心筋梗塞や狭心症で実施される冠動脈造影検査 CAGについてとその看護

冠動脈造影検査(CAG)と看護について

冠動脈造影検査(CAG)は、急性心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患を診断・治療方針を決定するための重要な心臓カテーテル検査です。この記事では、CAGの概要、検査の流れ、看護師が注意すべきポイントについて説明します。


冠動脈造影検査の概要

CAGは、心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈の形状や血流を確認する検査です。この検査では、血管内に造影剤を注入してX線撮影を行い、冠動脈の狭窄や閉塞の有無を確認します。特に、左心カテーテルを用いるため、僧帽弁や大動脈弁の正常性の確認も可能です。

検査で判明する情報は、治療方針の決定に欠かせません。例えば、冠動脈の狭窄度が75%以上であれば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適応が検討されることがあります。


検査の流れとアプローチ方法

CAGでは、カテーテルを挿入するために動脈にシースと呼ばれる器具を挿入します。通常は以下の動脈からアプローチします:

  • 橈骨動脈(手首付近)
    メリットは、患者への負担が小さい点です。検査後に早期離床が可能で、感染リスクも低減します。
  • 大腿動脈(太もも付近)
    緊急性の高い場合に使用されます。血管が太く安定しており、補助循環装置(例:LABP、PCPS)の導入がスムーズです。

検査前の看護の役割

1. アレルギー確認とアレンテストの実施
造影剤に含まれるヨード化合物は高い安全性を持っていますが、稀にアレルギー反応を引き起こします。症状には、皮膚のかゆみや吐き気から、重篤な場合には呼吸困難や意識障害があります。患者の既往歴を確認し、必要に応じて医師に相談します。

橈骨動脈からアプローチする場合は、アレンテストを実施して手の血流を評価します。橈骨動脈と尺骨動脈を同時に圧迫し、その後尺骨動脈の圧迫を解除した際に血色が改善するかを確認します。

2. 内服薬の確認と指導
患者が服用している薬の中には、検査前に休薬が必要なものがあります。例えば、抗凝固薬や抗血小板薬は出血リスクを高めるため、医師の指示で中断する必要があります。特にビグアナイド系糖尿病薬は、造影剤との相互作用により腎障害のリスクが高まるため注意が必要です。


検査中・後の看護ポイント

1. 出血の管理
カテーテルを挿入した動脈からの出血が最も一般的な合併症です。検査後は圧迫止血が行われますが、患者が安静を保てない場合や高血圧の患者では出血が続くことがあります。出血の早期発見と迅速な対応が重要です。

2. 造影剤腎症の予防
造影剤腎症とは、造影剤投与後72時間以内にクレアチニン値が上昇する腎障害です。これを防ぐために、検査前から輸液を実施し、造影剤の速やかな排泄を促します。検査後は水分摂取を促すことも重要です。

3. 後腹膜血腫の観察
大腿動脈からアプローチした場合、腰背部痛や血圧低下、心拍数の上昇が見られる場合は後腹膜血腫の可能性があります。迅速に医師に報告し、追加の画像検査を準備します。


冠動脈造影検査の意義

CAGは、冠動脈の状態を直接観察できる数少ない方法の一つであり、治療方針を決定する上で非常に重要です。狭窄の部位や程度がカルテに番号とパーセンテージで記載されるため、看護師もその内容を理解し、申し送りや記録に活用する必要があります。


まとめ

冠動脈造影検査は、患者の心臓の状態を詳しく把握するために欠かせない検査です。看護師は検査前の準備から合併症の予防・管理まで、広範な知識と技術が求められます。特に、患者への説明や細やかなケアを通じて、安全でスムーズな検査実施を支援する役割が重要です。

患者の安心感を第一に、正確な知識と迅速な対応で質の高い看護を提供しましょう。