自閉症と関係のある障害【てんかん/ADHD/LD/精神疾患】

今回は、自閉症スペクトラムとてんかんの関係には知的障害の影響が大きいこと、統合失調症などの精神疾患との関連および身体的合併症についてお話ししたいと思います。
まずは、併存症と合併症について説明します。

併存症と合併症の違い
・併存症:因果関係を含めずに2つ以上の疾患が同時に存在する場合。
・合併症:一方の疾患が原因となり、他方を発症すると考えられる場合。
2つ以上の疾患が同時に存在することを指す場合は「併存症」と言い、一方の疾患が原因または誘因となり他方を発症すると考えられる場合は「合併症」と言います。
発達障害や精神障害が同時に存在する場合には、因果関係が不明なことが多いため
併存症」という言葉を使用することが多いです。

てんかんについて
自閉症スペクトラムにはしばしばてんかん併存することが知られています。
自閉症スペクトラムとてんかんの併存率は全体で4~38%とばらつきが大きいですが、
これは主に知的障害の有無とその程度によって影響されます。
知的障害が重くなるほどてんかんの併存率は高くなります。知的障害がないASDのてんかん併存率は約4%で、一般のてんかん有病率1~2%よりもやや高いです。
てんかんの発症年齢については、従来は5歳前の小児期と10~15歳の思春期の二峰性が見られましたが、最近では思春期後半に単一のピークがあると報告されています。
ASDの併存自体がてんかんの治療反応性に影響する報告はなく、治療方針もASDの併存によって影響を受けることはほとんどありません。
てんかんについては詳しいホームページ、日本てんかん協会 (http://www.jea-net.jp/) や
てんかんinfo (http://www.tenkan.info/) も参考にしてください。

自閉症スペクトラム以外の発達障害

自閉症スペクトラム以外の発達障害


自閉症スペクトラムには他の発達障害が併存することがよくあります。
特に注意欠如・多動性障害 (ADHD) 学習障害 (LD) は、自閉症スペクトラムと相互に併存しやすいとされています。
ADHDは多動、衝動性と不注意を特徴とし、自閉症スペクトラムとADHDの併存率は報告によってばらつきがありますが、自閉症スペクトラムの50%~70%にADHDが併存し、ADHDの15%~25%に自閉症スペクトラムが併存するとされています。
学習障害 (LD) は知的障害を伴わないものの特定の学習能力に明らかな低下が見られる場合を指します。自閉症スペクトラムでは、知的障害を伴わない場合でも学習能力に一定の偏りが見られることがあります。
また、発達性協調運動障害 (DCD) も自閉症スペクトラムとの併存頻度が高く、
体の部分のみを使った単純な動きは可能ですが、それらを組み合わせて滑らかな動きに統合することが困難な場合を指します。
自閉症スペクトラムではDCDと診断されていなくても協調運動に困難を持つことが多くDCDと診断されている人では社会性やコミュニケーションに困難を持つことが多いと報告されています。
トゥレット症候群も自閉症スペクトラムとの併存が報告されています。
自閉症スペクトラムの2.6%~11%にトゥレット症候群が併存し、トゥレット症候群の2.9%~20%に自閉症スペクトラムが併存するとされています。

自閉症スペクトラムと精神障害

自閉症スペクトラムと精神障害


統合失調症は、自閉症スペクトラムと関連性があり、自閉症スペクトラムと診断されている場合には、経過中に統合失調症と診断される可能性が一般の確率よりも高くなります。
反対に、小児期に統合失調症を発症した人の半数近くで、発症前から自閉症スペクトラムが見られることがあります。
また、気分障害(うつ病や双極性障害)は自閉症スペクトラムに併存することが多く、特にうつ病の併存率は報告によって13%~72%とばらつきが大きいです。
双極性障害については、自閉症スペクトラム全体の5.2%~7%に併存し、双極性Ⅰ型障害の30%とする報告もあります。
不安障害については、自閉症スペクトラム全体の11%~84%とばらつきが大きいですが、報告全体をまとめると約40%となります。

身体的合併症

身体的合併症


知的障害を伴う場合、身体的合併症の頻度が高くなり、平均余命も知的障害の程度に比例して短くなる傾向があります。
知的障害者施設内での死亡原因には、肺炎や突然死の比率が高い特徴があります。
突然死は抗精神病薬の服用剤数が多いことがリスクとされ、心電図異常との関連が想定されています。
知的障害のない自閉症スペクトラムについては、便秘といった消化器症状や偏食といった栄養障害、
睡眠障害、アトピーなどによるアレルギー症状、中耳炎などによる耳鼻科的感染症、女性ではテストステロン関連症状などが報告されています。
これらの症状により、非精神科的な薬剤の服用率が継続的に高く、医療を必要とする程度の身体的合併症が多い傾向があります。

以上が、自閉症スペクトラムに伴う併存症と合併症についての説明です。
お読みいただきましてありがとうございました。