発達障害のある人が鬱病や不安障害になりやすい理由

発達障害を持つ人の中には、不安障害抑うつなどの二次障害を発症する場合があります。
大人になってから、二次障害を契機に医療機関を訪れ、初めて発達障害であることが診断される人もいます。

今回は、発達障害二次障害に関して、その原因や詳しい症状、予防方法、家庭や学校での対応について解説します。

発達障害とは

発達障害とは

自閉症スペクトラム障害(ASD)注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの先天的な脳機能の障害を指します。

発達障害を持つ人の中には、自分の特性に合わない環境や適切な支援を受けられないことにより精神障害や社会的困難を引き起こす問題行動に発展することがあります。

二次障害とは

医療的な診断名ではなく、心身の症状精神疾患不登校引きこもりなどの状態を指します。

発達障害を持つ人の二次障害の具体的な症状には、暴力引きこもりなどの行動面の問題不安抑うつなどの精神面の問題、身体に不調として現れる心身症があります。

これらの症状は、外在化障害内在化障害の2つに大きく分類されます。

外在化障害

精神的な葛藤が他者に向けられる形で現れる症状です。反抗や暴力、家出、非行などの反社会的な行動として現れることもあります。

特徴としては思春期になってからこれらの問題を起こす子どもだけでなく比較的小さいうちからもそうした行動が目立つ子どももいます。

内在化障害

自分に対するイラ立ちや精神的な葛藤が自分に向けられる症状です。
分離不安障害、気分障害、強迫性障害などが典型的なケースとしてあり具体的には次のような症状が当てはまります。

・不安
・抑うつ
・引きこもり
・対人恐怖
・心身症
・依存症

などが典型的な例です。

年代別:発達障害の二次障害

年代別:発達障害の二次障害

幼少期 適用行動で軽度の問題がみられることもある

学童期 適応行道の問題が中心に現れる
     学業面での問題、集団活動や対人行動における問題が目立つようになる
     その他に情緒面の不安定さなどがみられる

青年期 情緒面の不安定、行動名や精神面の問題、心身症が中心となり現れる
     適応行動の問題も見られる

成人期 適応行動の問題、行動名や精神面の問題が中心で情緒の不安定さなどが見られる

学童期に対人関係の問題が現れ始めた時点で適切な対応が得られない場合、思春期以降に二次障害が顕在化しやすくなると考えられます。

発達障害二次障害が起きる原因

家庭や学校、職場などの環境とのミスマッチが原因となることが多いです。

発達障害のある人は、その特性を周囲の人に理解されにくく、その行動に対して叱られたり否定的な対応を受けたりすることがあります。

また、感覚過敏コミュニケーション障害がある人は、適合しない環境で我慢を強いられ大きなストレスを感じることがあります。

こうした状態が続くと、自尊心が低下し、気分の落ち込みや不安、暴力的な行動などの二次障害として現れることがあります。

発達障害のあるすべての人が二次障害を発症するわけではありませんがネガティブな体験の積み重ねやいじめなど、大きな出来事の体験ストレスへの対処がうまくいかなかった場合に発症しやすくなります。

発達障害は先天的な脳機能の異常であり、根本的に治すことはできません。

ただし、育った環境によって引き起こされる二次的な障害については医療機関で適切な治療が可能です。

二次障害の治療

内在化障害

・認知行動療法や精神療法
・家族療法
・薬物療法

外在化障害

・攻撃性をコントロールするための薬物療法
・状況によって入院治療


しかし、医療機関だけでは二次障害を完全に解決することはできず、家庭や学校、職場、福祉機関などと連携して対応することが求められます。

二次障害の予防

二次障害の予防

まず周囲の人々が発達障害を正しく理解することが重要です。
多くのストレスは家庭や学校、職場での環境や人間関係から生じるため発達障害二次障害を予防するためには、本人が過ごしやすい環境を整えることが重要です。

家庭だけでなく学校でも周囲の理解を早い段階で得ることが必要で、本人の心の発達をサポートすることも大切です。

心の発達をサポートするためには、他者との接触を通じて学びの機会を提供しトラブルへの対処法を教え、安心感や信頼感を持たせ、自分の障害の特性を理解させることが含まれます。

これらの支援を早期から行うことで、柔軟な対応が可能となり、二次障害の予防につながります。

ペアレントトレーニング

また、子供の問題行動に対する親の対応がうまくいかない場合、親のメンタルヘルスが悪化し、悪循環に陥ることがあります。
その対策として、ペアレントトレーニング行われています。

親が子供との関わり方やその子の特性に合った育児方法を学びます。
日常の育児の困りごとを解消し、楽しく育児ができるように支援するプログラムです。

もともとは知的障害発達障害のある子供を持つ家庭向けに開発されましたが現在では不登校非行を繰り返す子供、虐待を受けた子供にも対応するプログラムが広がっています。

これが子供の過ごしやすい環境人間関係づくりに役立ち、二次障害の予防になると言われています。

学校での対応について

担当する教員だけでなく他のクラスや学年の教員、スクールカウンセラーなど学校全体で連携して支援を行うことが大切です。できていることを伝えたり、褒めたりすることも重要です。

それによって望ましい行動が増え、信頼関係を築くことができます。
また、対応方針を教職員全員で共有し、一貫した対応を取ることが重要です。

方針が異なる対応をすると、本人の状態が悪化することがあります。
効果を確認するためにも、対応方法は2~3週間続けることが必要です。

周りの対応方法が変わることは本人にとってストレスであり、一時的に問題行動が増えることもありますが、次第に落ち着くことがあるので、継続して対応しましょう。

支援機関

専門家の意見を求めることも大切です。
発達障害二次障害について悩んでいる本人や家族が、誰にも相談できないこともあります。

そのような場合には、以下の支援機関が利用できます。

  • 精神保健福祉センター
  • 児童相談所
  • 子育て支援センター
  • 発達障害者支援センター

各機関では、発達障害育児全般に関する相談を受け付けており、必要に応じて他の機関を紹介することもあります。
各自治体では、不登校に対する相談家庭訪問を行っているほか、教育委員会も不登校に対する相談を実施しています。

障害福祉施策では、強度行動障害に関する研修を受けた支援員が相談に応じる場合もあります。
まだ医療機関を受診しておらず、発達障害の診断を受けていない場合は、まずはこれらの支援機関
相談してみると良いでしょう。

最後に

今回は、発達障害二次障害の症状や原因、予防対応について述べました。
発達障害二次障害はさまざまな形で現れますが、その多くは家庭や学校などの周囲の人々との関わりによって発生を予防することが重要です。

また、早期に気づき適切な対応を取ることで重症化を防ぐことも可能です。
発達障害に気づかず二次障害を発症してから診断される人もいます。

医療機関や支援機関を利用し、日常生活における対応方法を学び、適切な生活環境を整えることが大切です。