歯周病でがんの死亡リスクが30%もアップ!!

歯周病(歯肉炎・歯周炎)は、口の中で起こる細菌感染による炎症性疾患です。日本では成人の多くが罹患しているとされる“国民病”ですが、近年、この歯周病が単なる口腔トラブルにとどまらず、全身の病気、さらにはがんの発症や死亡率にも深く関わることが明らかになってきました。

今回は、「歯周病でがんの死亡リスクが30%もアップする」という研究報告をもとに、歯周病と全身疾患の関係をできるだけ丁寧に、そしてわかりやすく解説していきます。

■ 歯周病は“静かに進行する病気”

■ 歯周病は“静かに進行する病気”

歯周病は、歯と歯ぐきの境目に付着したプラーク(歯垢)が細菌の温床となり、歯ぐきの炎症を引き起こす病気です。痛みが少ないため気づきにくく、気づいたときには歯を支える骨が溶け、最悪の場合は歯が抜けてしまいます。

ところが歯周病の怖さはこれだけではありません。重症化すると、口の中の細菌が血流や呼吸器に入り込み、動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・肺炎など、命に関わる全身疾患を引き起こす可能性があることがわかってきました。

そして近年、より注目されているのが 「がん」との関連性 です。

■ 歯周病で“がんの発症リスク“はどう変わる?

● すべてのがんの発症リスク

7,466人を対象に約15年追跡した前向き研究によると、
重症の歯周病がある人は、歯周病がない人・軽度の人に比べて、すべてのがんの発症リスクが24%増加 していました。

また別の研究(対象6万8,273人)では、
歯周炎によって、がんによる死亡率が33%上昇するという結果が示されています。

つまり歯周病は、がんの“発症”も“死亡”も増やす可能性があるということです。

■ がんの種類別に見る歯周病の影響

■ がんの種類別に見る歯周病の影響

◆ 口腔がん

11の研究をまとめたメタ解析では、
歯周病のある人は口腔がんのリスクが3.2倍に増加。
さらに、失った歯の本数が多いほど、口腔がんリスクが直線的に上昇することも判明しています。

◆ 肺がん

5つのコホート研究を統合した解析では、
歯周病は肺がんのリスクを24%増加 させるという結果でした。

口腔細菌が気道に侵入し慢性炎症を起こすことが、一因として考えられます。

◆ すい臓がん

8つの研究を総合評価した結果、
歯周炎がある人では、すい臓がんのリスクが74%増加。
さらに、
すい臓がんによる死亡率は2.3倍に上昇するという報告もあります。

すい臓がんは早期発見が難しく、死亡率が高いため、この結果は非常に重要です。

◆ 大腸がん

先ほど紹介した7,466人の前向き研究では、
歯周病により大腸がんのリスクが50%上昇するというデータも示されています。

■ 歯周病ががんを引き起こす理由は?

主な要因として次のような仕組みが考えられています。

慢性炎症の継続
 体内の炎症が続くことで細胞の老化やDNAの損傷が進み、がん化しやすくなる。


歯周病菌やその毒素が全身に影響
 細菌や毒素が血流を通って全身に運ばれ、腫瘍の発生や進行に関与する可能性がある。


免疫機能の乱れ
 歯周病が慢性的な免疫ストレスを引き起こし、がん細胞に対する抵抗力が低下する。

■ がんを防ぐために、歯周病対策は欠かせない

■ がんを防ぐために、歯周病対策は欠かせない

研究結果をまとめると、

歯周病は、口腔がん・肺がん・すい臓がん・大腸がんの発症リスクを高め、死亡率も高める

ということが分かっています。

つまり、がん予防の第一歩として「歯周病の予防・治療」が極めて重要だと言えるのです。

■ 今すぐできる歯周病セルフチェック

日本臨床歯周病学会のセルフチェック項目には、以下のような症状があります。

  • 朝起きたときに口の中がネバネバする
  • 歯磨きで歯ぐきから血が出る
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきがむずがゆい・痛い
  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • かたい物が噛みにくい
  • 歯が長くなったように見える
  • 歯の間にすき間ができてきた
  • 前歯が出っ歯になってきた

一つでも思い当たる場合は、早めに歯科受診をおすすめします。

■ 正しいケアで歯周病は防げる!

毎食後・起床後・就寝前の丁寧な歯磨き
デンタルフロスや歯間ブラシの使用(歯ブラシだけでは不十分)
歯科医院での定期検診と歯石除去
正しいブラッシング指導を受ける

これらを習慣にするだけで、歯周病は大幅に予防できます。

さらに、がん治療中の患者さんでは、歯周病があると手術後の肺炎などの合併症が増えるという報告もあり、治療前の口腔ケアは必須です。

■ まとめ

歯周病は“口だけの病気”ではありません。
がんの発症や死亡率の上昇とも関係し、全身の健康を大きく左右します。

今日からできるケアを習慣にし、定期的に歯科を受診して、健康な口と体を守っていきましょう。