患者さんの栄養状態を適切に把握することは、治療や回復を効果的に進めるうえで非常に重要です。
看護師や医療スタッフの中には、栄養状態を評価する際にアルブミン値だけを指標にする方もいますが、それだけでは患者さんの真の栄養状態を見誤るリスクがあります。
本記事では、アルブミンの役割と限界、そして栄養状態を多角的に評価するための具体的な方法を解説します。

アルブミンは、血漿中に存在するタンパク質の約60%を占める主要なタンパク質です。
以下のような役割を持つため、体内で非常に重要な働きをしています。
• 血管内の浸透圧を維持:血液中の水分を血管内に保ち、むくみや水分移動を防ぐ。
• 物質の運搬:ミネラルや薬剤、ホルモンなどを運ぶ。
アルブミンは、食事から摂取したタンパク質が分解されてアミノ酸となり、肝臓で合成されることで生成されます。そのため、栄養状態の評価指標として重要視され、健常者では3.5~5.0g/dLの範囲に収まります。
アルブミン値を把握することで、以下のような栄養状態の評価が可能です。
• 栄養介入の必要性の判断
• 創傷治癒の予測
• 免疫機能の指標
アルブミン値の低下は栄養不足のサインともされるため、治療計画を立てる際の参考指標として重視されます。
アルブミンが栄養状態の指標として広く使用されているのは事実ですが、それだけで患者さんの栄養状態を判断するのは不十分です。
アルブミンの半減期は約21日と長いため、現時点の栄養状態をリアルタイムで反映しているわけではありません。栄養状態が変化しても、アルブミン値にはその影響が遅れて反映されるため、短期的な変化を見逃してしまう可能性があります。
アルブミン値が低いからといって、必ずしも低栄養とは限りません。
他の原因でも低下することがあります。
| 侵襲(感染症や手術、外傷など) | 感染症や手術によるストレスで炎症反応が起こると、肝臓はCRP(C反応性タンパク質)を優先して合成します。その結果、アルブミンの産生が一時的に低下します。 |
| タンパク異化作用 | 体がエネルギー不足に陥ると、エネルギーを補うためにタンパク質が分解されます。この結果、アルブミン値が低下することがあります。 |
| 肝機能障害 | 肝臓の機能が低下すると、アルブミンの産生能力も低下します。 |
| ネフローゼ症候群 | 尿中にアルブミンが漏れ出し、大量に失われることで血中アルブミンが低下します。 |
これらの要因を考慮せずにアルブミン値だけで栄養状態を評価するのは、誤った判断につながる可能性があります。

アルブミン以外に、短い半減期を持つタンパク質を用いることで、よりリアルタイムな栄養状態の評価が可能です。
肝臓で合成される以下のタンパク質は、アルブミンよりも短い半減期を持ち、急性期の栄養状態を反映しやすいとされています。
これらを総称してRapid Turnover Proteinと呼びます。
アルブミンと異なり、短期間での栄養状態の変化を捉えることができます。
Rapid Turnover Proteinの検査は、すべての患者さんにルーチンで行われるものではありません。
必要に応じて医師に追加検査を依頼する必要があります。
Rapid Turnover Protein以外にも、日常的な採血で確認できる指標を用いて栄養状態を総合的に評価することが可能です。
これらの項目はルーチン検査に含まれることが多く、追加の検査が不要なため、実用性が高いと言えます。

栄養状態の適切な評価は、患者さんの回復や治療効果に直結します。
看護師としては以下のポイントを意識しましょう。
アルブミンは栄養状態を評価する重要な指標の一つですが、それだけに頼るのは危険です。
Rapid Turnover Proteinや総コレステロール、コリンエステラーゼなどの指標を組み合わせ、患者さんの栄養状態を多角的に評価することが重要です。
看護師として、日常的な観察や採血データの確認を通じて、適切な栄養管理を提供し、患者さんの回復を支援しましょう。
適切な栄養評価が患者さんの治療を支え、予後を改善するカギとなります。