【5分でわかる!】DICの治療と看護について②~病態が分かればケアにも繋がる!~

 DIC(播種性血管内凝固症候群) は、何らかの基礎疾患によって体内の凝固機能が異常に活性化し、血管内で大量の血栓が形成される状態を指します。進行すると、臓器の機能障害を引き起こすほか、逆に出血傾向を招く危険性があります。DICの治療には基礎疾患の治療に加え、直接DICに対処する治療が必要です。


DICの基本的な病態

 正常な人体では、血管が損傷すると複数の凝固因子が連鎖的に反応して止血が行われます。この際、トロンボモジュリン や アンチトロンビン といった物質が制御役となり、凝固反応が異常に活性化することを防いでいます。

 一方、DICではこの調節機能が失われ、次のような2つの病態が同時に進行します。

DICの基本的な病態
血栓形成の亢進
  1. 血栓形成の亢進
    大量の血栓が全身で形成されることで、血流が妨げられ、臓器障害を引き起こします。
  2. 出血傾向の増加
    凝固因子や血小板が過剰に消費される「消費性凝固障害」が進行し、出血しやすい状態になります。

DICに対する治療法

DICの治療は主に以下の2つに分類されます。

  1. 抗凝固療法
    血栓の形成を抑えたり、線溶(血栓溶解)が過剰に進むのを防ぎます。
  2. 補充療法
    凝固因子や血小板を補充して出血を予防します。
治療目的主な治療薬
凝固因子の補充FFP(新鮮凍結血漿)、PC(血小板濃厚液)
血栓予防ヘパリン、ノイアート、アコアラン、リコモジュリン
線溶予防ガベキサート、ナファモスタット

※看護師が治療薬を選択することはありませんが、治療薬の役割や目的を理解することで、患者さんの病態を深く把握し、適切なケアに繋げることができます。


DICの主な症状

DICでは基礎疾患の症状に加え、以下のような症状が現れることがあります。

• 血栓形成による症状
 深部静脈血栓症(DVT)、肺血栓塞栓症、脳梗塞、腸管壊死など。
• 出血傾向による症状
 点状出血、皮膚紫斑、血尿、下血、吐血、脳出血など。

 これらの症状を早期に発見し、適切に対処することがDIC患者さんの予後を大きく左右します。


看護師が注意すべき観察ポイント

1.出血傾向の観察

• 口腔ケア時:歯ぐきからの出血がないか確認。
• 清拭時:皮下出血や紫斑がないか観察。
• 採血後:圧迫止血が不十分な場合、血腫形成を招く可能性があるため、止血状況を確認。


2.血栓形成のリスク管理

• 離床時の注意
 リハビリや離床が進むと、血栓が遊離して肺血栓塞栓症を引き起こすリスクが高まります。特に呼吸循環動態が乱れる場合、迅速に対応する必要があります。


3.その他の観察ポイント

3.その他の観察ポイント
• バイタルサインの変化

• バイタルサインの変化
 血圧や脈拍、酸素飽和度の異常は、血栓や出血による合併症を示唆する場合があります。
• 血液データの確認
 血小板数、PT-INR(プロトロンビン時間)、フィブリノーゲン値など、凝固機能を表す指標を定期的に確認します。


看護師の具体的なケア

1.観察結果の共有

 医師やチーム内で患者さんの状態変化を共有し、適切な治療やケアが行えるようにします。

2.患者さんの不安軽減

 DICの治療は長期化することがあり、患者さんやご家族は不安を抱えることが多いです。病態や治療内容について丁寧に説明し、不安を和らげるよう努めましょう。

3.リスク管理

 血栓形成や出血の兆候を見逃さないよう、日々の観察やケアに細心の注意を払いましょう。

4.予防的ケア

 血栓形成を予防するために、適度な運動や水分摂取を促します。ただし、離床時は血栓が遊離しないよう慎重に行います。


DICの治療とケアの重要性

 DICは、全身の血液凝固・線溶系に異常をきたすため、適切な治療と看護が患者さんの命を守る鍵となります。原因疾患の治療と並行して、看護師は病態を深く理解し、血栓や出血に注意を払いながら、患者さんの全身状態を見守ることが重要です。患者さんの症状や治療経過に応じた柔軟な対応と、早期発見のための観察力が求められます。


今回のまとめ

 • DICは血栓形成と出血傾向が同時に進行する危険な病態。
 • 治療は抗凝固療法と補充療法が中心。
 • 看護師は血栓形成や出血の兆候に細心の注意を払い、日々のケアを行う。
 • 患者さんの不安を軽減し、リスク管理を徹底することで、治療効果を高める。

患者さんの病態を理解し、適切なケアを提供することで、命を守る一助となります。