脳出血の原因や症状 治療と看護について どうして麻痺は起こるの?

はじめに

脳出血は、脳卒中の一種で、急性期脳血管障害を引き起こす重大な疾患です。脳内を走る細い血管が破れることで出血が発生し、脳神経細胞が圧迫され、様々な症状が現れます。その主な原因は高血圧とされ、生活習慣病や不健康な生活習慣も発症リスクを高める要因と考えられています。

脳出血イラスト

この記事では、脳出血の特徴的な症状や治療方法、看護師が注意すべきポイントについて解説します。

脳出血の原因と発症メカニズム

脳出血は、主に高血圧が原因で発症します血管壁に過剰な圧力がかかり続けることで、血管が脆くなり破裂しやすくなるためです。以下のようなリスク因子も脳出血の発症を助長します。

  • 生活習慣病:糖尿病や高脂血症
  • 嗜好習慣:喫煙、過度な飲酒
  • 食生活:塩分の過剰摂取
  • 運動不足:血管の健康を損なう原因となる

さらに、脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)アミロイドアンギオパチー脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)など、脳血管自体に異常がある場合も発症リスクが高まります。

脳出血の好発部位と症状

脳出血の症状は、出血が発生した部位や出血量によって異なります。好発部位とその特徴的な症状を以下にまとめました。

1. 被殻(ひかく)出血(約40%)

特徴的な症状
  • 出血側と反対側の片麻痺(顔や上下肢(じょうかし)が動かない)
  • 病側への共同偏視
  • 優位半球では失語症、非優位半球では失行・失認
原因

高血圧によるレンズ核動脈や線条体(せんじょうたい)動脈の破綻

2. 視床(ししょう)出血(約30%)

特徴的な症状
  • 出血側と反対側の感覚障害(手足や顔の感覚低下)
  • 内下方(ないかほう)への偏視、ホルネル症候群(眼瞼下垂(がんけんかすい)や縮瞳(しゅくどう))
原因

高血圧が引き金となる視床穿通枝(ししょうせんつうし)動脈の破裂

3. 大脳皮質出血(約10%)

特徴的な症状
  • 頭頂葉:感覚障害(反対側)
  • 側頭葉:感覚性失語
  • 後頭葉:同名半盲(視野の半分が欠ける)
  • 前頭葉:反対側上肢の麻痺

4. 小脳出血(約10%)

特徴的な症状

歩行困難、回転性めまい、嘔吐、後頭部痛

注意点

麻痺は出現しにくいが、頭蓋内圧(ずがいないあつ)亢進(こうしん)の兆候が見られる場合がある。

5. 橋(きょう)(脳幹)出血(約10%)

特徴的な症状
  • 意識障害、昏睡(こんすい)、除脳硬直(じょのうこうちょく)
  • 縮瞳(pinpoint pupil)

診断と治療方針

脳出血の診断には、CT検査が最優先されます。急性期では、出血部分が高吸収域(白く映る)として確認される一方、周囲の浮腫(ふしゅ)は低吸収域(黒く映る)として描出されます。

1. 内科的治療

  • 経過観察:出血量が少なく、意識障害がない場合。
  • 血圧管理:再出血防止のため、収縮期血圧を140mmHg以下に維持。
  • 脳浮腫対策:高張グリセオールなどを用いて頭蓋内圧を低下させる。

2. 外科的治療

  • 血腫(けっしゅ)除去術:出血量が多く、意識が低下している場合に適応。
  • 脳室ドレナージ:脳室内出血による水頭症を予防するため。

手術適応の判断

  • 手術を検討する基準:ジャパン・コーマ・スケール(JCS)で2桁以上、またはグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)8点以下。
  • 手術が行われない場合:出血量が多く昏睡状態で、回復が見込めないケース。

脳出血患者の急性期看護のポイント

脳出血患者の看護では、症状悪化の早期発見と予防が重要です。以下に看護師が注意すべき点を示します。

1. 呼吸管理

脳出血では、頭蓋内圧亢進による呼吸停止のリスクが高まります。

  • 人工呼吸器の使用:必要に応じて気管内挿管を行い、呼吸を補助。
  • 二酸化炭素分圧(PCO2)の調整:通常の基準値(35~45mmHg)より低い値に設定する場合がある。体内の二酸化炭素濃度が低下すると脳血管が収縮し、脳の圧迫を軽減。

2. 血圧管理

高血圧は脳出血の主要因であり、再出血予防のために厳密な管理が求められます。

高血圧数値表
  • 目標値:カルシウム拮抗薬(ニカルジピンなど)を用いて収縮期血圧を140mmHg以下に維持。
  • 注意点:急激な降圧は脳や腎臓への血流障害を引き起こす可能性があるため、慎重に調整。

3. 脳浮腫の予防

脳浮腫が悪化すると脳ヘルニアを引き起こし、生命に危険を及ぼします。

  • 治療:高張グリセオールを投与して脳内の圧力を低下。
  • 看護の工夫:ヘッドアップ(30度)を保ち、頭蓋内圧を軽減。
  • 注意点:尿量増加による血圧低下や電解質異常に注意。

4. 痙攣(けいれん)発作の管理

脳卒中後の痙攣は約10%の患者に見られます。

  • 影響:呼吸困難や酸素消費量の増加を招き、脳へのダメージを悪化させる可能性。
  • 対応:抗痙攣薬の確実な投与と発作の早期発見に努める。

まとめ

血圧を測る画像

脳出血は、高血圧が主な原因であり、その予防が重要です。発症部位によって症状が異なり、適切な治療や管理が求められます。看護師は患者の生命を守るため、以下のポイントに特に注意する必要があります。

  1. 呼吸管理:二酸化炭素分圧の調整が頭蓋内圧の軽減に寄与。
  2. 血圧管理:再出血を防ぐために厳密なコントロール。
  3. 脳浮腫の予防:適切な投薬と体位調整で頭蓋内圧を低減。
  4. 痙攣への対応:発作の早期発見と治療。

患者の状態を綿密に観察し、医師や多職種と連携して最善のケアを提供することが求められます。脳出血の早期対応が、患者の生命を守り、回復を促進する鍵となります。