手術不能?がんの手術(切除)ができない理由とは?

手術不能?がんの手術ができないと言われる理由とは

がんの治療というと、まず思い浮かぶのが「手術」ではないでしょうか。
とくに早期に見つかったがんの場合、手術でがんの部分を取り除くことで、治る可能性がぐっと高くなります。そのため、多くの医療現場では、手術はがん治療の中心的な方法として扱われています。

しかし、すべてのがん患者さんが手術を受けられるわけではありません。医師から「手術はできません」と言われて、驚きや不安を感じる方も少なくありません。
では、なぜ手術ができないと判断されるのでしょうか。今回は、手術が難しいと判断される主な理由を、専門的な言葉を使わずにわかりやすく解説していきます。

1. がんが遠くに広がっているため、取りきれない場合

1. がんが遠くに広がっているため、取りきれない場合

まず大きな理由のひとつは、がんがもともとの場所から離れた臓器やリンパ節まで広がってしまっているケースです。
がんは進行すると、血液やリンパ液を通じて別の臓器に移り住むことがあります。これを「転移」と呼びます。

広い範囲にがんが散らばってしまうと、手術で全部を取り除くことは難しくなります。見える範囲だけ切っても、体のどこかに小さながんが残ってしまう可能性が高いため、手術をしても意味がないと判断されることがあるのです。

ただし、すべてのがんが「転移=手術不能」となるわけではありません。
たとえば大腸がんの場合、肝臓などの限られた場所に移ったがんをまとめて切り取ることで、長生きにつながるケースもあります。がんの種類や広がり方によっては、転移していても手術が選択肢となることもあります。

2. がんが周囲の重要な臓器に深く入り込んでいる場合

次に、がんが周りの大切な臓器や太い血管に深く食い込むように広がってしまっているケースです。

がんが根を張るように隣の組織へ広がってしまうと、その部分だけをきれいに取り除くのが難しくなります。
もちろん、周りの臓器や血管の一部を一緒に取ることで手術ができる場合もあります。しかし、命に関わるほど重要な部分にがんが入り込んでしまっていると、取り除くことによって危険が高まり、手術が現実的ではなくなります。

また、無理にがんを引きはがしたとしても、すぐに再び大きくなってしまう可能性が高いケースもあります。手術をすることがむしろ患者さんの負担になってしまうことがあるため、この場合も手術はすすめられません。

3. 体力が弱く、手術や麻酔に耐えられないと判断された場合

3. 体力が弱く、手術や麻酔に耐えられないと判断された場合

手術ができない理由は、がんの広がりだけではありません。
たとえがんを取り除ける見込みがあっても、患者さんの体力が手術に耐えられないと判断される場合があります。

手術というのは、体にとって大きな負担です。長時間横になって全身麻酔を受け、体を大きく切ったり縫ったりします。心臓や肺、腎臓など、体の機能が弱っていると、その負担に耐えきれない危険が高くなります。

とくにご高齢の方では、手術による負担が治療のメリットを上回ってしまうことがあります。
もちろん「何歳以上は手術不可」という決まりはありません。実際には、年齢よりも、「どれだけ普段の生活ができているか」「持病は安定しているか」などの総合的な判断で決まります。

手術不能=末期という誤解

「手術ができない」と聞くと、多くの患者さんが「もう末期で治療はできないのでは…」と考えてしまいます。しかし、これは間違いです。

手術ができなくても、ほかの治療が十分に効果を発揮することは多くあります。

●抗がん剤や放射線が効くケースも多い

最近では、薬の進歩によって、手術では取りきれないがんが小さくなることがあります。
薬がよく効くと、画像検査で転移部分が見えなくなるほど小さくなることもあります。

このように、薬でがんが縮んだあとに、改めて手術ができるようになるケースがあります。
この手術は「コンバージョン手術」と呼ばれ、近年注目されている治療方法のひとつです。

●無理に手術しないほうが長生きできることもある

一見「手術で取れそう」に見えても、実際には体への負担が大きすぎて、術後の合併症で弱ってしまう例もあります。
こういったケースでは、手術を回避して別の治療を選んだ方が、結果として元気な時間を長く保てることがあります。

自分の状況に納得できないときは、セカンドオピニオンも選択肢に

手術ができるかどうかの判断は、医師によって少し考え方が異なる場合があります。
そのため、主治医から「手術はできません」と言われても、別の医師が診れば「方法はある」と判断されることも、完全にないわけではありません。

もし医師の説明に納得がいかない、もっと自分に合う治療を探したい、という場合は「セカンドオピニオン」を受けることをためらう必要はありません。
複数の意見を聞くことで、自分の中で治療方針に納得でき、安心して治療に進むことができます。

まとめ:手術できない=あきらめる必要はない

まとめ:手術できない=あきらめる必要はない

がんの治療では、手術ができるかどうかは重要なポイントのひとつです。
しかし、「手術不能」と言われたからといって、それはイコール「もう治療ができない」という意味ではありません。

  • がんの広がり方
  • 体力や持病の状態
  • ほかの治療の効果
  • 今後望める治療の選択肢

これらを総合的に考えて、患者さんの人生にとって最も良い方法が選ばれます。

手術ができないと言われたときこそ、落ち着いて情報を集め、自分にとって最善の治療を一緒に考えてくれる医師に相談することが大切です。

どんな状況でも「手術ができない=終わり」ではありません。
治療の可能性は、決してひとつではないのです。