なぜ低体温療法?適応とその看護について

低体温療法における看護と治療方法のガイド

低体温療法は、患者の深部体温を意図的に32℃から34℃まで低下させ、その後復温する過程で脳機能を保護する治療方法です。本ガイドでは、低体温療法の基本概念から適応基準、治療段階ごとの注意点、そして看護の役割について詳しく説明します。


1. 低体温療法の概要

1. 低体温療法の概要

低体温療法は、特に心停止後症候群(PCAS)の患者において、脳の代謝を低下させることで脳機能を保護する目的で実施されます。

1.1 目的

  • 脳細胞の代謝を低下させて障害を最小限に抑える。
  • 心停止後の脳機能回復を促進。

1.2 必要性

心肺停止中に脳への酸素供給が途絶え、高体温状態に陥ると、脳細胞が変性し機能障害を引き起こします。低体温療法はこれを予防するための重要な治療法です。


2. 適応基準と禁忌

2.1 適応基準

2.1 適応基準
  • 目撃された心肺停止(CPA)
  • 初回心電図波形が心室細動(VT/VF)
  • 自己心拍再開後の循環動態が安定している場合

2.2 禁忌条件

2.2 禁忌条件
  • 来院時の深部体温が30℃以下
  • 心停止前の昏睡状態
  • 頭蓋内出血の有無
  • 血行動態の不安定性
  • 血液凝固異常や終末期疾患

3. 治療段階と看護ポイント

低体温療法は「導入期」「維持期」「復温期」の3段階で行われ、それぞれ異なる看護と管理が求められます。

3.1 導入期

目標

深部体温を32℃から34℃まで急速に低下
  • 深部体温を32℃から34℃まで急速に低下

注意点

  • 循環抑制:血圧や脈拍数の低下に注意
  • 高血糖リスク:低体温によるインスリン分泌低下
  • シバリング:筋収縮反応を鎮静薬や筋弛緩薬で抑制

看護の役割

  • バイタルサインのモニタリング
  • 尿量と適切な輸液管理
  • シバリングへの対応

3.2 維持期

目標

  • 深部体温を安定的に維持

注意点

  • 感染症リスク:低体温に伴う免疫機能低下
  • 褥瘡リスク:血流障害に伴う皮膚トラブル

看護の役割

  • 清潔ケアと感染症予防
  • 体位変換による褥瘡予防
  • 気道管理と痰吸引

3.3 復温期

目標

  • 深部体温を徐々に正常値に戻す

注意点

  • 高カリウム血症リスク:カリウムの細胞外移動による不整脈
  • 低血糖リスク:復温後の代謝亢進による血糖値低下

看護の役割

  • カリウム値と心電図の確認
  • 血糖値管理と低血糖症状への注意
  • 患者の全身状態の観察

4. 使用される機器

  • アークティックサン:冷水を循環させるジェルパッドで体温を制御
  • サーモガード:専用カテーテルによる血液の温度調整(血栓リスクあり)

5. 看護の役割

低体温療法中の看護は、段階ごとのリスク管理と適切なケアが求められます。

看護ポイントのまとめ

  • 導入期:シバリングの抑制、循環動態のモニタリング
  • 維持期:感染症予防、褥瘡対策
  • 復温期:カリウム値管理、低血糖防止、心電図モニタリング

おわりに
おわりに

低体温療法は脳機能を保護するために重要な治療法です。看護師は治療段階ごとのリスクを理解し、適切な観察とケアを提供することで、患者の回復を支援します。このガイドを活用して、臨床現場での実践に役立ててください。