「がん」と診断されたら最初に読むべき本5冊

「がん」と診断されたら最初に読むべき本5冊

――信頼できる情報源を選ぶために――

――信頼できる情報源を選ぶために――

がんと診断されたとき、多くの方がまず直面するのは「何をどう調べればよいのか分からない」という戸惑いです。インターネット上には膨大な情報があふれていますが、その中には科学的根拠が乏しいものや、患者さんの不安につけ込むような内容も少なくありません。特に、SNSや動画配信による情報発信が一段と増えたことで、真偽不明の医療情報がこれまでよりも手軽に届くようになり、「信頼できる情報源を見分ける力」が求められています。

そうした状況において、落ち着いて情報を整理するために役立つのが「」です。本は編集・監修のプロセスを経ており、著者の専門性が明確であるという点で、一つの有力な情報源になります。しかし、本屋さんの医療・健康コーナーに行くと、がんに関する本は非常に多様で、中には「食事でがんが治る」「手術は不要」「すべて自然に任せるべき」など、極端な主張を含むものも少なくありません。

もちろん、いろいろな考え方があること自体は否定できません。ただし、患者さんや家族が「正しい選択」をするうえで、誤った情報が害になる可能性があるのも事実です。そこで今回は、がんと診断された直後、あるいはその後の治療選択の過程で、安心して手に取ることのできる5冊の一般書をご紹介します。これらの本は2020年前後に出版されたものですが、2025年の今でも価値が色あせることなく、患者さん・家族・支援者にとって大きな助けとなる内容ばかりです。

1. 『最高のがん治療』(津川友介・勝俣範之・大須賀覚)

2020年4月に出版された本で、「科学的根拠に基づくがん医療を知るための最良の入門書」と言える一冊です。医療データ分析の専門家・津川友介先生、抗がん剤治療の第一人者である勝俣範之先生、新薬開発の専門家・大須賀覚先生という、3名の専門家の知識が結集しています。

本書の中心となるテーマは、「最も効果が証明されているのは標準治療である」という事実です。民間療法や高額な自由診療の免疫治療など、科学的根拠の乏しい治療に関する情報が氾濫する現代だからこそ、標準治療の意味を理解することは非常に重要です。本書は難しい専門用語を極力排し、豊富なデータや論文の裏付けを示しながら、「正しい医療の選び方」を解説してくれます。がんと診断された直後にまず読んでほしい1冊として、強く推奨できます。

2. 『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』(内野三菜子)

国立病院の放射線科医である内野三菜子先生が、患者さんや家族から寄せられる多くの質問に答える形でまとめたQ&A形式の一冊です。病院選び、手術、抗がん剤、放射線治療、治療費、がん保険、食事、生活の工夫、仕事との両立、そして緩和ケアまで、がんに関して知りたいことの大部分が網羅されています。

本書の魅力は「具体的でわかりやすい」ことに尽きます。難しい医学知識をかみ砕き、患者さんが実際に迷うポイントに寄り添うように書かれています。これから治療を始める方だけでなく、家族や友人ががんになったという方にも非常に役立つ内容です。がんの入門書として最適の一冊と言えるでしょう。

3. 『孤独を克服するがん治療』(押川勝太郎)

腫瘍内科医であり、YouTubeなどでも積極的に情報発信を行う押川勝太郎先生による本です。押川先生は宮崎を拠点に長年がん患者さんの相談・啓発活動を続けており、その豊富な臨床経験が本書のすみずみに反映されています。

本書が扱うテーマは「がん患者さんが抱える孤独」です。がんと診断された瞬間から様々な不安が押し寄せ、心の支えを失ってしまう方は少なくありません。治療の選択、仕事や家庭との両立、経済的な不安、将来への恐怖……こうした問題の多くは深く孤独と結びついています。

本書では、患者さんが孤独をどのように乗り越え、医療者や家族とどのようにコミュニケーションを取ればよいか、非常に丁寧に示されています。「心の処方箋」というサブタイトルの通り、精神的な支えを求める方に強く勧めたい一冊です。

4. 『国立がん研究センターのこころと苦痛の本』

国立がん研究センター中央病院の精神腫瘍科・清水研先生が監修した本で、緩和ケアについて最も信頼できる一般書の一つです。がん患者さんが経験する「心のつらさ」「痛み」「吐き気」「呼吸困難感」など、身体的・精神的苦痛に対して、どう向き合い、どこで、誰に相談すればよいのかを具体的に示しています

緩和ケアというと「終末期のもの」と誤解されがちですが、本書では「治療の最初から利用できるもの」として明確に説明されています。患者さんと家族が知っておくことで不安を大きく減らすことができる内容ばかりで、確かな価値を持つ一冊です。

5. 『ガンとわかったら読む本』(佐藤典宏)

手術を控えたがん患者さんを中心に、告知直後から手術、術後の生活までに「患者さん自身が何をすべきか」を21か条にまとめた本です。がんと告知されると、多くの方が頭が真っ白になり、冷静な判断ができなくなります。本書は、そうした混乱の中で「まず何から始めればいいのか」を明確に示してくれます。

病院や治療法の選び方、手術や抗がん剤治療の理解、術後の過ごし方、再発予防、生活の整え方など、非常に実践的な内容が多く、患者さんや家族が現実的な一歩を踏み出すのに役立ちます。告知直後に読む本として強くお勧めできます。

■まとめ

■まとめ

以上、がんと診断された際にまず手に取ってほしい5冊をご紹介しました。情報があふれる時代だからこそ、信頼できる知識を持つことが、より良い治療選択と、安心して生活を続けるための大きな助けになります。

どの本も、がんと向き合う人々に寄り添いながら、正確で有用な情報を提供してくれる良書です。患者さん自身だけでなく、家族や友人、支援する立場の方々にもぜひ読んでいただきたい内容です。