
健康診断や人間ドックは、「今の自分の体の状態を知るための大切な機会」です。特に大腸がんは、日本でも多くの人がかかる病気で、早い段階で見つけるほど治療がしやすくなります。そのため、多くの自治体や職場では、大腸がん検診として「便潜血検査」という便の検査が行われています。
この検査は、便の中にわずかな血液が混じっていないかを調べるものです。目では見えないほどの血液でも検査で見つけることができます。
ただ、この検査で「陽性=血液が見つかった」という結果が出ても、実際に大腸がんがあるとは限りません。ですが、放置をしてしまうと大切なサインを見逃してしまうことにもつながります。
今回は、便潜血検査が陽性だったあとに「どれくらいの期間で大腸カメラを受けるべきか?」という点に注目した研究をもとに、できるだけわかりやすくお話しします。
まず知っておいていただきたいのは、「便潜血検査が陽性=がん」というわけではない、ということです。
便に血が混じる理由はさまざまで、痔(じ)やポリープ、炎症などが原因の場合もあります。しかし、もし本当に大腸がんがあった場合、早く見つけるほど体への負担が少ない治療で済む可能性があります。
そのため、便潜血検査が陽性の場合には、精密検査として「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」を受けることになっています。
ところが実際には…
…といった理由から、検査を受けずに放置してしまう人が一定数いるのです。

ここで紹介するのは、2021年にアメリカの医学雑誌に発表された、大規模な調査の結果です。対象は、便潜血検査が陽性だった50~75歳のおよそ20万人という非常に大きな規模の研究です。
便潜血検査が陽性になったあと、どれくらいの期間で大腸カメラを受けたかによって次の3つを比較しました。
その結果、重要なポイントがいくつも分かってきました。
便潜血検査のあと、1〜3か月のうちに大腸カメラを受けた人を基準とすると…
つまり、「1年以内」であればあまり大きな差はないものの、1年を過ぎると大腸がんが見つかる可能性が増えてしまうことが明確になりました。
さらに深刻なのは「死亡率」です。
便潜血陽性から1〜3か月以内に検査を受けた人と比べると…
つまり、1年半~2年も放置してしまうと、大腸がんが命にかかわる段階まで進んでしまう可能性が高くなるということです。
さらに、便潜血陽性から16か月を過ぎるあたりから、進んだ段階の大腸がんで見つかる人が増えるという結果も出ています。
早く見つかれば、体への負担が少ない治療で済むことが多いですが、進行すると治療が難しくなることが多くなります。
これらの結果から導き出される結論は明確です。
便潜血検査が陽性だった場合、大腸カメラは1年以内に受けるべき。
できれば半年以内、時間が取れるのであれば数か月以内に受けるのが理想的です。
先延ばしにしても良いことはありません。少しの不安や手間を乗り越えることで、自分の未来を守ることができます。
大腸カメラはたしかに不安。でも大切な検査です
大腸カメラと聞くと、不安や抵抗を感じる人は多いでしょう。
これらは誰もが感じるものです。実際に経験した人の多くも、検査前は緊張したり心配したりします。
ですが、終わってみると「思ったより苦しくなかった」「もっと早く受ければよかった」という声が少なくありません。
大腸カメラは、もしポリープが見つかった場合、その場で取り除くことができるという大きなメリットがあります。それによって将来のがんを未然に防ぐこともできます。

便潜血検査は、あくまで「入り口」の検査です。本当に異常があるかどうかを確認するには大腸カメラが欠かせません。
便潜血が陽性だった人が、精密検査をせずに放置してしまうことは少なくありません。しかし、今回紹介した研究からも分かる通り、放置すればするほど、発見が遅れ、リスクが高まります。
検査を受けるのは勇気がいることです。ですが、その一歩が自分自身の命を守ることにつながります。
もしあなたが、あるいは身近な誰かが便潜血検査で陽性だったなら——
ぜひ「早めの大腸カメラ」を受けることをおすすめします。
あなたの健康が、これからも続いていきますように。