大腸がんに対する低位前方切除術について解説! 術後に気をつけるポイントや看護についてわかる!

看護学生必見!直腸がんに対する低位前方切除術について

今回も医療について勉強していきましょう。テーマは「直腸がんに対する低位前方切除術」です。この手術は、患者さんの肛門を温存し、QOL(生活の質)を保つために重要な外科的治療法です。看護学生や医療従事者としての理解を深めるために、手術の流れや術後ケアのポイントを詳しく解説します。


直腸がんとは

直腸がんは大腸がんの一種で、直腸に発生する悪性腫瘍を指します。大腸は、小腸から送られてきた消化物から水分や電解質を吸収し、便を形成して排泄する重要な器官です。直腸がんは主に粘膜層から発生し、進行すると血管やリンパ管を通じて全身に転移するリスクがあります。

直腸がんの治療法には内視鏡治療や外科的治療がありますが、進行がんや内視鏡治療が適さない場合には外科的治療が選択されます。その中で低位前方切除術は、がんが肛門から5センチ以上離れている場合に適応される手術法で、患者の肛門を温存しながらがんを切除します。


低位前方切除術の流れ

  1. 全身麻酔の導入と切開
    手術は全身麻酔下で行われます。へそ上部から恥骨上まで腹部を切開し、皮膚、皮下、筋膜、腹膜を一層ずつ丁寧に切り開いていきます。この際、臓器損傷を防ぐため慎重に操作します。
  2. 切除範囲の決定
    がんの部位や周辺の血管・リンパ管の状態を確認し、切除範囲を決めます。通常、がん部位から口側に10センチ、肛門側に3センチ程度離れた腸管を切除します。
  3. 腸管の剥離と切除
    S状結腸や直腸を腸間膜から剥離し、腸間膜動脈やリンパ節を切断します。切除部分が決まったら直腸内を洗浄し、がん細胞の拡散を防ぎます。
  4. 腸管の吻合
    切り取った腸管を自動吻合器で繋ぎます。一部のケースでは、一時的に人工肛門を設置することもありますが、3~6ヶ月後には閉鎖が可能です。
  5. ドレーン留置と閉腹
    手術後の合併症を早期発見するためにドレーンを留置し、腹部を閉じて手術が終了します。

術後のケアポイント

術後には患者の全身状態を注意深く観察し、合併症を早期に発見することが重要です。

  1. 出血と縫合不全
    手術中に止血が確認されても、術後に出血や縫合不全が発生することがあります。以下の症状に注意してください:
    • ドレーンからの排液の増加や変化
    • 急な発熱、腹痛
    • 腹部の硬直や反跳痛(ブルンベルク徴候)

縫合不全が疑われる場合、再手術やドレナージが必要になることがあります。

  1. 排尿障害と性機能障害
    直腸周囲には排尿や性機能に関連する神経が多く存在するため、手術中の神経損傷が原因で以下の障害が起こる可能性があります:
    • 下腹神経損傷による排尿困難や尿失禁
    • 骨盤神経損傷による排尿筋の活動低下
    • 陰部神経損傷による外尿道括約筋の弛緩

術後は排尿回数や残尿量、尿失禁の有無を確認し、障害の有無を評価します。

  1. 腸閉塞
    術後の腸の動きが低下すると、便やガスの通過障害(腸閉塞)が発生することがあります。主な症状は以下の通りです:
    • お腹の張りや痛み
    • 吐き気や嘔吐
    • 腸蠕動音の低下

腸閉塞が疑われる場合、経鼻胃管やイレウス管を挿入し腸管内を減圧する必要があります。


まとめ

低位前方切除術は、肛門を温存できる直腸がんの治療法として患者のQOLを保つ大きなメリットがあります。ただし、術後の出血や縫合不全、排尿障害や腸閉塞などの合併症に注意が必要です。看護師としては、術前からリスクを把握し、術後の観察やケアを徹底することが重要です。

直腸がんの治療についての理解を深め、患者さんの回復を支える一助となれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。