がん再発どうやって診断するの?

がんの治療を経験した方にとって、治療後の最大の不安は「再発」ではないでしょうか。

手術、抗がん剤、放射線治療…。つらい治療を乗り越えて、ようやく元の生活を取り戻しつつあるときに、頭の片隅から離れないのが「もし再発したらどうしよう」という不安です。定期検査の前日は眠れない、検査結果を聞く直前は心臓がバクバクする、という患者さんはとても多いです。

しかし一方で、再発の診断はときに非常に難しく、主治医がはっきり言い切れないケースも存在します。

「これ…再発なんでしょうか?」
「主治医があいまいなことしか言わなくて不安です」

こういった声は決して少なくありません。では、なぜ再発の診断は難しいのか? また、どんな検査で再発を見つけるのか?

この記事では、がんの再発チェックについてわかりやすく解説します。
治療を終えた患者さん、現在治療中の方、そのご家族の不安を少しでも軽くできれば幸いです。

そもそも「がんの再発」とは?

そもそも「がんの再発」とは?

「再発」という言葉はとてもよく使われますが、医学的には次のように定義されています。

治療によっていったん消失・縮小したがんが、再び現れたり大きくなったりすること。

治療した場所に出てくる場合もあれば、まったく別の場所(転移)として見つかる場合もあり、すべて「再発」に含まれます。

がんの再発には、大きく4つのパターンがあります。

1. 局所再発

最初にがんがあった場所(手術したところなど)に再びがんが現れ、大きくなっていく状態です。

2. リンパ節再発

周囲や離れたリンパ節に小さく残っていたがん細胞が大きくなるパターン。

3. 腹膜播種(ふくまくはしゅ)

おなかの中にがんの細胞が散らばるように広がり、進行すると腹水(お腹の水)が溜まります。

4. 遠隔転移

血流に乗ったがん細胞が肝臓・肺・骨など離れた臓器に移動し、そこで増殖する状態。

どの再発も、患者さんの生活や治療方針に大きな影響を及ぼします。そのため早期発見と正確な診断がとても重要になります。

再発はどうやって見つける?──医療現場で使われる主な検査

再発はどうやって見つける?──医療現場で使われる主な検査

再発の検査には複数あり、それぞれに得意・不得意があります。医師はこれらを組み合わせて総合的に判断します。

1. 腫瘍マーカー

もっともよく行われる血液検査のひとつです。

腫瘍マーカーとは、がんが存在すると血液中で上昇する指標のこと。
大腸がんならCEA、すい臓がんならCA19-9、前立腺がんならPSAなど、がんの種類によって異なります。

腫瘍マーカーの特徴

  • 治療前に高かった人ほど、再発の指標として使いやすい。
  • 手術などで下がった腫瘍マーカーが再び上昇すると、再発を疑う。
  • ただし、がんがなくても高い人もいる(体質)ため、万能ではない。

患者さんの中には「腫瘍マーカーが少し上がっただけで不安でたまらない」という方が多いのですが、腫瘍マーカーは“補助的な材料”でしかありません。

2. 超音波検査(エコー)

主に肝臓や腹部の臓器をチェックするのに使われます。

  • 放射線被曝がない
  • 体への負担が少ない
  • 外来で手軽にできる

というメリットがあります。

ただし、医師の技量による差が出やすく、腫瘍が小さかったり、場所が悪かったりすると見つけられない場合もあります。そのため、他の検査と組み合わせて使われることが多いです。

3. CT・MRI

再発の診断で最もよく使われる画像検査です。

CT

  • 肺、肝臓、リンパ節など全身を広くチェックできる
  • 再発の検出能力が高い

MRI

  • 肝臓や骨、脳などをより詳しく調べられる
  • 放射線被曝がない(磁気を使うため)

どちらも再発診断に欠かせない検査です。

4. PET検査 / シンチグラフィー

がん細胞がブドウ糖を多く消費する性質を利用して、体のどこにがんがあるのかを調べる検査です。

ただし、

  • すべてのがんに有効ではない
  • 小さな転移は拾えないことがある
  • 偽陽性(がんでないのに光ってしまう)もある

などの理由から、どの患者さんにも行う検査ではありません。

5. 内視鏡検査

胃がん・大腸がんの場合、手術後も定期的に内視鏡検査が行われます。
局所の再発、ポリープ、新たながんの発生(異時性がん)などを確認します。

6. 生検(細胞・組織検査)

本当に再発かどうかを確定するためには、がん細胞を直接採取して調べる方法が一番確実です。

しかし…

  • そもそも針が届かない位置にある
  • 手術のリスクが高い
  • 採取しても診断がつかないことがある
  • 播種(がんが散らばる)リスクがある部位もある

など、実施が難しいケースが多々あります。

そのため、画像や腫瘍マーカーなどの“状況証拠”を積み重ねて診断することが非常に多いのです。

では、なぜ主治医は「再発です」と断言しないことがあるのか?

では、なぜ主治医は「再発です」と断言しないことがあるのか?

患者さんが最も不安に感じるポイントがここだと思います。

医療現場にはこういう事情があります

1. “確定”できるケースは意外と少ない

少し大きくなったリンパ節、うっすら影が見える肝臓、わずかに上昇した腫瘍マーカー…。
これらだけでは断言できません。

「がんかもしれないし、そうでないかもしれない」
というグレーゾーンの状態がしばしばあります。

2. 小さい再発は経過観察でしか判断できない

医師は次のような方法で確実性を高めます。

  • 3か月後に同じ検査をする
  • 大きさや形の変化を観察する
  • マーカーの上昇スピードをみる

大きくなっていれば再発の可能性が高い
変わらなければ再発でない可能性が高い

がんの診断は、「経過を見る」ことでしか分からないことも多いのです。

3. 患者さんの不安を考えて慎重になる

確信がないまま再発と伝えると、患者さんに大きな精神的負担を与えてしまいます。

そのため医師はあえて言葉をあいまいにすることがあります。

患者さんが知っておくと安心できるポイント

ここまでを踏まえると、再発チェックで大切なポイントは次の3つです。

① “完全に白黒つく”ケースはむしろ少ない

医師が言葉を濁しているわけではなく、医学的に断言できない状況が多いのです。

②「経過を見る」ことは決して手抜きではない

むしろ最も重要な診断方法のひとつです。

③不安なときは遠慮なく質問してよい

  • 今の状態は再発の可能性はどれくらい?
  • 次の検査はなぜ3か月後?
  • この影はどんなときに変化する?
  • もし再発ならどんな治療がある?

主治医は、聞かれれば丁寧に説明します。

最後に──再発チェックは怖いけれど、あなたを守る大切な時間です

「検査が怖い」
「結果を聞くのが怖い」

それは誰もが感じる自然な気持ちです。

しかし再発チェックは、
あなたの命を守るための大切なプロセス です。

  • 再発が早く見つかれば、治療の選択肢が広がる
  • 新しい薬や治療法も進歩している
  • 一度再発しても長く生きられる時代になっている

不安な気持ちを抱えながらも、それでも検査を受け続けているあなたは、本当に強いと思います。

この記事が、あなたの不安を少しでも軽くし、再発チェックの理解につながれば幸いです。