ADHDと行動障害【対応方法】

今回は、多動性障害および関連する行動障害について詳しく説明します。

1・注意欠如・多動症(ADHD)の定義と症状

*アメリカ精神医学会(DSM-5)によると、ADHDは以下のように定義されています。

  • 不注意および/または多動性、衝動性の持続的な様式
  • 12歳までに症状が現れ、機能または発達の妨げとなる

知的障害に併存する場合は、発達年齢を考慮しても明らかに程度や頻度が高い場合に診断されます。
以下はADHDによく見られる、不注意・多動性・衝動性の特徴をまとめました。

不注意の特徴

  • 注意力が散漫で、遊びが次々に目移りする
  • 学校で学習することが難しい
  • 忘れ物や物の紛失が多い
  • ぼーっとしている
  • 他のことを考えていて人の話を聞いていない
  • 片付けができない

多動性の特徴

  • 落ち着きがなく動き回る
  • 自分の席でじっとしていられない
  • しゃべりすぎる

衝動性の特徴

  • 遊びの順番が待てない
  • 質問が終わる前に答える
  • 人の話に割り込む

これらの特性が強いと、友だちと仲良く遊べず、他害行為や物を投げるなどのトラブルになりやすくなります。

周囲の反応は、不適切な行動に対してわがまま、だらしない、攻撃的と捉えがちです。
しかし、最も困っているのは適切な行動ができない本人です。
支援者が冷静に分析し、適切な行動を導くことが重要です。

鑑別診断をする場合、以下の症状や疾患との区別が必要です。

  • 脱抑制型対人交流障害
  • 自閉症スペクトラムの易刺激性による多動や衝動性
  • 統合失調症
  • 双極性障害
  • 抑うつ障害
  • 不安症などの精神疾患
  • てんかん
  • 脳腫瘍
  • 副腎白質ジストロフィーなどの代謝疾患

2・注意欠如・多動症に対する対応

子どもに対する支援

  • 起床、就寝、食事時間など生活リズムを規則正しくする
  • TV、ビデオの見過ぎやゲームの制限
  • 家庭内での音や映像刺激を少なくする
  • 物を使っての一人遊びより、人を相手にした簡単なルールのやりとり遊びを増やす
  • 一緒に絵本を見たり、身体を動かしたり、楽しい時間を共有する体験が大切

不適切な行動があったときは、大声で怒鳴るのではなく、まず落ち着かせ、適切な行動を考え実際に経験させることが望ましいです。また、児童発達支援センターや放課後等デイサービスを利用してソーシャルスキルトレーニングを行うことも有効です。

環境整備

  • 刺激を少なくする
  • 課題や遊びは同時に複数のものを与えない
  • 家庭内、事業所、学校での理解を一致させる
  • 集中が続かない場合は、課題を小分けにして適宜休憩を入れる
  • 集団行動が負担の場合、カームダウンできるスペースを確保する
  • 身体を動かしたい欲求が強い場合、最初や合間にエネルギー発散の活動をする

親が受けるペアレントトレーニングも有用です。これは具体的な対処方法を親が実践できるようにすることを目的としています。

薬物療法

  • 治すことが目的ではなく、子どもの発達を促すための補助手段
  • 子どもの頑張りたい気持ちを応援するための選択肢の一つ
  • メチルフェニデート徐放剤、アトモキセチン、グアンファシンの3薬剤が保険適用
  • 低年齢や副作用が心配な場合、漢方薬の抑肝散や抑肝散加陳皮半夏を使用

薬物療法は子どもの発達を支援し、自信をつけるための手段です。
周囲の温かい声かけや肯定的なフィードバックが重要です。

反抗挑発症・素行症

二次障害

ADHDでは度重なる失敗や叱責により自信を喪失し、社会適応が難しくなることがあります。
二次障害には外在化障害(反社会的行動)内在化障害(ひきこもり、不安症、気分変調症)があります。

反抗挑発症

  • 拒絶的、反抗的、挑発的な行動が頻繁に見られ、日常生活で著しい障害を引き起こす

素行症

  • 他者の基本的人権や社会的規範の侵害を繰り返し、日常生活で著しい障害を引き起こす

これらの行動はしつけや懲罰の対象とされがちですが、生物学的に脆弱な基盤があるため、
予防や早期治療が重要です。

生物学的要因

  • 攻撃的な気質、認知障害、低い言語能力、協調運動障害、対人スキルの弱さ、感覚過敏

心理社会的要因

  • 虐待などの劣悪な養育環境、先生の叱責や友人からのいじめ

適切な介入が行われない場合、反社会的パーソナリティ障害や薬物乱用、不安障害のリスクが高まります。自己受容の支援が早期から継続的に必要です。

以上が、多動性障害および関連する行動障害についての解説です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。