房室ブロックの心電図や症状について重症度別に解説します!

 心臓の正常な収縮には、洞結節から始まる電気刺激が心臓全体に正しく伝わることが不可欠です。この刺激が心臓内を効率よく伝達される通路を「刺激伝導系」といい、洞結節から房室結節、ヒス束、右脚・左脚、プルキンエ線維を通じて心臓全体に伝わります。これにより、心房が収縮した後に心室が収縮するという順序が保たれます。

 しかし、この通路に異常が生じると電気刺激が正しく伝わらなくなり、心房から心室への信号伝達が障害される「房室ブロック」が発生します。房室ブロックでは心拍数が著しく低下する場合があり、特に重症の場合は全身に十分な血液を送れなくなり、生命の危険を招く可能性があります。

 ここでは、房室ブロックの分類や特徴、心電図所見、症状について重症度別に解説します。


房室ブロックとは?

 房室ブロックは、心房から心室に電気信号が正常に伝達されなくなる不整脈の一種です。この結果、心室の収縮が不規則または欠落し、心拍数が大幅に低下します(徐脈)。重症度によっては心停止や失神、血圧低下などの症状を引き起こし、適切な治療が必要となります。


房室ブロックの種類と特徴

 房室ブロックは、症状や心電図所見によって Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度(完全房室ブロック) の3段階に分類されます。

房室ブロックの分類表

種類PR間隔QRS波危険度
Ⅰ度房室ブロック延長(0.21秒以上) 正常低い
Ⅱ度房室ブロック
・ウェンケバッハ型(モビッツⅠ型)徐々に延長PR間隔延長後、QRS波が欠落低い
・モビッツⅡ型一定突然QRS波が欠落高い
・高度房室ブロック一定P波からQRSが続かないことが頻発高い
Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック)不規則QRS波が消失または補充収縮高い

Ⅰ度房室ブロック

 Ⅰ度房室ブロックは、房室ブロックの中で最も軽症です。この状態では房室結節を通る電気刺激の伝達速度が遅くなるものの、すべての電気刺激が心室に伝わります。そのため、心拍数は通常の範囲内で、自覚症状がほとんどありません。

 心電図所見:PR間隔が0.21秒以上に延長(正常は0.12~0.20秒)。
 症状:無症状が多い。
 LINEで例えると:返信が遅いものの、必ずメッセージが届く状態。


Ⅱ度房室ブロック

 Ⅱ度房室ブロックでは、心房から心室への電気刺激が部分的に失われ、心拍が不規則になることがあります。主に2つのタイプに分類されます。

1.ウェンケバッハ型(モビッツⅠ型):

 PR間隔が徐々に延長し、最終的にQRS波が1回欠落します。その後は元に戻り、再びPR間隔が延びるというパターンを繰り返します。時々、心拍が欠落する程度なので超緊急というわけではありませんが、これ以上心拍の欠落が悪化しないか、バイタルサインに変化を認めないかを継続して観察する必要はあります。

 症状:軽度のめまいや動悸があることも。
 LINEで例えると:徐々に返信が遅れ、ついに1回既読無視されるが、また返信が始まる。


2.モビッツⅡ型:

 PR間隔は一定ですが、突然QRS波が消失する不整脈です。心拍欠落の頻度が増えると、2回に1回心拍が抜ける2:1房室ブロックや、3回以上間隔があいてからしか心拍が得られない高度房室ブロックといった危険な不整脈につながります。

 やがて、バイタルサインの変調を来し、生命に危険を及ぼす可能性が出てきます。よって、この不整脈にあっては経過観察をしていられないことも多く、ペースメーカーを植え込むことになる場合があります。そのため夜中であっても医師に速やかに報告する必要があります。

 症状:めまい、失神、血圧低下など。
 LINEで例えると:普通にやり取りしていたのに、突然既読無視される。


Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック)

 完全房室ブロックでは、心房から心室への電気信号が完全に遮断されます。臨床現場では「コンプリート」とも呼ばれています。その結果、心室は心房からの指令を受け取れなくなり、心室自ら「補充収縮」と呼ばれる代償的な動きを始めます。

 しかし、この補充収縮では心拍数が1分間に40回程度と遅く、全身に十分な血液を送ることができません。そのため、Ⅲ度房室ブロックを認めた場合は、緊急で対応が必要と認識し、医師へ速やかに報告することが大切です。

 心電図所見:P波は規則正しく出現するが、QRS波との関連がなくなり、完全に独立。
 症状:重度の徐脈による失神、めまい、ショック状態。
 LINEで例えると:完全にブロックされているのにメッセージを送り続ける状態。


房室ブロックの原因

房室ブロックの原因には以下のようなものがあります:
 • 器質的疾患: 心筋梗塞、心筋炎、弁膜症。
 • 薬剤性: β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリス中毒。
 • 加齢: 高齢者における刺激伝導系の劣化。


房室ブロックの治療と看護のポイント

治療法

1.軽症例(Ⅰ度、ウェンケバッハ型Ⅱ度):
 o 特別な治療は必要ない場合が多い。
 o 心電図のモニタリングで経過を観察。

2.重症例(モビッツⅡ型、Ⅲ度):
 o ペースメーカーの植え込みが必要となる場合が多い。
 o 一時的なペーシング治療が施されることも。


看護のポイント

 • 早期発見: 心電図モニタリングで異常を見逃さない。
 • 症状観察: めまい、失神、胸痛などの有無を確認。
 • 迅速な対応: 高度房室ブロックや完全房室ブロックでは速やかに医師へ報告。
 • 緊急時対応: ペーシング準備や循環動態の安定化をサポート。


まとめ

 • 房室ブロックは房室結節の障害で生じる不整脈で、Ⅰ~Ⅲ度に分類されます。
 • Ⅰ度は軽症で無症状が多いですが、Ⅱ度モビッツⅡ型やⅢ度房室ブロックは重症で、循環動態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 • ペースメーカーの適応となるケースがあるため、医療チームで迅速な対応が求められます。
 • 看護師は心電図モニタリングを徹底し、患者さんの全身状態を観察することが重要です。

 房室ブロックは迅速な診断と適切な治療で予後を大きく改善できます。

 現場で適切に対応し、患者さんの安全を守ることが看護師の役割です。