医療における人工透析について、皆さんはどの程度ご存じでしょうか?人工透析は、腎機能が低下した患者さんの体内から血液を取り出し、透析機を使って老廃物や余分な水分を除去した後、きれいになった血液を体内に戻す治療法です。この治療を可能にする重要な要素の一つが内シャントです。本記事では、内シャントの役割や管理の注意点について詳しく解説します。

通常、腎臓は体内の老廃物や水分を尿として排出する重要な役割を担っています。しかし、慢性的な腎機能障害(慢性腎不全など)があると、腎臓は正常に機能しなくなり、体内に毒素が蓄積されてしまいます。この状態を放置すると尿毒症という危険な症状に陥るため、人工透析が必要となります。
透析では、血液を1分間に約200mlという大量の流量で体外に取り出し、透析器で処理する必要があります。しかし、通常の静脈からこれほど大量の血液を短時間で取り出すのは難しく、効率的な方法が求められました。そこで考案されたのが内シャントです。
内シャントは、動脈と静脈をつなぎ合わせた血管のことを指します。動脈は血液の流れが強く、短時間で大量の血液を回収するのに適していますが、体の深部に位置しているため、毎回針を刺すのは患者さんにとって大きな負担です。一方で、静脈は体表に近いものの、血流が遅く短時間での大量脱血には適しません。この二つの特徴を組み合わせたのが内シャントで、動脈血の勢いを静脈に与えることで、血管を太く丈夫に育て、効率的な脱血と返血を可能にします。
内シャントの適切な管理は、透析治療の成功と患者さんの安全を確保するために不可欠です。以下、内シャントの管理における重要なポイントを紹介します。
内シャントを造設する前には、シャントを作成する側の腕を安静に保つ必要があります。具体的には、血圧測定や採血などの侵襲的な処置を避けるようにします。これにより、血管にかかる負担を最小限に抑え、合併症のリスクを減らします。
シャントが正常に機能しているかどうかを判断するために、以下の方法で観察を行います。
内シャントでは頻回の穿刺が必要となるため、血管に負担がかかります。この結果、血管壁が盛り上がり、こぶが形成されることがあります。こぶが破裂すると、大量出血につながる可能性があり、生命の危機を招く場合もあるため、日々の観察が重要です。
スチール症候群とは、シャントによって動脈血が静脈に過剰に流れ込むことで、末梢血流が不足する状態を指します。これにより、シャント側の手先が冷たくなったり、疼痛や感覚障害が発生することがあります。重症化すると壊死に至る可能性があるため、異常が見られた場合は迅速な対応が必要です。

内シャント管理においては、医療者の観察と同様に、患者さん自身が自分の状態を把握することが重要です。医療者は患者さんにシャント音やスリルの確認方法を指導し、異常を早期に発見できるようサポートします。例えば、シャント部分の変化や異常を感じた場合、すぐに医療機関に相談することが推奨されます。
内シャントは人工透析を安全かつ効率的に行うために欠かせない仕組みです。その管理には、医療者の適切な観察と患者さん自身の自己管理が求められます。本記事で紹介したポイントを参考に、日々の観察を心がけましょう。
このような取り組みを通じて、人工透析を受ける患者さんがより快適で安心できる生活を送れるよう、医療と管理が一体となったサポートが期待されます。