
自閉症と診断されても、その症状は一人一人異なります。
アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症(ASD)として考えると
その多様性はさらに広がります。
一方で、自閉症に共通する心理的特徴も存在します。
一人ひとり異なる自閉症の状態を理解するためには
その人の特徴を個別に評価し理解する必要があります。
そのためには、自閉症特有の共通した特徴を理解の基盤とすることが重要です。
今回は、一人の自閉症の人を理解するための重要な視点と、自閉症特有の特徴
そして物事の理解の仕方について具体的に説明したいと思います。
自閉スペクトラム症に共通する特徴として、1981年にイギリスのローナ・ウィングが
提唱した「三つ組の特性」があります。
・社会的相互交渉の障害
・コミュニケーションの障害
・想像力の障害
一人の自閉症の人を理解する際には、その人の物事の理解の段階や特徴を知ることが重要です。
その人が言葉をどの程度理解しているか、「ごはんですよ」と言われて
食卓に来るからといって言葉の意味を理解しているとは限りません。
目に見えるものやジェスチャーが手掛かりになっている場合もあります。
また、日常のルーティンで理解していることも考えられます。
このように、言葉の理解を日常生活の中で評価し確認することが必要です。
次に、視覚的に理解する力についても確認が必要です。
絵や写真、シンボルやマーク、文字や数字を見せると理解できるか
または実物でないとわからないかを確認します。
例えば、トイレを示す際にジェスチャーや写真、マークで示す方法を試すことが重要です。
自閉症の人は一般的に、話し言葉よりも視覚的に提示された情報を理解しやすいことがわかっています。
しかし、口に出す言葉と理解のバランスが悪く、よく話す割には理解が伴わない場合も多くあります。
聴覚的な記憶力があるため、聞いたセリフを再現できますが、抽象的な概念や物事の筋道を理解することが苦手です。
相手の意図を汲み取れず、会話が成立しにくいこともあります。
例えば、「気をつけてまっすぐ帰ってね」と言われた時、それを字義通りに解釈して真顔で
答えることがあります。
相手の気持ちやその場の雰囲気を理解し、自分の言動を調整することが苦手です。
失礼なことをしてしまうのは、具体的な理解が不足しているためです。
・話し言葉
・言葉の概念
・話の文脈
・相手の意図や感情
・その場の雰囲気
・暗黙の了解事項
これを前提として、その人が何をどの程度理解できているかを丁寧に評価する必要があります。
自閉症の人は感覚刺激の入力にも特徴があります。
定型発達の人は必要な情報に注意を向け、それ以外の刺激を遮断することができますが
自閉症の人はどんな情報も刺激も優先順位をつけずに入力されます。
そのため、特定の音や感触を極端に嫌がったり、回転するものに見入ったりすることがあります。
自閉症の人は些細なことでも不安になりやすい特徴があります。
特に見通しが持てないときや予想と違う展開になったとき、不安から混乱することがあります。
突然のアクシデントや行事が苦手なのはこのためです。
「三つ組の特性」の「想像力の障害」とも関連しています。
また、こだわり行為は不安の裏返しとされています。
自閉症の人は優れた能力を持つことが多く、例えば非常に記憶力が優れている場合や
視覚的に理解できるパターンで高いパフォーマンスを発揮することがあります。
しかし、能力の高い部分だけに注目しすぎると、周囲の期待に応えられず
がっかりさせる結果になりがちです。
自閉症の人を理解し支援するためには、柔軟な手法が求められます。

自閉症の人を理解するための重要な視点と特徴、理解の仕方についての具体的な考え方でした。
自閉症の人の暮らしを支援する考え方は、自閉症を正しく理解し
その人の症状の現れ方を理解することによって変わります。