発症リスクや予後を左右するABO血液型をわかりやすく解説
今回は、「すい臓がんになりやすい血液型」 という少し驚くテーマについて、医学研究をもとに丁寧にまとめていきます。
すい臓がんはご存じのように、非常に治療が難しいがんの一つです。初期症状が乏しく、発見された時にはすでに進行していることが多いため、早期発見のためには「誰がすい臓がんになりやすいのか」というリスク因子を知ることがとても重要です。
従来知られているリスク因子には、
などがあります。
ところが、こうした因子に加えて「血液型がすい臓がんの発症リスクに関係する」という、意外ともいえる研究結果が報告され、近年注目を集めています。

この話題が広く知られるようになったのは、2009年に著名な医学誌「Journal of the National Cancer Institute」に掲載された大規模研究がきっかけです。
この欧米での研究では、ABO血液型とすい臓がん発症率を比較したところ、
具体的な数値としては、
というリスク増加が示されており、特にO型の人がもっとも発症しにくいという傾向が確認されています。
海外の報告を受け、日本でも研究が行われました。
2013年に日本人すい臓がん患者883人を対象に血液型分布が調査され、その結果…
という傾向が確認されました。
つまり、日本でもA型の人がすい臓がんになりやすい可能性があることが示唆されたのです。
血液型とがんの関係は、すい臓がんだけに限りません。たとえば、台湾の研究では、
という結果も報告されています。
しかし、他のがんではこの関連性は比較的弱く、すい臓がんにおける血液型との関係が最も顕著とされています。

血液型がすい臓がんの「発症」だけでなく、「予後(治療後の生存期間)」にも関係する可能性が指摘されています。
愛媛大学医学部附属病院を中心とした研究では、406人のすい臓がん患者を対象に、年齢・性別・血液型・ステージなどを踏まえた詳細な解析が行われました。
結果として、
が明らかになりました。
さらに、治療法別の解析で「手術を受けた患者」に限定すると、
という差が明確に示されました。
この理由はまだ完全には解明されていませんが、
「A型・AB型のすい臓がんは悪性度が高く、転移しやすい可能性がある」
などの仮説が立てられています。
ここまで読んで、
「A型やAB型は心配すべきなのでは?」
と思われた方もいるかもしれません。
しかし、血液型によるリスクの差はあくまで“統計上の傾向”にすぎず、生活習慣に隠れるリスクのほうがはるかに大きいのが実際です。
すい臓がんのリスク低減のためには、次のような行動がより重要です。
特に血液型がA型またはAB型のうえ、糖尿病・肥満・喫煙などの危険因子を持つ人は、すい臓がんの検査を受けることをおすすめします。

血液型だけで不安になる必要はありません。
大切なのは、日々の生活の中でできる健康管理を積み重ねていくことです。