【医療】DICの病態や治療、看護について① これ覚えておけば全てがわかります

播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態について

播種性血管内凝固症候群、通称DIC(Disseminated Intravascular Coagulation)は、さまざまな基礎疾患を背景に、凝固機能が異常に活性化することで引き起こされる病態です。この結果、不要な血栓が体内で大量に作られ、血管を詰まらせることで臓器障害を引き起こします。また、凝固に必要な材料が過剰に消費されるため、止血機能が低下し、出血傾向も現れるという特徴的な状態です。本記事では、DICの発生機序、分類、診断基準、看護の視点からのケアについて詳しく解説します。

血栓のイラスト

DICの基本的なメカニズム

DICは、以下のような過程を経て発症します。

  1. 基礎疾患による凝固機能の異常: 何らかの基礎疾患(感染症、がん、外傷など)により、凝固機能が異常に活性化。
  2. 血栓の大量形成: 凝固因子や血小板が無駄に消費されることで、不要な血栓が全身に発生。
  3. 血管閉塞による臓器障害: 微小血栓が臓器の細い血管を詰まらせ、酸素供給を阻害。これにより臓器障害が進行。
  4. 出血傾向の発現: 凝固因子や血小板の消耗が激しくなることで、必要な場面での止血が困難に。

このように、DICでは「過剰な血液凝固」と「出血傾向」という二つの相反する現象が同時に進行します。


基礎疾患とDICの発症

DICは、以下のような基礎疾患により誘発されることが多いです:

  • 感染症: 特に敗血症などの重篤な感染症が原因となることが多い。
  • 血液疾患: 白血病などの悪性血液疾患。
  • がん: 進行がんではDICが合併しやすい。
  • 外傷や熱傷: 大規模な組織損傷による凝固機能の異常。
  • 婦人科疾患: 胎盤早期剥離など。

例えば、細菌が体内に侵入し、感染症を引き起こした場合、体は細菌の広がりを防ぐために免疫血栓を形成します。しかし、感染症が進行して侵襲が大きくなると、この血栓形成の反応が過剰になり、DICを発症する可能性が高まります。


DICの分類

DICは、凝固反応と線溶(血栓を溶かす反応)のバランスによって、以下の3つに分類されます。

  1. 線溶抑制型DIC: 凝固反応が線溶反応を上回るタイプ。
  2. 線溶亢進型DIC: 血栓を溶かす線溶反応が強く出るタイプ。
  3. 線溶均衡型DIC: 凝固反応と線溶反応がほぼ均衡しているタイプ。

これらの分類は、DICの進行状況や基礎疾患によって異なるため、治療方針の決定に役立ちます。


DICの診断基準

DICの診断には、日本血栓止血学会が発表した「DIC診断基準(2017年版)」が用いられます。診断には、以下の項目が特に重要です。

血小板AI写真
  • 血小板(PLT)の低下: 一時止血に必要な血小板が大量消費されるため。
  • フィブリノゲンの低下: 二次止血を担うフィブリン生成が亢進する結果。
  • プロトロンビン時間(PT)の延長: 凝固因子の欠乏により、止血に必要な時間が延長。
  • FDP(フィブリン・フィブリノゲン分解産物)の上昇: 血栓が溶解した際に発生する残骸物質。

これらの検査値の変化をチェックすることで、DICの進行状況を評価し、適切な治療を行うことが可能です。


DICの治療と看護師の役割

DICの治療は、基礎疾患の治療に加えて、以下の3つのアプローチで進められます:

  1. 血栓形成の抑制: 抗凝固薬を使用して血栓の過剰形成を防止。
  2. 線溶反応の制御: 線溶亢進型DICでは、線溶反応を抑制する薬剤を使用。
  3. 凝固因子の補充: 消耗された凝固因子を補填するために、血漿製剤や凝固因子濃縮製剤を投与。

看護師としては、これらの治療が適切に行われているかを評価し、患者の状態を観察することが重要です。具体的には:

  • 血液検査結果のモニタリング。
  • 出血や血栓による症状の確認。
  • 治療効果の有無を判断するための観察。

また、患者やその家族に対して、DICの病態や治療について分かりやすく説明することも看護師の重要な役割です。


DICの予防に向けて

DICの予防には、基礎疾患を早期に発見し、適切に治療することが最も効果的です。特に感染症に対しては、早期の抗菌薬投与や感染予防対策が重要です。また、進行がんや白血病などの高リスク患者では、定期的な血液検査を行い、DICの兆候を早期に察知することが求められます。


まとめ

DICは、基礎疾患によって引き起こされる複雑な病態であり、凝固機能と線溶機能のバランスが崩れることで発症します。適切な治療と管理には、基礎疾患の治療と併せて、DICの病態に応じたアプローチが求められます。看護師としては、患者の状態を継続的に評価し、治療の効果を確認するとともに、患者や家族へのサポートを通じて、治療の成功に寄与することが重要です。

患者に寄り添う医師の画像

DICについての理解を深めることで、より質の高いケアが提供できるようになることを願っています。