝細胞がん

肺がんを中心に幅広く使用され、乳がんや肝臓がんにも適応が広がっています。

「適応がある=誰でも使える」わけではない

ここで重要なのは、あるがんに対して「適応がある」とされていても、すべての患者さんが使用できるわけではないという点です。

多くの薬には、
「化学療法後に憎悪した」「進行・再発」「根治切除不能」
といった条件がついています。

つまり、まずは従来の標準治療を行い、効果が乏しかった場合に次の選択肢として免疫チェックポイント阻害薬が使用されることが一般的です。

治療の順番や組み合わせは、がんの種類、進行度、遺伝子の特徴、全身状態などにより大きく異なるため、主治医との相談が欠かせません。
特にMSI-Highの検査が必要となる場合もあり、検査結果に応じて使える薬が決まることもあります。

まとめ

免疫チェックポイント阻害薬は、「第4のがん治療」として大きな期待が寄せられている革新的な治療法です。ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブの3剤を中心に、対応可能ながんの種類は年々増えています。しかし、適応条件は薬ごとに細かく定められており、誰にでも使用できるわけではありません。

ご自身のがんに使用できるかどうかは、がんのタイプ、遺伝子の特徴、これまでの治療経過など多くの要素が関係します。必ず主治医と相談し、最適な治療方針を共に考えていくことが大切です。