あなたの「がん」のステージについて「ステージ4は治らない?」先入観を捨てましょう!

がんのステージ──聞きたくない人はどうすべきか?ステージ情報との向き合い方について考える

がんと診断されると、多くの方が「自分はいったいどのステージなのか」と気にされます。診断や治療の過程で主治医から説明を受けるのが一般的であり、ほとんどの患者さんが自分の病気の進行度を知ろうとします。しかし一方で、「怖くて聞きたくない」「ステージを知らされると不安に押しつぶされてしまいそうだ」と感じる患者さんも少なくありません。

結論から言えば、ステージを知りたくないという患者さんは、無理に聞く必要はありません ステージは治療方針を決めるための医学的な分類であり、患者さんの価値や人生を評価するものではないからです。むしろ、ステージを聞くことで気持ちが大きく沈み、治療への意欲を失ってしまうのであれば、あえて知らないという選択も尊重されるべきだといえます。

本記事では、ステージを知りたくないという患者さんの考え方がなぜ尊重されるべきなのか、またステージ情報の本来の意味や誤解しやすい点について、わかりやすく整理してお伝えします。

■ ステージとは本来「治療方針を決める分類」にすぎない

■ ステージとは本来「治療方針を決める分類」にすぎない

がんのステージとは、がん細胞の広がりや進行度を示す医学的な指標です。
医療者が治療法を検討するときの、大切な「基準」であることは間違いありません。

しかし、ステージはあくまで治療方針の検討を効率的に行うための「グループ分け」であり、ステージそのものが個人の寿命を直接決めるわけではありません

ところが患者さんにとっては、ステージを聞いた瞬間に「自分の未来」が決まってしまったように感じてしまうことがあります。とくに進行がんの場合、「ステージ4=末期」「手遅れ」「もう治らない」と思い込んでしまい、治療への意欲を失ってしまう方も少なくありません。

実際には、ステージは「現在の状態」を示しているだけであり、
●治療がよく効く
●体力が十分ある
●生活習慣や体調が改善していく
などの要因で、その後の経過は大きく変わります。

こうした誤解を避けるためにも、ステージの受け止め方は非常に重要なのです。

■ 「知りたくない」という患者さんの選択は間違いではない

医療の現場では、「ステージを知るのが怖い」「知りたくない」という患者さんの意思を尊重し、あえて詳細を伝えないことがあります。これは医療者が情報を隠しているのではなく、患者さんの心の負担を減らし、治療に前向きに取り組める状態を守るための配慮です。

ある意味では、ステージを知らないことで治療に集中でき、結果的に前向きに生活を送れる方もいるのです。

■ ステージを知ることで落ち込んでしまうケース

とくに「ステージ4」と聞くと、
●「もう治らない」
●「何をしても無駄」
●「人生が終わってしまった」
と感じてしまう方がいます。

しかし現代のがん治療は、薬物療法・放射線治療・手術などが進歩し、
ステージ4から寛解(症状が落ち着く)する例も珍しくありません

にもかかわらず、ステージの数値だけで治療の可能性を閉ざしてしまうのは、とてももったいないことです。

■ 実例:ステージ3を知らされなかった膵臓がん患者さん

■ 実例:ステージ3を知らされなかった膵臓がん患者さん

60代の女性で、膵臓がんの手術(膵体尾部切除)を受けた方がいます。医学的にはステージ3であり、一般的に膵臓がんのステージ3の5年生存率は7%ほどとされます。

もしこの数字を知らされれば、多くの人が深刻にとらえてしまうでしょう。
しかし、この方は本人の強い希望もあり、手術前後でステージについてあえて説明しませんでした。

その結果、患者さんは持ち前の明るさを保ち、
「毎日が楽しい」「食べ物もおいしい」「幸せです」
と外来でも笑顔を見せながら治療を続けました。

その後、この方は術後5年以上再発なく、元気に生活しています。
もちろん再発リスクがゼロとは言い切れませんが、医学的にも「治った」と考えてよい状況です。

もしステージを聞いて落ち込み、治療に前向きになれなかったとしたら、ここまで良い経過になっていなかったかもしれません。このケースは、ステージを知らないという選択が、結果的に患者さんを支えた例だといえます。

■ ステージを知りたい人は、もちろん知ってよい

一方で、「自分の病気のことはすべて知っておきたい」「ステージを知らない方が不安になる」という患者さんもいます。その場合には、主治医から丁寧に説明を受け、治療法や今後の見通しをしっかり理解することが大切です。

ただし、ここで注意してほしいのは、
ステージを過度に固定的に受け止めないこと

・ステージ4でも治る
・ステージ1でも再発する
・5年生存率はあくまで過去の統計
・治療法や体力によって結果は大きく変わる

こうした点を理解したうえでステージを受け止めれば、不必要な不安にとらわれにくくなります。

■ 「ステージ=学校のクラス」と考えると楽になる

■ 「ステージ=学校のクラス」と考えると楽になる

ステージという言葉は重く響きますが、本質は「治療方針を決めるための分類」です。そこで、落ち込んでしまう患者さんに対しては、
ステージは学校のクラス分けのようなもの
と説明することがあります。

1組・2組・3組・4組というように、そこまで深刻に考えず、治療の指針を示すための記号だと思うと、心の負担が少し軽くなる方もいます。

■ まとめ:ステージにとらわれすぎないことが大切

がん治療においてステージは重要な情報ですが、それ以上でも以下でもありません。
患者さんの価値を決めるものでも、未来を断定するものでもないのです。

▼ 大切なポイント

  • ステージは治療方針を決めるための分類にすぎない
  • 「知りたくない」という選択は尊重されるべき
  • ステージを聞いて落ち込むくらいなら、あえて知らない方が良い場合もある
  • ステージ4でも治ることはある
  • 生存率は過去の統計であり、個人の未来を決めるものではない
  • ステージを「クラス分け」と捉えると負担が軽くなる

がんと向き合う際には、ステージという数字だけにとらわれず、治療を続けられる心の状態を保つことが何より大切です。自分にとって何が一番安心できるのかを考え、主治医や身近な人と相談しながら、納得のいく選択をしていくことが重要だといえるでしょう。