脳震盪という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。特にスポーツや交通事故など、頭部に衝撃が加わる場面では、脳震盪が発生するリスクがあります。
脳震盪は一見すると軽い怪我のように思われがちですが、放置すると重大な後遺症や命の危険を伴う場合もあります。
この記事では、脳震盪の症状や病態、そして適切な対応について詳しく解説します。

脳震盪は、何らかの衝撃によって頭部が揺さぶられ、脳に生理学的な異常が発生した状態を指します。これは脳細胞の直接的な損傷や、衝撃に伴う脳内のひずみによって引き起こされます。
脳震盪は以下のような場面で発生することが多いです:
• スポーツ:サッカーやラグビー、アメリカンフットボールなど、身体の接触が多い競技。
• 交通事故:車両衝突や転倒による頭部への衝撃。
• 日常生活の怪我:転倒や高所からの落下など。
特に激しい運動をする若年層や健康な成人でも起こる可能性が高く、決して珍しい状態ではありません。
脳震盪は、頭部に直接的な衝撃が加わることで発生しますが、その衝撃は脳の対側損傷も引き起こします。
• 直接損傷:衝撃を受けた部位の脳が損傷する。
• 対側損傷:衝撃によって脳が頭蓋内で揺れ、反対側の脳が頭蓋骨にぶつかり損傷する。
これにより、広範囲にわたる脳細胞の障害が生じます。

脳震盪の症状は多岐にわたり、軽度から重度まで様々です。
• 記憶喪失:受傷前後の記憶が曖昧になる。
• 意識障害:ボーっとする、集中力が低下する。
• 身体的症状:頭痛、吐き気、脳の圧迫感。
• 行動の変化:動きがぎこちなくなる、反応が鈍くなる。
意識消失は必須ではない!
脳震盪=意識消失というイメージを持つ方も多いですが、実際には約90%の患者さんが意識を失いません。そのため、軽度の症状だけでは脳震盪を見逃してしまうことがあります。
脳震盪の直後に再び頭部に強い衝撃が加わると、セカンドインパクト症候群が発生する可能性があります。これは数日から数週間のうちに二度目の衝撃を受けた場合に起こり、以下のような重篤な影響を及ぼします:
• 脳の腫脹。
• 脳出血や脳ヘルニア。
• 命に関わる深刻な脳障害。
脳震盪が進行すると、以下の頭蓋内出血を引き起こすことがあります:
• 急性硬膜外血腫:血管が切れて頭蓋骨と硬膜の間に血液がたまる状態。
• 急性硬膜下血腫:硬膜と脳の間に血液がたまる状態。
これらは早急な治療を必要とし、放置すると命に関わる可能性があります。
救急外来に脳震盪が疑われる患者さんが搬送された場合、まず全身状態を評価します。以下の観察ポイントに注意しましょう:
• 意識レベルの変化。
• 脳神経症状の有無(言語障害や麻痺など)。
• バイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸状態)。
脳震盪は多くの場合、安静を保つことで自然治癒します。しかし、安静が不十分だと症状が長引いたり、悪化する可能性があります。
• 激しい運動や心拍数が上がる活動を避ける。
• 休息期間:症状の程度に応じて1週間以上の休息が必要な場合もあります。
帰宅となる場合、看護師は患者さんや家族に次の点を説明します:

※脳震盪の症状が長引く場合には、専門医への紹介や継続的なフォローアップが必要です。
脳震盪は、軽度に見える場合でも放置してはいけない状態です。適切な対応がなされなければ、後遺症や命に関わる合併症を引き起こす可能性があります。
患者さんやご家族に症状の危険性を理解していただき、適切な経過観察を促すことが看護師の重要な役割です。
早期対応と正しい指導で、脳震盪による合併症や後遺症を防ぎましょう。