敗血症でも実施される人工透析CHDF 概要と特徴について解説

 医療の現場では、腎臓の機能が正常に働かなくなった患者さんに対し、人工的に血液を浄化する「血液透析」が行われます。その中でも、重症の患者さんや循環動態が不安定な患者さんに適用されるのがCHDF(持続的血液透析ろ過)です。

 24時間連続で血液を浄化するCHDFは、腎不全に加え、敗血症や重症心不全といったさまざまな症状に対応する重要な治療法です。

 本記事では、CHDFの概要、適用される状況、さらにその仕組みについて詳しく解説します。


CHDFとは何か?

 CHDFは「Continuous Hemodiafiltration(持続的血液透析ろ過)」の略で、24時間休むことなく血液を浄化する治療法です。この治療法は、腎臓が担う老廃物の排出や体液のバランス調整機能を補うために用いられます。

透析のイラスト

 特に集中治療室(ICU)で、循環動態が不安定な患者さんに対して行われることが多く、身体への負担を最小限に抑えながら腎機能を代替します。


腎代替療法(RRT)の種類

 腎代替療法(RRT:Renal Replacement Therapy)は、腎臓が正常に機能しない場合にその役割を担う治療法の総称です。RRTは以下のように分類されます。

  • 間欠的腎代替療法(IRRT)
    • 一定の時間内で完結する腎代替療法。
    • 例:一般的な血液透析(HD)や血液ろ過(HDF)。
  • 持続的腎代替療法(CRRT)
    • 24時間連続で実施される腎代替療法。
    • CHDFを含む治療法が該当します。
  • CRRTにはさらに以下の種類があります:
    • CHD(持続的血液透析): 透析を用いて小さな分子を除去。
    • CHF(持続的血液ろ過): ろ過で大きな分子を除去。
    • CHDF(持続的血液透析ろ過): 透析とろ過の両方を行う。

CHDFの必要性

一般的な血液透析との違い

 通常の血液透析は1回4時間、週3回行われるのが一般的です。しかし、短時間で大量の血液を処理するため、血圧低下や倦怠感など、患者さんへの負担が大きくなることがあります。特に循環動態が不安定な患者さんには、通常の透析が体に大きな負担をかけ、さらなる悪化を招くリスクがあります。

CHDFの特徴

24時間イラスト

 CHDFは、24時間連続して血液を浄化することで、健康な腎臓と同じペースで老廃物や水分を除去します。これにより、以下のようなメリットが得られます:
 • 体への負担が軽減される。
 • 血液の浄化がより効率的に行える。
 • 循環動態の安定化を図ることができる。


CHDFが適用されるケース

 CHDFの開始時期には明確な基準がないものの、以下のような状態の患者さんに適用されることが一般的です:

  1. 治療抵抗性の体液過剰
    重症心不全や肺水腫など、体内の水分バランスが大きく崩れている場合。
  2. 急性の高カリウム血症
    血液中のカリウム濃度が6mEq/L以上で、心電図異常や不整脈などの症状を伴う場合。
  3. 重症代謝性アシドーシス
    血液のpH値が7.15以下に低下している場合。
  4. 尿毒症
    血中尿素窒素(BUN)が100mg/dL以上で、意識障害やけいれんなどの症状が現れている場合。

CHDFの仕組み

CHDFは、「透析」と「ろ過」の2つの原理を組み合わせた治療法です。それぞれの特徴を以下に解説します。

1.透析(拡散原理)
 透析では、血液中の小さな分子(例:尿素窒素やクレアチニン)を濃度差を利用して除去します。具体的には、以下のような仕組みで行われます:
 • ダイアライザーという装置の中で、血液と透析液が分離された状態で流れます。
 • 濃度差による拡散作用で、不純物が透析液側に移動します。
  ※この方法では、分子量が500以下の物質が主に除去されます。

2.ろ過(濾過原理)
 ろ過は、血液に圧力をかけて大きな分子(例:サイトカインや薬剤)を除去します。ヘモフィルターを使用し、フィルターを通過できる物質のみを選別します。さらに、血液から抜き取った水分を補うため、補液が回路内に投与されます。

CHDFの優位性
 CHDFはこれらの仕組みを併用することで、小さな分子から大きな分子まで幅広い物質を除去可能にしています。


バスキュラーアクセスと管理

 CHDFを実施するには、患者さんから血液を取り出し、再び体内に戻す経路(バスキュラーアクセス)が必要です。

透析のイラスト

使用されるカテーテル
 CHDFでは、UKカテーテル(内頸静脈または大腿静脈に挿入される多孔カテーテル)が主に使用されます。以下の2種類のカテーテルがあります:

  1. エンドホール型
     血液回収が安定していますが、逆接続すると再循環のリスクが高まります。
  2. サイドホール型
     逆接続でも再循環のリスクは低いものの、血管壁への癒着が起きやすく、脱血不良が生じる可能性があります。

※逆接続:陰圧で血液を回収する際に血管に張り付いてしまい、脱血不良が起きるため、脱血管(これから浄化する血液を抜き取る管)と送血菅(浄化された血液を血管に送る管)の接続を逆にし、改善を試みます。
※再循環:浄化済みの血液が再び浄化回路に戻る現象を指します。


再循環のリスクと管理ポイント

 CHDFは24時間実施される治療ですが、再循環が発生すると効果が16時間分に低下する場合があります。

管理ポイント
 • カテーテルの屈曲防止: 血液の流れを妨げないよう、カテーテルの配置を確認する。
 • 体位の調整: 患者さんの体位が適切でない場合、脱血不良が生じるため注意が必要。
 • 逆接続の回避: 再循環を防ぎ、治療効率を維持するため、カテーテルの状態を定期的に確認する。


まとめ

 CHDFは、腎不全や重篤な疾患を抱える患者さんにとって、身体への負担を軽減しながら効率的に血液を浄化できる重要な治療法です。

以下が本記事のポイントです:

  1. CHDFは透析とろ過を併用する持続的治療法。
  2. 循環動態が不安定な重症の患者さんに実施される。
  3. UKカテーテルを使用して血液を回収し浄化する。
  4. 再循環を防ぐことで治療効果を最大限に引き出す必要がある。

CHDFは高度な技術と管理が求められる治療法ですが、正確に実施することで患者さんの生命を守る大きな役割を果たします。