こんな症状には注意!心筋梗塞の治療と看護について 血管を広げて終わりじゃない!

 急性心筋梗塞は、冠動脈の閉塞によって心臓の筋肉が酸素不足に陥り、壊死してしまう疾患です。発症すると心臓のポンプ機能が低下し、生命に危険が及びます。

 治療の中心は冠動脈を再開通させることですが、その後のケアや再発防止のための対策も非常に重要です。

 本記事では、心筋梗塞の基礎知識、治療法、そして看護師としての対応について詳しく解説します。


心筋梗塞とは

冠動脈の役割

 心臓には、全身へ血液を送り出すためのポンプ機能があります。この心臓を養う冠動脈は、右冠動脈、左前下行枝、左回旋枝という3本の主要血管からなります。それぞれ以下のような役割を担っています:

 • 右冠動脈:洞結節や房室結節など、心臓の電気刺激に関わる部分と右心室を養う。
 • 左前下行枝:左心室前壁や心室中隔の前2/3に酸素を供給。
 • 左回旋枝:左心室の側壁や後壁を養う。

 これらの冠動脈が血栓により閉塞すると、心筋に酸素が行き渡らなくなり、心筋が壊死してしまいます。


冠動脈閉塞から心筋壊死までの流れ

 冠動脈が閉塞すると、心筋はすぐに壊死するわけではありません。初期段階では「冬眠状態」となり、心筋が酸素の消費を抑えつつ生存を試みます。しかし、この状態は長時間続けられるものではありません。

 閉塞から約6時間以内に治療を開始することが、心筋の壊死を防ぎ、予後を大きく改善するポイントです。この時間帯は「ゴールデンタイム」と呼ばれます。


心筋梗塞の原因と症状

発生のメカニズム

 血管内膜に高血圧などの影響で亀裂が入り、コレステロールが沈着すると、亀裂に反応した単球(白血球の一部)がコレステロールを取り除こうと集まります。単球の残骸がコレステロールとともに蓄積し、プラークを形成します。

 心筋梗塞の多くは、冠動脈内に形成されたプラークが破綻し、血栓ができることで起こります。

プラーク形成の背景には以下があります:
 • 高血圧:血管内膜への負荷増加。
 • 動脈硬化:血管が硬化し、内膜が傷つきやすくなる。
 • 糖尿病:血管の柔軟性を低下させ、プラーク形成を促進。
 • 喫煙:血管の炎症と動脈硬化を悪化。
 • 脂質異常症:コレステロール値の上昇。


主な症状

心筋梗塞は典型的には以下の症状を伴います:
 • 胸痛:胸が圧迫されるような痛み。
 • 冷や汗や気分不快感。
 • 肩や歯の痛み(関連痛):神経が束にまとめられることで、脳が痛みの部位を勘違い。
 • 呼吸困難や嘔吐。
 • 意識消失:重症の場合に発生。


注意が必要なケース

 • 無症候性心筋虚血:糖尿病患者さんや高齢者では、痛みに対する感覚が鈍化し、胸痛を感じにくい場合があります。
 • 関連痛:胸とは関係のない肩や歯の痛みが心筋梗塞のサインであることもあります。


心筋梗塞の検査と治療

検査

1.12誘導心電図
 心臓の複数の角度から電気活動を記録し、冠動脈のどの部分が閉塞しているかを特定します。モニター心電図のように1つの側面だけを見て心臓全体の評価をすることはできません。必ず12誘導心電図を優先して確認するようにしましょう。

2.採血
 心筋細胞の破壊を示す指標(トロポニン、クレアチニンキナーゼ)を確認します。

3.心臓超音波検査(心エコー)
 心臓の壁運動、形状、大きさ、収縮率、弁の動きなど簡易な検査で多くの指標を確認することができます。


治療

1.初期治療(MONA)
 • M(モルヒネ):痛みを緩和し、酸素消費を低減。
 • O(酸素):低酸素状態の改善。
 • N(ニトログリセリン):冠動脈を拡張し、血流を改善。
 • A(アスピリン):血小板凝集を抑制し、血栓拡大を防止。

2.冠動脈の再開通治療
 • CAG(冠動脈造影)、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)
 足や手首の血管からカテーテルを挿入して、冠動脈の検査を行い狭くなっている部分や詰まっている部分を見つけ出します。バルーンやステントを使い、閉塞した冠動脈を拡張します。
 • CABG(冠動脈バイパス術)
他の血管を用いて血流を迂回させる外科的手術です。


看護師としての対応と退院後ケア

看護師が意識すべきポイント

1.早期対応
 患者さんの訴えをしっかりと聞き取り、迅速に検査や治療を進めるよう医師と連携します。特に「ゴールデンタイム」を意識した迅速な処置が重要です。

2.症状の観察
 胸痛以外の症状(肩の痛み、冷や汗など)も心筋梗塞の可能性を考慮し、状態変化を見逃さないよう注意します。


退院後のケア

1.薬物療法の継続
 抗血小板薬やコレステロール降下薬などの内服治療は再発防止に不可欠です。

2.生活習慣の指導
 o 食事:減塩や脂肪を控えたバランスの良い食事を推奨。
 o 運動:心臓リハビリテーションを通じて適切な運動を行います。

3.心理的サポート
 心筋梗塞後は再発への不安が強くなることがあります。看護師として、患者さんやご家族に寄り添いながら支援することが重要です。


心筋梗塞を予防するために

心筋梗塞は予防可能な疾患です。以下のポイントを意識しましょう:

 • 定期健診:血圧やコレステロール値を把握し、異常があれば早期に対処する。
 • 生活習慣の見直し:禁煙や適度な運動、ストレス管理を心がける。
 • 基礎疾患の治療:高血圧や糖尿病などを適切に管理する。


まとめ

 心筋梗塞は迅速な治療で命を救うことが可能な疾患ですが、治療後のケアや生活改善が再発予防に欠かせません。

 看護師は患者さんの早期発見、治療サポート、退院後の指導を通じて患者さんの健康を支える役割を果たします。

 適切な知識を持ち、患者さん一人ひとりに寄り添ったケアを提供することが重要です。