がんと診断されたとき、多くの患者さんやご家族が最初に行う行動の一つが「インターネットで調べる」ことです。とても自然なことですし、知りたい気持ちは誰にでもあります。しかし、2025年となった今もなお、ネット上には正しい情報と誤った情報が混在し、残念ながら「玉石混交」という状況は変わっていません。とくに検索エンジンでは、広告や宣伝色の強い記事が上位に表示されやすく、医療の専門知識がない方が信頼性を見極めるのは容易ではありません。
「最新の治療法」「副作用を抑える方法」「食事療法」「免疫療法」「○○はがんに効く」――こういった言葉は不安なときほど目につきます。しかし、その情報が本当に医学的根拠のあるものなのか、特定の商品や治療に誘導するための広告なのかは、慎重に見極める必要があります。
そこで本記事では、医学的根拠に基づいた正しい知識を得るために、安心して活用できる“がんの情報サイト5つ”を紹介します。いずれも医療に携わる専門家による監修が行われており、信頼性の高い情報源として広く認知されているものです。
さらに、患者さんがインターネットで情報収集をする際に知っておきたい「注意点」についても、最後にまとめています。

国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」は、日本で最も信頼性が高い公的がん情報サイトと言ってよいでしょう。
がんの基礎知識から、部位別の診断・治療、予後(生存率)データ、治療選択のポイントまで、幅広い分野が丁寧にまとめられており、医学的根拠に基づいた情報を得たい方にとって不可欠な存在です。
また、がん相談支援センターの一覧、セカンドオピニオンの案内、治療の流れなど、診断直後の患者さんに役立つコンテンツも充実しています。
「まず何を調べるべきかわからない」という方は、このサイトからスタートするのが最も安心です。
NPO法人キャンサーネットジャパン(Cancer Net Japan)が運営するこのサイトは、患者さんやご家族に向けた「学び」「つながり」「交流」を重視した特徴的な情報サイトです。
・専門家による公開講座
・無料で読める冊子
・患者会やサポートプログラムの紹介
・映像ギャラリー
など、イベント情報や動画コンテンツが特に豊富です。
また、リンク付けされているYouTubeの「Cancer Channel(キャンサーチャンネル)」では、多くのがん専門医が最新知識をわかりやすく解説しており、動画で学びたい方に最適です。
2020年代前半には「COVID-19とがん患者のQ&A」などの特集も話題になりましたが、今もなお患者さんの疑問に寄り添う内容が随時更新され、実践的な知識を得られる点が特徴といえます。

大手製薬企業ファイザーが運営する「がんを学ぶ」は、患者さん目線で構成され、生活・治療・制度まで幅広く網羅した総合プラットフォームです。
・がんと診断された直後に知りたいこと
・がん治療の種類
・副作用対策
・治療費や生活支援制度
・がん種別の解説
など、治療と生活の両面を支える情報が手軽に閲覧できます。
特に「治療費」「公的制度」の項目は分かりやすく、初めて制度を調べる方にとって役立つ内容が多く、家族にもおすすめです。
静岡がんセンターと大鵬薬品工業が共同で運営する「サバイバーシップ」は、がん治療中・治療後の生活の質(QOL)を高めるための実践情報に特化したサイトです。
特に、
・抗がん剤や放射線治療の副作用対策
・日常生活の工夫
・食事のポイント
・症状別のアドバイス
などが細かく整理されており、患者さんが実際に困りやすい場面に寄り添った構成になっています。
「抗がん剤・放射線治療と食事の工夫」では多くのレシピが公開されており、食欲が落ちているときや味覚変化があるときの献立にも役立ちます。

3Hメディソリューションが運営する「オンコロ」は、がんの最新動向、治験情報、研究ニュースなどに強みがあるサイトです。
・最新治療の解説
・臨床試験・治験の探し方
・がんに関する国内外のニュース
・薬剤情報
など、より専門的かつタイムリーな情報が得られる点が特徴です。
新しい治療法を調べたい方、治験を検討している方にとっては非常に有用で、医療者からの信頼も高いサイトです。
ネット情報は便利である一方、扱い方を間違えると大きな不安につながることもあります。
最後に、患者さんが情報収集をするときに知っておきたい5つのポイントを紹介します。
1. キーワード検索だけに頼らない
「がん 治療」「免疫療法」「治る方法」
こういった言葉を検索すると、広告や宣伝が上位に表示されがちです。
必ず、公的機関・専門家監修のサイトを優先するようにしましょう
2. すぐに信じない——必ず確認する
どんなに見やすいサイトでも、
「本当に医学的根拠があるのか?」
「医師が監修しているか?」
「営利目的の情報ではないか?」
を必ず確認しましょう。
迷ったときは、主治医やがん相談支援センターに相談するのが安全です。
3. ネガティブな情報は“ひとごと”として扱う
ネット上にはどうしても不安を増幅させる情報が溢れています。
治療がうまくいった方でも、悪い情報ばかりを目にすると気持ちが揺さぶられやすくなります。
不安を煽るような体験談や極端な情報は、距離を置くスキルを持っておきましょう。
4. 情報は集めすぎないほうがよい
情報が多すぎると、かえって迷いが深まり、治療方針が分からなくなることがあります。
「ほどほどにする」「調べる時間を区切る」など、自分を守る工夫も大切です。
5. 調べて不安になるなら、いっそ見ないという選択を
ネット検索をするほど落ち込んでしまうタイプの方もいます。
その場合は無理に情報収集を続ける必要はありません。
必要な情報は、医療者から直接聞く。
これも立派な“情報収集の方法”です。
ネット上には多くのがん情報があふれていますが、重要なのは「正しい情報にたどり着く力」です。今回紹介した5つのサイトは、信頼性が高く、患者さんやご家族の不安を少しでも軽減する助けになります。
不確かな情報に振り回されることなく、安心して治療に向き合える環境づくりの一助となれば幸いです。