イレウスと腸閉塞の違い 治療や看護について イレウス管って何ですか?

実は違う?イレウスと腸閉塞の違い—治療と看護について

イレウスと腸閉塞という言葉は、医療現場や看護に携わる方にとって耳にする機会が多いかと思います。しかし、これらの用語の意味や違いについて詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。本記事では、イレウスと腸閉塞の違い、具体的な分類、治療法、看護のポイントについて詳しく解説します。


イレウスとは?

イレウスとは、腸の中の内容物が移動できず、腸管内で詰まってしまっている状態を指します。食事をすると、食べたものは消化管を通り、最終的に便として排泄されます。その経路は以下の通りです。

経路: 【口】→【食道】→【胃】→【小腸】→【大腸】→【肛門】

イレウスはこの経路のいずれかで内容物やガスが詰まり、通行止めになることで発症します。これにより、腹部膨満感や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。

イレウスは、大きく以下の2種類に分類されます。

1. 機械性イレウス

腸管に器質的な疾患が存在し、物理的に閉塞される状態です。さらに以下の2つに分類されます。

  • 単純性イレウス(閉塞性イレウス) 腸管が閉塞しているものの、血流障害がない状態です。主に腸同士の癒着や腫瘍が原因です。
  • 複雑性イレウス(絞扼性イレウス) 術後の癒着や腸ねん転、嵌頓ヘルニアなどで腸管が締め付けられ、血流障害が発生する状態です。壊死や腸穿孔、腹膜炎のリスクがあります。

2. 機能性イレウス

腸管に器質的な異常はないものの、神経系の障害などで腸の動きが低下し、内容物が流れなくなる状態です。以下の2種類に分類されます。

  • 麻痺性イレウス 術後や薬剤の影響で腸の蠕動運動が低下した状態。
  • 痙攣性イレウス 薬剤や外的刺激によって腸管が痙攣を起こしている状態。

腸閉塞とイレウスの違い

似た用語に「腸閉塞」があります。2015年の急性腹症ガイドラインによれば、“腸閉塞”は機械性イレウスを指し、“イレウス”は機能性イレウスを指すように定義されました。ただし現場では混乱を避けるため、どちらも「イレウス」と統一して使用されることが多いです。学生や新人医療者の方は、この定義を正確に覚えておくと良いでしょう。


病態と症状

単純性イレウス

単純性イレウスは腸閉塞の大部分を占めています。腸管が物理的に閉塞しますが、血流障害はありません。特徴的な症状には以下があります。

  • 症状: 腹部膨満感、腹痛、便秘、吐き気・嘔吐
  • 所見: 腸音の亢進(まれに金属音)、ガスや便が排出されない

複雑性イレウス

絞扼性イレウスとも呼ばれ、腸管が締め付けられ血流障害が発生します。壊死や腸穿孔、腹膜炎を起こすリスクが高いため、緊急手術が必要です。

  • 症状: 持続する激しい腹痛、腹膜炎症状(反跳痛や板状硬)
  • リスク: 腹膜炎から敗血症に進行し、生命の危機を引き起こす可能性があります。
麻痺性イレウス

術後や薬剤による腸の蠕動運動低下が原因で発生します。

  • 症状: 腹部膨満感、便秘、腸音の低下
痙攣性イレウス

薬剤性や打撲など外的刺激で発症します。

  • 症状: 他のイレウスと類似

イレウスの診断と治療

診断

イレウスの診断には画像診断が重要です。特に“ニボー像”が確認されると、腸管内にガスが溜まっていることがわかります。

治療方針

治療は病態によって異なりますが、以下のように分類されます。

  • 保存的治療
    • 絶飲食と点滴治療
    • 抗生剤投与
    • イレウスチューブによる減圧
  • 外科的治療
    • 複雑性イレウスでは緊急手術が適用されます。

イレウスチューブの看護ポイント

イレウスチューブは腸閉塞の患者に対し、腸管内容物やガスを体外へ排出して減圧する目的で使用される管です。以下のポイントに注意が必要です。

管理

  1. 吸引圧の調整
    • 医師の指示に基づき、適切な圧(例:−5~−15cmH₂O)で吸引を行います。
    • 強すぎる吸引圧や持続吸引は腸穿孔のリスクがあるため注意が必要です。
  2. 離床の促進
    • 腸の動きを促進するため、可能な限り早期離床を促します。
  3. 皮膚トラブルの予防
    • テープ固定部位やチューブ接触部に皮膚トラブルが発生しやすいため、定期的な観察と保護材の使用が重要です。
  4. 脱水と電解質異常の予防
    • 排液量を観察し、必要に応じて医師の指示で輸液を追加します。
  5. チューブ閉塞の防止
    • チューブ閉塞を防ぐため、1日に数回ブラッシングを行います。

まとめ

イレウスと腸閉塞は定義が異なり、機能性イレウスを「イレウス」、機械性イレウスを「腸閉塞」と呼び分けることが推奨されています。また、複雑性イレウスでは腸穿孔や腹膜炎のリスクがあり、早急な対応が必要です。看護師としては、イレウスチューブ管理の際に患者の状態変化や皮膚トラブル、脱水などに細心の注意を払いましょう。

正確な知識を持ち、適切な対応を行うことが、患者さんの快復に繋がります。本記事が皆さまの実践に役立つことを願っています。