【不整脈の完治に向けて】心房細動に対するカテーテルアブレーション手術の方法と看護について 注意したい合併症は?

 「心臓を焼く」とも称される治療法 カテーテルアブレーション について解説します。不整脈に悩む患者さんにとって、この治療法はどのような意味を持ち、術後にどのような観察が必要なのかを掘り下げていきましょう。

心臓カテーテルアブレーションとは

心臓カテーテルアブレーションとは

カテーテルアブレーションは、主に心房細動をはじめとする不整脈に対して行われる治療法です。不整脈の根治が期待でき、患者さんの生活の質を向上させる効果があります。
心房細動とは、心臓の上部にある「心房」で異常な電気刺激が発生し、それが心臓全体の不規則な収縮を引き起こす疾患です。この異常により心臓のポンプ機能が低下し、血圧低下や血栓形成を招き、脳梗塞などのリスクが高まることがあります。

治療の流れとメカニズム

カテーテルアブレーションでは、異常な電気刺激の多くが発生する「肺静脈」付近の心筋細胞を焼却または冷却することで、これ以上異常な電気刺激が心房に伝わらないようにします。この処置は 「肺静脈隔離アブレーション」 と呼ばれ、心房細動の治療における主要な手段です。

具体的な手順としては以下のようになります:

  1. カテーテルの挿入
    • 極小麻酔または全身麻酔を使用し、専用のカテーテルを患者さんの鼠径部などから挿入します。
    • カテーテルには電極が付いており、異常な電気信号の発生源を特定します。
  2. 焼却処置
    • 肺静脈の入り口付近を60度程度の温度で焼却し、異常な電気刺激の流れを遮断します。

この治療法は侵襲が小さく、患者さんの身体的負担を最小限に抑えることができます。しかし、心筋を焼却するため、一定のリスクを伴う点も忘れてはなりません。

注意すべき合併症

1. 心タンポナーデ

心タンポナーデは、カテーテルによる操作中に心筋が傷つき、心膜(心臓を包む膜)に血液がたまることで発生します。
この状態になると心臓の拡張機能が低下し、全身への血液供給が著しく減少するため、ショック状態に陥る可能性があります。

心タンポナーデの主な症状

  • 血圧低下
  • 心音減弱
  • 頸静脈怒張(これらを「ベックの三徴」と呼びます)

緊急時の対応として、心嚢穿刺やドレナージによる血液排出が必要です。術後も循環動態の変化に注意を払い、早期発見を心がける必要があります。

2. 脳梗塞

アブレーション治療中、カテーテルの長時間留置により血栓が形成されることがあります。血栓が血流に乗って脳に運ばれると、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。
このため、治療中は抗凝固薬を用いて血栓形成を予防しますが、術後も引き続き神経所見(麻痺や感覚障害)に注意を払う必要があります。

その他の合併症

  • 房室ブロック
  • カテーテル挿入部位の出血
  • 横隔膜神経麻痺
  • 食道障害や肺静脈狭窄

不整脈再発のリスクと対策

不整脈再発のリスクと対策

カテーテルアブレーションは高い成功率を誇りますが、術後に不整脈が再発する可能性もあります。再発の原因には以下が挙げられます:

  • 焼却が不十分であった場合
  • 肺静脈以外の異常刺激が治療されていない場合

再発した場合には、再度アブレーションを実施することがあります。この際、残存する異常部位を特定することで、再発を抑えることが期待されます。

術後の観察ポイント

術後の観察では以下の点に注意を払います:

  • 循環動態の異常
    心タンポナーデや脳梗塞の兆候を早期に発見する。
  • 神経所見
    手足の麻痺や感覚異常などがあれば、脳梗塞の可能性を考慮する。
  • 再発リスクの把握
    心電図モニタリングを通じて、不整脈の再発有無を確認する。

まとめ

カテーテルアブレーションは、不整脈の根治が期待できる画期的な治療法です。しかしながら、侵襲が小さいとはいえ、心タンポナーデや脳梗塞などの合併症が命に関わる可能性があります。そのため、術後も細やかな観察と適切なケアが求められます。

医療者として患者さんの安全を守り、より良い生活の質を提供するために、確かな知識と注意深い観察を続けていきましょう。