自閉スペクトラム症の方々への支援においては、構造化の基本的な考え方は共通していますが、彼らの情報の捉え方、理解の仕方、学習スキルは一人ひとり異なります。
そのため、構造化は一人ひとりに合わせて個別化する必要があります。
今回は、自閉スペクトラム症の方々を支援するために有用な「構造化」と、その前提となるアセスメント(評価)について説明します。
同じ指示や方法を用いても、すべてのASDの人が同じように理解するわけではありません。
構造化とは、基本的に自閉スペクトラム症の人に対して、やるべきことを明確に伝え整理するものです。しかし、ASDの人は知的能力、理解力、視覚的能力などが一人ひとり異なるため、構造化は個別化することで効果を発揮します。
文字を使ったり、強調したり、太字にするなどの方法を考え、本人の能力を最大限に引き出し、注意を向け、集中できるように支援します。これにより、物事の整理がしやすくなります。
構造化の実施にあたり、本人が最も理解しやすい方法を用いて、自立した行動を支援することが重要です。構造化の方法は一人ひとり異なるため、個別のアセスメント(評価)が必要です。
個別化とは、「一人ひとりのアセスメント(評価)に基づいて構造化を行うこと」です。
具体的には、本人の能力や行動の特徴を把握し、その人に合った構造化を見つけ出します。

自閉症の人の「理解の仕方」や「学習スキル・能力」を確認し、「何ができるのか」「どうすればできるのか」を分析することで、その人に最適な構造化の方法や教え方を見つけ出します。
自閉スペクトラム症の人々は、知的能力やコミュニケーション能力が一人ひとり異なります。そのため、何かを教える際には、本人にとって意味があり、使いやすい構造化を実施するために、個々の特性や能力を理解することが必要です。
自閉症の人は個人差が大きいため、最初の構造化が常にうまくいくとは限りません。活動の様子を観察し、うまくいかなければ再評価・再構造化を行います。
図
[評価]
↓
[計画]← ─────┐
↓ │
[構造化の実施] [最構造化](微調整)
↓ │
[再評価] ─────┘
アセスメントには、TTAPやPEP、CARSなどの「フォーマル」な評価と、日常の様子を観察して行う「インフォーマル」な評価があります。
インフォーマルアセスメントとは、日常生活や支援の場面で自閉スペクトラム症の人の様子を細かく観察し、理解の仕方、好み、能力、状態を把握することです。
自閉症の子供が自由に遊んでいる様子を観察することは非常に重要です。遊び方にはその子の自閉症の特性が最もよく現れるため、その行動を通じて特性を理解する手助けになります。
インフォーマルアセスメントを通じて、本人の「興味関心(すきなこと)」「得意なこと(強み)」「スキル(できること)」を把握し、それに基づいて教える課題や活動を考えます。
学習内容や教え方は、その人の学習スタイルや興味、強み、能力に基づいて把握し、学習場面や活動の構造化を検討します。
支援を行う中で評価を繰り返し、その人に適した構造化を行うことで、構造化された環境の意味や期待されることを本人が理解できるようにします。
ASDの成人や子供は、それぞれ学習スキル、興味、強み、理解の仕方が大きく異なります。したがって、それぞれの違いに応じた個別的な支援が求められます。
適切なアセスメントを行い、その人をサポートする人が正しく理解することが構造化の大前提です。評価に基づかない構造化は、視力検査をせずに眼鏡を作るようなものです。
その人にとって”意味のある支援”を行うためには、その人の”理解度”を正しく評価し、それに応じた構造化を設計することが不可欠です。

以上が、構造化を始める前に重要となるアセスメント(評価)についての説明でした。
適切なアセスメント(評価)を基にした構造化が、支援をより効果的にし、その人にとって意味のある支援を提供するために不可欠です。