急性胆嚢炎に対するPTGBDの理解を深めるためには、まず急性胆嚢炎がどのような疾患であるかをしっかりと理解することが重要です。急性胆嚢炎は、胆嚢に発症する炎症性疾患であり、胆石や胆嚢管の閉塞によって引き起こされます。胆嚢は、肝臓で作られた胆汁を蓄える役割を担っており、この胆汁は消化を助けるために脂肪の乳化や消化を促進します。しかし、胆嚢内で胆石が形成されたり、それが胆嚢管に詰まったりすると、胆汁の流れが阻害され、炎症や感染が発生することがあります。この状態が急性胆嚢炎です。
急性胆嚢炎では、感染が広がることで、発熱や右季肋部痛(Murphy徴候)、嘔吐などの症状が現れます。胆嚢炎が進行すると、細菌感染が原因で敗血症を引き起こし、他の臓器に障害が及ぶこともあります。これにより、早期の診断と治療が求められます。
急性胆嚢炎の治療には、内科的な対応(抗生剤、輸液、絶食など)や外科的治療(胆嚢摘出術)があります。胆嚢摘出術は発症後72時間以内、遅くとも1週間以内に行うことが望ましいとされていますが、緊急手術が難しい場合や他の理由で手術を行えない場合には、PTGBD(経皮肝胆嚢ドレナージ)という治療法が選択されることがあります。
PTGBDとは?

PTGBDは、経皮的に肝臓を通じて胆嚢にドレーンを挿入し、胆汁を排出する治療法です。これは、急性胆嚢炎が進行し、手術がすぐに行えない場合に使用される治療法で、胆嚢内に溜まった胆汁を外に排出し、感染をコントロールすることが目的です。この方法では、通常、右のわき腹から針を刺し、肝臓を経由して胆嚢にドレーンを挿入します。時には、みぞおちから針を刺すこともありますが、一般的には右側から行われます。
PTGBDが行われる理由は、胆嚢が腹腔内にぶら下がるように存在しているため、直接皮膚から胆嚢に針を刺すと、胆汁が腹腔内に漏れ出してしまい、胆汁性腹膜炎という重篤な合併症を引き起こす可能性があるからです。そのため、肝臓を経由することで、胆汁が漏れるリスクを最小限に抑え、より安全に胆汁を排出することができます。
PTGBDの手順
PTGBDを行う際、まず麻酔をかけ、肝臓に針を通して胆嚢にドレーンを挿入します。このプロセスでは、皮膚から直接針を刺さず、肝臓を経由することによって、腹腔内に胆汁が漏れ出すリスクを回避することができます。その後、ドレーンを胆嚢に留置し、胆汁を排出することによって、胆嚢内の圧力を軽減し、感染をコントロールすることが可能となります。
PTGBDの合併症

PTGBDは非常に有効な治療法である一方で、いくつかの合併症が生じる可能性もあります。挿入中には、針を刺すことで迷走神経反射が起こることがあります。過剰な圧力がかかることによって、菌血症や気胸などが引き起こされる可能性もあります。また、術後には肝臓内出血や腹腔内出血が起こることがありますし、胆汁性腹膜炎も術直後に発症する可能性があります。
術後数日間では、ドレーンが閉塞したり、廃液が大量に排出されることにより脱水や電解質異常が生じることもあります。これらのリスクを最小限に抑えるため、看護師による細かな観察や管理が非常に重要です。ドレーンの状態や排液量を監視し、異常があれば迅速に対応する必要があります。
PTGBD後の管理
PTGBD後は、ドレーンの固定が重要です。ドレーンがずれることによって胆汁が腹腔内に漏れ、胆汁性腹膜炎を引き起こすリスクが高まります。そのため、ドレーンのずれや抜去がないか定期的に確認することが求められます。また、術後の数時間から翌日までは安静が必要であり、無理に動かないようにすることが大切です。
ドレーンの排液についても、正常な場合、排液は透明な黄色や茶色ですが、感染や閉塞が生じると緑色の排液が出ることがあります。治療が進行するにつれて、排液量は減少し、最終的には0~50ml/日程度にまで減少します。この過程を観察することが、治療の効果を確認する重要な指標となります。
ドレーンの抜去
ドレーンの抜去は、一般的に胆嚢摘出後や、ドレーン挿入から2週間以上経過し、瘻孔が形成され、胆嚢管の状態が改善された場合に検討されます。抜去前には、ドレーンをクランプして、症状が再発しないか確認することが重要です。クランプ後に症状が再燃しないことを確認した上で、安全にドレーンを抜去することが求められます。
まとめ

急性胆嚢炎に対するPTGBDは、胆嚢摘出手術が難しい場合に、胆嚢内にたまった胆汁を外に排出し、感染をコントロールするための重要な治療法です。PTGBDを実施することで、急性胆嚢炎の進行を防ぎ、敗血症やその他の合併症を防ぐことができます。しかし、PTGBDには合併症のリスクも伴い、その管理には注意が必要です。看護師は、ドレーンの状態や排液量を細かく観察し、患者の回復を支援する重要な役割を担っています。今回の内容が、急性胆嚢炎に対するPTGBDの理解に役立つことを願っています。