すい臓がん(膵癌)手術後すぐに再発する人しない人の違いとは?

すい臓がん(膵癌)手術後すぐに再発する人しない人の違いとは?

すい臓がんの再発を防ぐために──最新の研究から見えてきた課題と希望

すい臓がんの再発を防ぐために──最新の研究から見えてきた課題と希望

国立がん研究センターの報告によると、すい臓がんの3年生存率は約15%とされています。ほかの消化器がんと比べても低く、すい臓がんが「治りにくいがん」と言われる理由は、この数字からも感じ取れます。では、なぜすい臓がんはこれほど予後が悪いのでしょうか。

最大の理由は、診断された時点で手術ができないほど進行している場合が多いことです。さらに、手術が行えたとしても、早期に再発してしまう患者が少なくないことが大きな課題となっています。
すい臓がんの治療成績を向上させるためには、手術後すぐに再発しやすい患者を見つけ、より効果の高い抗がん剤治療などを追加することが重要です。

そこで注目されるのが、アメリカ・ジョンズホプキンス大学医学部が行った大規模な調査です。

アメリカの大規模調査が示した「再発の現実」

調査には、手術が可能であった957人のすい臓がん患者が参加しました。手術方法は膵頭十二指腸切除術が最も多く、全体の84%を占めています。

術後約2年間の観察期間中、

  • 再発なし:204人(21.3%)
  • 再発あり:753人(78.7%)

という結果になりました。再発が多いというだけでなく、その再発部位にも特徴があります。

  • 複数個所への再発:33.6%(最も多い)
  • 局所(手術した部位付近):25.2%
  • 肝臓への転移:24.4%
  • 肺への転移:14.1%

さらに、術後12か月以内の再発を「早期再発」と定義したところ、
388人(51.5%)が早期再発
365人(48.5%)が晩期再発
でした。

生存率を見ると、その差は深刻です。

  • 晩期再発:2年生存率22%
  • 早期再発:2年生存率わずか6%

つまり、「早期再発を防ぐこと」が生存期間を大きく左右するカギになるのです。

どんな患者が早期再発しやすいのか

調査から、術前と術後のいくつかの特徴が早期再発のリスクと関係していることが分かりました。

術前に分かるリスク因子

  1. 重い持病(併存疾患)がある
  2. 腫瘍サイズが3cm以上と大きい
  3. 腫瘍マーカー(CA19-9)が高い(210 U/ml超)

術後に分かるリスク因子

  1. がん細胞の「分化度」が低い(悪性度が高い)
  2. リンパ管や血管へがんが広がっている
  3. リンパ節への転移が多い
  4. 術後のCA19-9が高い(37 U/ml超)

これらの因子を持つ患者は、術後早い段階で再発する可能性が高く、より積極的な治療が必要だと考えられています。

再発を遅らせる可能性がある治療

一方で、早期再発を減らす可能性のある治療も分かってきました。

  • 術後補助化学療法(抗がん剤)
  • 術後化学放射線療法
  • 放射線と抗がん剤の併用療法

つまり、「手術が終わったから治療は終了」ではなく、手術後の追加治療が、再発を遅らせ、命を守る重要な役割を持つのです。

日本でも広がる「手術前の抗がん剤治療

近年、日本でも「手術前に抗がん剤治療を行う」ケースが増えています。
国内で行われた大規模研究でも、手術前に短期間の抗がん剤治療を受けたほうが、生存期間が長くなるという結果が示されました。

手術前の抗がん剤治療は、不安に感じる人もいるかもしれません。
しかし、

  • 目に見えないがん細胞を減らす
  • がんの広がりを抑える
  • 体に潜む再発の芽を小さくする

こうしたメリットが期待され、最終的には再発を防ぎ、生存期間を伸ばす可能性があります。

治療を乗り切るために大切なこと

治療が長期にわたるからこそ、患者さん自身が心がけたいこともあります。
それは、

「体力と筋肉量を落とさないこと」

抗がん剤治療の副作用で食欲が落ちたり体が疲れやすくなることがあります。しかし、できる範囲で体を動かし、必要な栄養を摂り続けることは、治療の効果や回復力に影響します。

専門の医療チームや栄養士、リハビリスタッフのサポートを得ながら、無理なく体力維持を心掛けることが大切です。

おわりに

おわりに

すい臓がんは再発が多く、厳しい病気だと言われています。しかし、どの患者が早期に再発しやすいのかが少しずつ明らかになり、治療は確実に進歩しています。
手術前後で適切な治療を選択することにより、再発を抑え、生存期間を延ばせる可能性が高まっています。

がんの治療は決して一人で戦うものではありません。医療者とともに、よりよい治療法を選びながら未来につなげていく――そのための知識として、今回の研究が役立つことを願っています。