ストーマは、消化器や尿路の疾患により、排泄のために腹部に造設される排泄口を指します。ストーマには消化管に作られる「人工肛門」と、尿路に作られる「人工膀胱」があります。ストーマを保有する患者さんは「オストメイト」と呼ばれ、適切な位置にストーマを造設することが、患者さんの術後の生活の質(QOL)を大きく左右します。
この記事では、ストーマ造設における「ストーマサイトマーキング」について詳しく解説します。

ストーマとは、体外に排泄物を出すために造られる人工的な排泄口です。消化管に作られたものを「人工肛門」、尿路に作られたものを「人工膀胱」と呼びます。看護師がストーマケアを行う際には、患者さんが保有するストーマの種類や特徴を把握しておくことが重要です。
ストーマサイトマーキングは、「術前にストーマを造設する部位を選定し、体表に印をつける手技」です。この位置決めは、ストーマ造設後の管理のしやすさや患者さんの生活の質に直結します。看護師が関与する機会が多い手技の一つであり、特に消化器外科や救急領域で頻繁に実施されます。
ストーマサイトマーキングは、患者さんの体型や術後のセルフケアのしやすさを考慮して行う必要があります。また、救急搬送時の緊急手術においても、迅速かつ正確にマーキングを行う技術が求められます。
ストーマサイトマーキングを行う際には、以下のクリーブランドクリニックの5原則を意識します:
患者さんの体型や病態によっては、5原則をそのまま適用できない場合があります。特にメタボリックシンドロームの患者さんでは、上腹部が突出しているため、下腹部が見えにくいことがあります。このような場合には以下の3原則を優先することが推奨されます:
• 腹直筋を貫く位置
• 皮膚のくぼみやしわ、瘢痕を避けた位置
• 患者さんが見やすい位置
これらを考慮することで、合併症の予防や装具の適応性を高め、患者さんの生活の質を保つことができます。

ストーマサイトマーキングに必要な物品は以下のとおりです:
• 油性ペンと水性ペン。
• ノギス、メジャーまたは定規。
• アルコール綿。
• マーキングディスク(直径7~8cm)。
1.事前確認
o 医師にマーキングの必要箇所(例:4か所など)を確認します。
2.基準線の作成
o 患者さんに仰向けで寝ていただき、臍を中心とした正中線と水平線を十字に水性ペンで描きます。
o 肋骨弓や上前腸骨棘の位置を確認し、腹部の基準線を明確にします。
3.腹直筋の確認
o 腹直筋を特定するため、患者さんに腹筋運動のように上体を起こしてもらいます。筋肉が収縮する位置を手で確認しながらマーキングを行います。
o 腹直筋の位置が分からない場合には、CT画像を用いることもあります。
4.ディスクを使った確認
o 基準線で囲まれたスペースにマーキングディスクを置き、平面が確保できるかを確認します。
o ディスクと骨の間隔を指3本分程度確保し、装具が安定する位置を選びます。
5.患者さんの確認
o マーキング位置を患者さん自身に確認してもらい、見えやすくセルフケアが可能かを確かめます。
o 立位、座位、前屈などの姿勢で位置を再確認し、必要に応じて微調整を行います。
6.油性ペンで固定と記録
o 医師の確認後、油性ペンでマーキングを固定します。
o マーキング位置を臍からの距離を基準に記録し、術中の参照に備えます。
緊急手術の場合、患者さんが座位や立位を取れないことが多くあります。その場合には以下の工夫を行います:
• ギャッジアップで上体を起こし、皮膚のたるみを確認します。
• 仰向けのまま膝を曲げてもらい、皮膚の状態を確認します。
• 患者さんにマーキング部分を触ってもらい、正確に認識しているか確認します。
ストーマ造設は、患者さんの排泄を補助する重要な医療行為ですが、それと同時に生活を大きく変える要素でもあります。マーキングの位置が適切でないと、以下の問題が生じる可能性があります:
• 装具の不適合:隙間が生じ、漏れや皮膚障害を引き起こします。
• セルフケアの困難:患者さん自身での管理が難しくなります。
• 心理的負担:不適切な位置により、生活の質が低下します。
ストーマサイトマーキングは、患者さんが新しい生活にスムーズに適応できるようサポートする「スタート地点」です。
ストーマサイトマーキングは、患者さんの術後生活の質を大きく左右する重要な手技です。そのため、次のポイントを押さえておきましょう:
ストーマ造設は患者さんの生活を一変させる医療行為であり、適切なマーキングはその基盤を支える重要なステップです。
看護師として、患者さんの生活を見据えたケアを提供できるよう努力しましょう。