テレビと大腸がん死亡率の関係?

テレビ視聴と大腸がん死亡率の関係とは?日本で明らかになった新たな研究報告

テレビ視聴と大腸がん死亡率の関係とは?―日本で明らかになった新たな研究報告―

私たちの生活に欠かせない娯楽のひとつとして、テレビがあります。ニュースを見たり、ドラマを楽しんだり、リラックスの時間を過ごすために欠かせない存在ですが、実はそのテレビを長時間観る習慣が、大腸がんによる死亡リスクを高める可能性があることをご存じでしょうか。
ややセンセーショナルにも感じられる話題ですが、近年、海外の研究では「長時間のテレビ視聴がさまざまながんのリスクを高める」という報告が多数見られるようになってきました。しかし、これまで日本人を対象としたデータは十分ではありませんでした。

そこで今回、国内の大規模研究によって、日本人においてもテレビ視聴時間と大腸がん死亡率との間に関連があることが明らかになりました。本記事では、この調査結果や考えられる理由について詳しくご紹介します。

日本全国9万人以上を対象とした「JACCスタディ」

今回紹介する研究は、日本全国の40~79歳の男女、9万人以上を対象として行われた「JACCスタディ(Japan Collaborative Cohort Study)」という前向きコホート研究です。この研究では、参加者に対して「1日にどのくらいテレビを見るか」についてアンケートを実施し、約19年間にわたって追跡調査が行われました。

その結果、追跡期間中に749人が大腸がんで亡くなっていることが確認されました。研究チームは、このデータをもとにテレビ視聴時間と大腸がん死亡率との関係を解析しました。

テレビ視聴が長いほど死亡リスクが増加

解析の結果、テレビ視聴時間が長くなるほど、大腸がんで死亡するリスクが高まる傾向が明確に示されました。

1日に1.5時間未満しかテレビを観ない人を基準とすると、

  • 1.5~3時間視聴する人:死亡リスク 11%増加
  • 3~4.5時間視聴する人:死亡リスク 14%増加
  • 4.5時間以上視聴する人:死亡リスク 33%増加

という結果が報告されました。

さらに、テレビ視聴時間が1時間増えるごとに、大腸がん死亡リスクが7%上昇するという関連性も確認されています。
これは海外の研究結果とも一致しており、日本人でも長時間の座位行動ががんのリスクを押し上げる可能性があることが示唆されます。

なぜテレビ視聴時間が長いとリスクが上がるのか?

■なぜテレビ視聴時間が長いとリスクが上がるのか?

長時間テレビを観ること自体が直接がんを引き起こすわけではありません。問題は、テレビを観ている間、多くの場合「座りっぱなし」や「横になったまま」でいるという点にあります。では、なぜ座っている時間が長くなると、がんを含む健康リスクが高まるのでしょうか。研究ではいくつかの要因が考えられています。

① エネルギー消費の減少と肥満・メタボリックシンドロームの促進

座っている時間が長くなると、当然ながら消費エネルギーは低下します。すると、過体重・肥満・メタボリックシンドロームといった、がんのリスク因子になりうる状態を引き起こしやすくなります。

② 不健康な食習慣の増加

テレビを観ながらの時間は、ついスナック菓子や砂糖入り飲料、ファストフードなどの超加工食品を摂りがちです。これらの食品はがんリスクを高める可能性が指摘されており、視聴時間が長くなるほど摂取量が増える傾向があります。

③ インスリン抵抗性の悪化

運動不足によってインスリンが体内で十分に作用しなくなる「インスリン抵抗性」が進むと、血糖の処理がうまくいかなくなります。この状態は複数のがんのリスクと関係があるとされ、座って過ごす時間の長さが悪影響を及ぼす一因と考えられています。

④ 慢性炎症が促進される

身体を動かさない状態が続くと、体内で低度の慢性炎症が進みやすくなると言われています。慢性炎症はがん細胞の増殖を促す可能性があるため、長時間の座位行動はリスク増加につながります。

日本人は座っている時間が世界トップクラスに長い

実は、日本人の座位時間は世界的に見ても長いことがわかっています。
世界20か国の成人を対象に「平日にどれだけ座って過ごすか」を調査した研究では、

  • 世界平均:1日 5時間
  • 日本人:1日 7時間(世界平均より2時間長い)

という結果が示されています。
この「座りすぎ」習慣が、がんを含む多くの生活習慣病のリスクを押し上げている可能性があるのです。

座りっぱなしを減らす工夫を

■座りっぱなしを減らす工夫を

テレビ視聴やスマートフォン、パソコンの使用時間をゼロにすることは現実的ではありません。しかし、座ったままの時間を少しでも減らすことは大腸がんの死亡リスクを下げることにつながります。

たとえば、

  • CMの間に立ち上がる
  • 1時間に1度は少し歩く
  • スマホを見る姿勢をこまめに変える

といった簡単な工夫でも効果があります。

「ながら筋トレ」で気軽に運動習慣を

長時間座ってしまう習慣を改善する方法としておすすめなのが、テレビやスマホを見ながらできる「ながら筋トレ」です。

たとえば、

  • 寝ながら足上げ:仰向けで両足を上げ下げするだけで腹筋や太ももの筋肉に効果的
  • 座ったまま膝を持ち上げる:太ももやお腹まわりの筋肉を刺激
  • 立ちながらかかと上げ:ふくらはぎの血流改善に効果あり

こうした「ながら運動」は日常の中に取り入れやすく、座りっぱなしの時間を減らす助けになります。

まとめ

今回のJACCスタディにより、日本人においてもテレビ視聴時間が長いほど大腸がんの死亡リスクが高まることが示されました。
テレビそのものが悪いわけではなく、座って動かない時間が長くなることが最大の問題です。

現代人はテレビだけでなく、スマートフォンやパソコンなど、座ったまま利用する機器に多く触れる生活を送っています。だからこそ、

  • 座る時間を減らす
  • こまめに身体を動かす
  • 「ながら運動」を活用する

といった工夫が、がんを含むさまざまな疾患の予防につながります。

毎日の生活の中で無理なく続けられる方法を取り入れ、健康的な生活習慣を心がけていきたいですね。