本記事では、急性胆管炎という致死的な感染症について、その概要や診断方法、治療法について詳しく解説していきます。
また、治療の重要な手段である内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)の役割やリスクについても触れていきます。急性胆管炎は早期診断と迅速な治療が不可欠な疾患であり、正しい知識を身につけることが命を救う一歩です。

胆管炎とは、胆嚢管に胆石が詰まることで胆嚢内に胆汁が鬱滞し、感染を引き起こす疾患です。主な症状は以下の通りです。
・発熱
・右季肋部痛(Murphy徴候)
・嘔吐
治療には、絶食や抗生剤投与といった内科的治療、場合によっては手術や経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)が必要となります。
一方で、急性胆管炎は、胆管が腫瘍や結石によって閉塞することで胆汁が停滞し、感染症が引き起こされる疾患です。ここでのポイントは、胆管炎では閉塞による胆汁鬱滞が細菌感染のリスクを高めるだけでなく、細菌が胆管を逆行して肝臓や血液中に広がることで、菌血症や敗血症を引き起こす可能性があることです。これは命に関わる重大な合併症につながります。

急性胆管炎の診断には、以下の検査が行われます。
・採血(炎症反応や肝機能障害の確認)
・腹部エコーやCT
・MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)
また、急性胆管炎には特徴的な身体所見としてCharcotの3徴(発熱、右上腹部痛、黄疸)が挙げられます。この3つの症状に加え、意識障害とショック徴候を伴う場合はReynoldsの5徴と呼ばれ、これは重症胆管炎の指標とされます。ただし、Reynoldsの5徴が全て揃うのは稀で、10%未満とされています。

治療は大きく分けて以下の2段階で行われます。
1. 初期治療
・抗菌薬の投与(血液培養などの検査後に開始)
・補液
・絶食
この段階では全身管理を徹底し、感染症の進行を防ぎます。
2. 内視鏡的治療(ERCPを含む)
内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、急性胆管炎の原因となる閉塞を取り除き、胆汁の排出を促すために行われる治療です。以下の流れで実施されます。
ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)
造影剤を使用して胆管や膵管の全体像を確認します。
EST(内視鏡的乳頭切開術)
胆管に詰まった結石を取り除くために乳頭を切開し、胆汁の通り道を確保します。
EBD(内視鏡的胆道ドレナージ術)
ドレーンを挿入して胆汁を体外に排出します。
EBDには以下の2種類があります。
・ENBD(経鼻的胆道ドレナージ):鼻腔から胆管にドレーンを挿入します。
・ERBD(内視鏡的逆行性胆道ドレナージ):胆管にステントを留置し、胆汁を十二指腸へ流します。

メリット
ドレナージ効果が高い、胆汁の観察や採取が容易
デメリット
事故抜去の恐れ、排液による脱水や電解質異常
メリット
留置感が少なく、自宅での生活が可能
デメリット
胆汁の観察が困難、内視鏡がないと抜去不可
患者の状態や治療目的に応じて適切な方法が選択されます。

ERCPには合併症としてERCP後膵炎が挙げられます。主な原因は以下の通りです。
・膵管内への造影剤注入
・カニュレーションによる膵管の刺激
・乳頭括約筋の痙攣
膵炎の予防および早期発見のため、ERCP後2~3時間後には採血フォローが行われ、膵炎マーカー(アミラーゼ値)を確認します。値が正常の3倍以上であれば膵炎が疑われ、適切な治療(輸液、抗菌薬、蛋白分解酵素阻害薬の投与など)が行われます。
急性胆管炎は早期発見・治療が患者の生命を守る鍵となる疾患です。内視鏡治療であるERCPは、診断と治療の両方を可能にする重要な手段ですが、リスク管理も欠かせません。
医療従事者が適切な知識とスキルを持つことが、患者の安全に直結します。本記事で得た知識が、医療現場での判断力向上に役立つことを願っています。