めまいは日常的に多くの人が経験する症状で、救急外来でもよく見られる訴えのひとつです。一見、重症感がなく軽視されがちなめまいですが、場合によっては命に関わる疾患が背景に隠れていることがあります。そのため、原因を正確に見極めるために丁寧な問診や観察が必要です。
本記事では、めまいの分類、原因疾患、特徴的な症状、診断のポイント、そして看護師が注意すべき点について解説します。
めまいとは、自分や周囲が実際には動いていないのに動いているように感じたり、平衡感覚を失って不快な状態になることを指します。体のバランスを保つ三半規管や前庭神経に異常が起こることで発症します。原因や重症度はさまざまであり、症状の性状や持続時間によって適切な対応が必要です。
めまいは以下の2つに分類されます。
1.中枢性めまい
脳卒中(小脳出血、小脳梗塞、延髄梗塞)など、脳疾患が原因で発生するめまいです。前庭神経に異常が起きており、生命に危険を及ぼすことがあります。
2.末梢性めまい
三半規管や前庭神経そのものの障害によって起こるめまいです。良性発作性頭位めまい症(BPPV)やメニエール病、前庭神経炎などが原因として挙げられます。一般的に重症性は低いものの、適切な診断と治療が求められます。
※他にも、前庭神経が障害されていないめまいなどもありますが、とりあえず上記の2つを押さえましょう。

症状は主に以下の3種類に分けられます。
1.回転性めまい
周囲がぐるぐる回っているように感じる症状です。末梢性めまいに多く見られます。
2.浮動性めまい
頭や足元がふわふわする感覚で、立ったり歩いたりするとふらつく症状です。
3.失神性めまい
目の前が暗くなる(眼前暗黒感)や頭がふらつく症状で、脳血流の低下が原因となります。
患者の症状や状態を把握するためには、以下のポイントを押さえた観察と問診が必要です。
• めまいの性状: 回転性、浮動性、失神性のいずれか。
• 持続時間: 短時間で収まるのか、長時間続くのか。
• 誘発因子: 頭を動かした際、立ち上がる際など、特定の動作で起こるか。
• 随伴症状: 吐き気、頭痛、耳鳴り、難聴などの有無。
• バイタルサイン: 血圧、脈拍、呼吸数、酸素飽和度。
• 神経学的異常: 麻痺、構音障害、複視、対光反射の異常。
• 眼振の有無: 一方向性の眼振は末梢性めまい、眼振の方向が変化する場合は中枢性めまいが疑われます。
中枢性めまいは脳卒中や脳腫瘍が原因で発生し、放置すると生命に危険を及ぼします。特徴的な症状として、回転性または浮動性のめまいに加え、神経学的異常所見(麻痺、構音障害、複視など)が見られます。この場合、速やかに頭部CTやMRIを実施し、原因検索が必要です。
末梢性めまいは、主に内耳や三半規管の異常が原因で発生します。良性発作性頭位めまい症(BPPV)はその代表例で、特定の頭の動きでめまいが誘発されるのが特徴です。治療にはエプリー法(三半規管に入ってしまった耳石を元の位置に戻す体位変換法)が効果的です。
失神性めまいは中枢性、末梢性のどちらにも属さず、不整脈や大動脈弁狭窄症、起立性低血圧など、脳血流が途絶えたり不十分になったりすることが原因です。このタイプのめまいは循環動態の破綻を伴うことが多いため、特に注意が必要です。
必要な観察項目
• 心電図モニターで不整脈を確認。
• バイタルサインの測定。
• 転倒の有無や外傷の確認。
診断には12誘導心電図や心エコーが有効です。

めまいを訴える患者に対して看護師が行うべきことは、丁寧な観察と適切な報告です。以下のポイントを押さえましょう。
観察のポイント
迅速な対応
• 中枢性めまいが疑われる場合、速やかに医師に報告し、検査を依頼します。
• 失神性めまいでは転倒リスクや循環不全を見逃さないよう注意します。
めまいは多くの場合軽症であることが多いですが、背景に脳卒中や不整脈などの重篤な疾患が隠れていることもあります。
丁寧な問診と観察を通して、患者さんの症状を正確に把握し、必要に応じて医師に迅速に報告することが重要です。
看護師として、患者さんの「いつもと違う」サインに敏感になり、適切なケアを提供することが求められます。めまいの原因と症状を正しく理解し、命を救う可能性のある対応を心がけましょう。