肝硬変に伴う食道静脈瘤 破裂したら命の危険も… 救急看護師の対応について

食道静脈瘤の危険性を軽視してはいけない理由

食道静脈瘤は、適切に対応しなければ命に関わる可能性のある重大な疾患です。
本記事では、食道静脈瘤の基本的な説明から原因、危険性、そしてその治療法に至るまで、詳しく解説していきます。

食道静脈瘤とは

食道静脈瘤とは

食道静脈瘤は、食道の粘膜下層にある静脈が拡張し、瘤(こぶ)を形成した状態を指します。
この状態が進行すると、瘤が破裂し、大量出血を引き起こす可能性があります。
特に破裂時には迅速な対応が求められるため、予防的なケアが重要です。

この病態の原因としては、主に肝硬変が挙げられます。統計によれば、食道静脈瘤の約90%が肝硬変に関連しています。
他にも、特発性門脈圧亢進症やバッド・キアリ症候群、慢性膵炎なども原因となることがあります。

肝硬変とその影響

肝硬変とは、肝臓が炎症と再生を繰り返すことで、組織が硬く変化し機能が低下する病態です。
肝硬変の主な原因は以下の通りです。

  • アルコールの過剰摂取
  • 肝炎ウイルス感染(B型肝炎、C型肝炎など)
  • その他(脂肪肝や自己免疫性疾患など)

肝硬変は初期の「代償期」と末期の「非代償期」に分類されます。
代償期では、残存する肝細胞が機能を補おうと働くため、目立った症状は少ないですが、非代償期に移行すると、肝臓の機能が著しく低下します。

肝臓の働きと肝硬変の影響

肝臓は以下のような重要な役割を果たしています。

  • 分解:アルコールやコレステロールの分解
  • 解毒:体内に入った有害物質や添加物の解毒
  • 代謝:糖質、脂質、タンパク質の代謝
  • 胆汁生成:脂肪の消化を助ける胆汁を生成
  • 貯蔵:栄養素や血液、エネルギーを貯蔵

肝硬変が進行すると、これらの機能が著しく低下し、黄疸、腹水、浮腫、出血斑などの症状が現れます。その中でも、門脈圧亢進症により発生する食道静脈瘤は、特に注意が必要です。

血液循環と門脈圧亢進症

肝臓には門脈という大きな静脈が接続しており、ここを通る血液には消化管で吸収された栄養素や有害物質が含まれます。肝臓でこれらの物質が処理された後、血液は心臓に戻り全身を循環します。

しかし、肝硬変が進行すると肝臓が硬化し、門脈での血液の流れが阻害されます。
この結果、門脈圧が上昇(門脈圧亢進症)し、血液が本来の経路を通れなくなるため、側副血行路という別の経路を通り始めます。
この側副血行路の発達が食道静脈瘤の形成に繋がります。

食道静脈瘤の危険性

食道静脈瘤の危険性

側副血行路を通る血液は、通常より細い血管に負荷をかけるため、静脈瘤が形成されるだけでなく、その壁が非常にもろくなります。
さらに、肝硬変に伴うタンパク質合成機能の低下によって、血管壁の強度が一層低下します。このような状況では、静脈瘤が破裂するリスクが非常に高まります。

破裂した場合、大量出血を引き起こし、ショック状態や最悪の場合、死亡に至ることもあります。
実際に、食道静脈瘤の破裂は肝硬変の三大死亡原因の一つとされています。

食道静脈瘤の発見と治療

食道静脈瘤は、外見からは発見できないため、健康診断や定期検査が重要です。
以下の検査で確認することができます。

  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
  • X線造影検査(バリウム検査)

早期に発見された場合、内視鏡を用いた治療が行われます。
代表的な治療法には以下があります。

  1. 内視鏡的静脈瘤結紮療法(EVL):静脈瘤をゴムバンドで縛る方法
  2. 内視鏡的硬化療法(EIS):薬剤を注入し、静脈瘤を硬化させる方法

また、破裂した場合には、緊急対応が求められます。
救急外来では、以下のような処置が迅速に行われます。

  • 酸素投与
  • 輸血ルートの確保
  • 血圧や体温のモニタリング
  • 内視鏡治療の実施

まとめ

食道静脈瘤は、肝硬変の進行によって引き起こされる危険な状態です。
その破裂は、大量出血や命の危険を伴うため、早期発見と予防的な治療が不可欠です。
健康診断での胃カメラ検査や定期的なフォローアップを怠らないようにしましょう。

次回の記事では、内視鏡的治療法であるEVLやEISについて詳しく解説します。
健康を守るための正しい知識を身につけ、適切なケアを心がけましょう。