「がん=死」「がん=苦しむ病気」。
多くの人が、がんと聞くと強い不安や恐怖を抱きます。
しかし現在、がん治療は大きく進歩しており、「がん=絶望」という時代ではなくなりつつあります。にもかかわらず、社会には古いイメージや偏った情報が残っており、それが不要な恐怖を生んでいます。
この記事では、「がんは怖くないと言える3つの理由」
について解説していきます。がんを正しく理解できれば、不安は大きく軽減します。備えとしても、必ず役立つ内容です。

世の中の多くの人が持つイメージは、「がん=治らない」「がん=死」というものではないでしょうか。
ドラマでは壮絶な闘病の末に亡くなる姿が描かれ、有名人ががんで亡くなるニュースが流れると「がん=悲劇」という印象が強まります。一方で、がんを克服して元気に暮らしている「サバイバー(がん経験者)」の情報はあまり目にする機会がありません。
そのため、私たちの脳には知らないうちに“がんになると苦しみながら死んでいく”というイメージが刷り込まれてしまっています。
しかし、実際の臨床現場はまったく違います。
● いまや、がんの5年生存率は60%超え
すべてのがんをまとめた平均で、5年生存率は60%以上。
つまり、多くのがん患者さんは治る、もしくは長く付き合いながら生活できる時代になっているのです。
もちろん、がんの種類や進行度によって治療経過は異なります。しかし、少なくとも「がん=すぐ死ぬ病気」というイメージは、現代では完全に当てはまりません。
● がんは“ゆっくり進む病気”。急死につながることはほぼない
脳卒中や心筋梗塞などの病気は、発症したその日に命を落とすことがあります。しかし、がんは違います。
がんは多くの場合、診断から急に命を落とすことはまずありません。
前立腺がんや甲状腺がんなど、悪性度の低いがんはゆっくりとしか進まず、治療をしなくても寿命をまっとうするケースも珍しくありません。
がんは今や、高血圧や糖尿病のような“慢性疾患”の一つとしてとらえる時代になっています。
次に多い誤解が、「がんは痛みと苦しみの病気」というイメージです。
確かに、がんが進行すると痛みが出ることはあります。腫瘍が神経を圧迫したり、骨に転移したり、臓器を巻き込むと痛みが出るからです。
しかし、ここで強調したいのは、現代の医療では、がんの痛みはほぼ完全にコントロールできるという点です。
かつては痛みを我慢しながら闘病する姿が多かったのですが、医療技術の進歩により、その状況は大きく変わりました。
● 「医療用麻薬(オピオイド)」は中毒にならない? → ほぼ誤解です
痛みには、モルヒネなどの医療用麻薬(オピオイド)が効果的です。
しかし、多くの患者さんが次のような不安を持ちます。
これらはすべて誤解です。
適切に使用すれば中毒になることはほとんどなく、麻薬を使うと寿命が短くなるというデータもありません。むしろ痛みが取れた方が、食欲や体力が回復し、結果的に生活の質は大きく向上します。
最近では、がんの早期であっても痛みが強ければオピオイドを使うという治療が一般的になりつつあります。
つまり、“がんで痛みに耐える時代”はすでに終わっているということです。
「がんになったら仕事を辞めなければいけない」
「職場に迷惑をかけるから退職するしかない」
こうしたイメージも根強いものです。
しかし現実には、がんと診断されても働き続ける人は確実に増えています。
● 就労世代のがんは3割以上
がんは高齢患者に多いものの、就労世代(20〜60代)でがんになる人も全体の約3割います。
近年では、
などにより、治療と仕事を両立しやすくなりました。
● 法律もがん患者を守る方向に進んでいる
2016年の改正がん対策基本法により、
が事業主の責務として明記されました。
つまり、がんを理由に退職を強要することは違法です。
社会は確実に、「働きながらがん治療を受けることが当たり前になる時代」へ向かっています。

この記事では、
この3つの“不安の源”を解説してきました。
がんに対する恐怖の多くは、正しい情報を知らないことから生まれるイメージの問題です。
もちろん、がん治療が簡単だという話ではありません。
治療に悩む場面もありますし、副作用もゼロではありません。
しかし現代の医学は確実に進歩し、がんは「怖い病気」から“治療しながら生活していく慢性疾患”へと姿を変えつつあります。
がんについてしっかり知ることは、恐怖を減らし、もしものときの心の備えにもなります。
がんは特別な病気ではありません。
誰でもかかりうるからこそ、日頃から正しい情報に触れ、落ち着いて対処できる心構えを作っておくことが大切です。
がんは「怖くなくなる」病気です。
知ることから、一歩ずつ安心を広げていきましょう。