播種性血管内凝固症候群、通称DIC(Disseminated Intravascular Coagulation)は、さまざまな基礎疾患を背景に、凝固機能が異常に活性化することで引き起こされる病態です。この結果、不要な血栓が体内で大量に作られ、血管を詰まらせることで臓器障害を引き起こします。また、凝固に必要な材料が過剰に消費されるため、止血機能が低下し、出血傾向も現れるという特徴的な状態です。本記事では、DICの発生機序、分類、診断基準、看護の視点からのケアについて詳しく解説します。

DICは、以下のような過程を経て発症します。
このように、DICでは「過剰な血液凝固」と「出血傾向」という二つの相反する現象が同時に進行します。
DICは、以下のような基礎疾患により誘発されることが多いです:
例えば、細菌が体内に侵入し、感染症を引き起こした場合、体は細菌の広がりを防ぐために免疫血栓を形成します。しかし、感染症が進行して侵襲が大きくなると、この血栓形成の反応が過剰になり、DICを発症する可能性が高まります。
DICは、凝固反応と線溶(血栓を溶かす反応)のバランスによって、以下の3つに分類されます。
これらの分類は、DICの進行状況や基礎疾患によって異なるため、治療方針の決定に役立ちます。
DICの診断には、日本血栓止血学会が発表した「DIC診断基準(2017年版)」が用いられます。診断には、以下の項目が特に重要です。

これらの検査値の変化をチェックすることで、DICの進行状況を評価し、適切な治療を行うことが可能です。
DICの治療は、基礎疾患の治療に加えて、以下の3つのアプローチで進められます:
看護師としては、これらの治療が適切に行われているかを評価し、患者の状態を観察することが重要です。具体的には:
また、患者やその家族に対して、DICの病態や治療について分かりやすく説明することも看護師の重要な役割です。
DICの予防には、基礎疾患を早期に発見し、適切に治療することが最も効果的です。特に感染症に対しては、早期の抗菌薬投与や感染予防対策が重要です。また、進行がんや白血病などの高リスク患者では、定期的な血液検査を行い、DICの兆候を早期に察知することが求められます。
DICは、基礎疾患によって引き起こされる複雑な病態であり、凝固機能と線溶機能のバランスが崩れることで発症します。適切な治療と管理には、基礎疾患の治療と併せて、DICの病態に応じたアプローチが求められます。看護師としては、患者の状態を継続的に評価し、治療の効果を確認するとともに、患者や家族へのサポートを通じて、治療の成功に寄与することが重要です。

DICについての理解を深めることで、より質の高いケアが提供できるようになることを願っています。