苦手克服!PCPSの原理と設定
今回のテーマは、苦手克服を目指して「PCPS(経皮的心肺補助装置)の原理と設定」について丁寧に解説していきます。
PCPSとは何か?
PCPS(Percutaneous Cardiopulmonary Support)は、経皮的に心臓と肺の働きを補助する機械のことを指します。
- P:Percutaneous(経皮的に)
- C:Cardio(心臓)
- P:Pulmonary(肺)
- S:Support(補助)
簡単に言えば、PCPSは心臓や肺の機能が低下している患者さんに対し、足の付け根(大腿部)からカテーテルを挿入し、血液を機械に取り込み、人工肺を経由して酸素を供給した後、再び体内に血液を送り返す仕組みです。これにより、血圧の維持や体内の酸素化を補助します。
PCPSの仕組み
1. 血液の流れ
- 脱血管(カニューレ)を右大腿静脈に挿入し、血液を機械へ取り込みます。
- 人工肺を経由し、酸素を十分に取り込んだ血液を送血管(カニューレ)を通じて大腿動脈から体内に戻します。
2. 大腿静脈を選択する理由
- 大動脈は体の中心を走行していますが、大静脈は右寄りに位置しています。そのため、左大腿静脈から挿入すると角度がつき、操作が難しくなることが多いため、右大腿静脈が第一選択とされています。
PCPSの回路構成
PCPS装置には以下の要素が含まれています。
- 遠心ポンプ:血液を取り込む役割を担います。
- 人工肺:血液に酸素を供給し、二酸化炭素を排出します。
- ガスブレンダー:酸素濃度を調整します。
- コントローラー:装置全体を操作します。
PCPSの適応
PCPSの使用が必要となる患者さんは、重篤な状態であることがほとんどです。日本循環器学会による適応例を以下に挙げます。
- 心停止状態
- 難治性心不全での呼吸循環補助
- 心原性ショック状態での心肺蘇生
- 手術後の低拍出状態
- 薬剤抵抗性の難治性不整脈
- 重篤な呼吸不全
これらの条件に該当する場合に、PCPSは命を支える重要な役割を果たします。
PCPSの基本設定
PCPSの設定は以下の4つが重要です。
- 酸素濃度(FIO2)
- 血液にどの程度の酸素を含ませるかを決定する指標で、ガスブレンダーで調整します。
- 初期設定では100%とすることが一般的です。
- 酸素流量
- 血液中の二酸化炭素濃度を調整するための設定です。酸素流量を増やすと二酸化炭素が多く排出され、反対に減らすと排出が少なくなります。
- 血液流量
- 体内に送り出す血液の量を決定します。遠心ポンプの回転数によって設定され、血圧や乳酸値など患者さんの全身状態をもとに調整します。
- 遠心ポンプの回転数
- 血液流量を制御するための指標で、必要に応じて調整します。
初期設定の目安
初期設定では、患者さんの体重に応じて酸素流量と血液流量を1:1の比率で設定します。例を以下に示します。
| 体重 (kg) | 血液流量 (L/min) | 酸素流量 (L/min) |
| 45 | 2.7 | 2.7 |
| 50 | 3.0 | 3.0 |
| 55 | 3.3 | 3.3 |
| 60 | 3.6 | 3.6 |
これにより、循環不全の改善を観察しながら適切な値に微調整していきます。
PCPSの循環動態とミキシングゾーン
PCPSの特徴的な概念に「ミキシングゾーン」があります。これは、PCPSによって送られる血液と患者さん自身の心臓から送られる血液がぶつかる部分を指します。
- 心拍出量が低い場合:PCPSに依存しており、ミキシングゾーンが心臓付近に位置します。
- 心拍出量が改善する場合:ミキシングゾーンは徐々に大動脈球を超え、下行大動脈付近に移動します。
ミキシングゾーンの確認方法
右手の動脈ライン(Aライン)から血液ガスを測定します。以下のような判断が可能です。
- PaO2が300近い場合:PCPSに循環が依存している。
- PaO2が100前後の場合:患者さんの心拍出量が改善してきている可能性がある。
まとめ
PCPSは、心肺機能が低下した患者さんに対し、酸素化と循環を補助する重要な装置です。その操作や管理は一見複雑に思えますが、基本を押さえることでシンプルに理解することができます。特に、酸素濃度や流量、血液流量、遠心ポンプの回転数といった設定項目を正確に把握することが重要です。また、ミキシングゾーンの把握によって患者さんの状態を評価し、適切なケアを提供できるようになることが求められます。
苦手意識を克服し、PCPSの運用に自信を持てるよう、ぜひ今回の記事を参考にしてください!