
医療現場において、特に救急外来やICUでは、血圧低下に対応する場面が多々あります。今回は「血圧低下に対するステロイド治療」と「重症患者における副腎不全」をテーマに、これらの関連性と注意点について解説します。
血圧は以下の3つの要素で構成されます:
これらの要素を考慮しながら治療を進めますが、時には輸液や昇圧剤に反応しない原因不明の血圧低下に遭遇することがあります。このような場合、医師が「ステロイド治療」を提案することがあります。
ステロイドは、体内で副腎皮質から分泌される糖質コルチコイド(コルチゾール)のことを指します。このホルモンは以下のような重要な作用を担っています:
通常、1日に約10~20mg分泌されますが、重症患者では約300mgまで増加することがあります。この増加は、身体がストレスに対抗するための生理的な反応です。
重症患者では、急激なストレスによりコルチゾールの分泌が一時的に爆発的に増加します。しかし、副腎が「コルチゾールが十分ある」と誤認して分泌を停止してしまうことがあります。この結果、コルチゾールが不足し、以下の問題が生じることがあります:
これを「相対的副腎不全」と呼びます。
相対的副腎不全が疑われる場合、または以下の条件を満たす場合に、ステロイドの投与が行われます:
注意点: ステロイド治療には副作用が伴うことがあります。特に高血糖、不整脈、不眠などが挙げられます。そのため、患者の全身状態を観察し、副作用の管理を行うことが重要です。

医療現場で働く私たちは、患者さんの全身状態をしっかり観察し、副腎不全の可能性を意識して対応する必要があります。今回の記事が、日々の臨床における気づきの一助となれば幸いです。