敗血症は、感染症が引き金となり全身性の炎症反応が引き起こされ、臓器障害へと進行する重篤な疾患です。適切な治療が行われなければ敗血症性ショックに至り、生命の危機に陥る可能性があります。

本記事では、敗血症の基本的な病態から、特徴的な所見である網様紅斑(Mottling)の重要性、そして看護師が行うべき観察と対応について詳しく解説します。
敗血症は、細菌やウイルス、真菌などの病原体が体内で増殖し、全身性の炎症反応が過剰に起こることで臓器障害を引き起こす疾患です。
以下のような臓器障害が代表的です:
• 敗血症性脳症
• ARDS(急性呼吸促迫症候群)
• 急性肝障害
• 急性腎障害(AKI)
• 腸管機能不全
• 播種性血管内凝固症候群(DIC)
これらが同時に発生する場合は多臓器障害(MODS)と呼ばれ、患者さんの生命予後に大きく影響します。
通常、病原体が体内に侵入すると免疫細胞が活性化し、感染部位を制圧します。しかし、次のような場合には敗血症へ進行するリスクが高まります:

• 細菌やウイルスの数が異常に多い。
• 病原体が強力な毒素を放出している。
炎症性サイトカインや一酸化窒素が過剰に放出されることで血管が拡張し、血圧が低下。血液が重要な臓器に届かず、酸素供給が不足することで臓器障害が進行します。これが敗血症性ショックのメカニズムです。
敗血症性ショックは、通常のショックとは異なる特徴を持ちます。通常、ショックでは重要な臓器(脳や心臓)に血液を優先的に送り込むため、手足の血流が抑制されます。その結果、手足が冷たくなる「Cold Shock」という状態が一般的です。
Warm ShockとCold Shock
一方、敗血症性ショックでは、初期段階で以下のような特徴的な進行を示します:
敗血症の患者さんでは、皮膚所見が循環不全を示す重要な兆候となります。その中でも特に注目すべきなのが、網様紅斑(Mottling)です。
網様紅斑は、ショックによる循環不全で皮膚血流が低下した際に、膝周囲を中心にまだら模様の紫色の変化が現れる現象です。皮膚の血流が低下するために起こり、早期に循環不全を察知する手がかりとなります。
網様紅斑の広がりを評価するためには、Mottling Scoreという指標が用いられます。このスコアを観察し続けることで、患者さんの循環不全の進行具合を把握することが可能です。
スコアが高い場合には重篤な循環不全を示し、6時間以上持続すると死亡リスクが高まるとされています。
敗血症の患者さんの予後を改善するためには、看護師の観察力が不可欠です。特に皮膚所見を通じて循環不全の兆候を捉えることは、重症化を防ぐための重要な手段となります。看護師が日常ケアで意識すべきポイントを以下にまとめます:
看護師が清拭や体位変換を行う際、以下の点を確認します:
• 膝周囲の皮膚の色:網様紅斑が見られるかどうか。
• 皮膚の温度:手足が温かいか冷たいかを触診で確かめます。
• Mottling Scoreの記録

皮膚の観察に加え、以下のバイタルサインを記録します:
• 血圧、心拍数、体温
• 呼吸数や酸素飽和度
網様紅斑やバイタルサインの異常が見られた場合は、直ちに医師に報告し、治療方針の見直しを促します。
日常ケアにおける観察力を活かし、患者さんの重症化を防ぐためのアプローチを徹底していきましょう。