血液ガス分析は看護師でも読めます!基準値や目的 、覚え方を解説!①

 血液ガス分析は、患者さんの呼吸状態酸塩基平衡(さんえんきへいこう) を詳しく調べるために重要な検査です。

 血液の酸性・アルカリ性のバランスを測定し、呼吸機能や代謝状態を評価することで、治療の方向性を決定する際の参考になります。

 看護師としても、血液ガス分析の基本的な読み方を理解することで、患者さんの状態を適切にアセスメントし、迅速な対応が可能になります。

 この記事では、血液ガス分析の 目的や基準値、酸塩基平衡の仕組み について詳しく解説していきます。


1.血液ガス分析とは?

1.血液ガス分析とは?

 血液ガス分析とは、 動脈血を採取して血液の酸素(O₂)・二酸化炭素(CO₂)・pH(酸性・アルカリ性の度合い)などを測定する検査 です。

 この検査では、呼吸状態や代謝バランスを評価することができ、特に 呼吸不全や酸塩基平衡の異常を診断する上で不可欠 です。

 人間の体は、 酸性とアルカリ性のバランス(酸塩基平衡) を維持することで、正常な機能を保っています。しかし、呼吸器疾患や腎臓病、代謝異常などが原因で、このバランスが崩れることがあります。

 例えば、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんでは 二酸化炭素が体内に蓄積 しやすく、血液が酸性に傾くことがあります。また、過換気症候群の患者さんでは 二酸化炭素を過剰に排出 しすぎて、血液がアルカリ性に傾くことがあります。

 このような変化を数値で確認できるのが血液ガス分析です。数値を読み取ることで、患者さんの状態を把握し、適切な対応が可能になります。


2.酸塩基平衡とは?

 人間の体は、エネルギー(ATP)を作る過程で酸性物質を生じます。この酸性物質を放置すると、血液がどんどん酸性に傾き、体に悪影響を及ぼします。酸塩基平衡を維持するために、肺と腎臓 が重要な役割を果たします。酸性物質は常温で気体の揮発性酸と、常温で気体にならない不揮発性酸に分けられます。


① 肺の働き(揮発性酸の排出)

 ・肺は 二酸化炭素(CO₂) を体外へ排出することで、血液の酸性度を調整します。
 ・CO₂は 呼吸 によって排出されるため、呼吸がうまくできないと血液が酸性に傾きます(アシデミア)。


② 腎臓の働き(不揮発性酸の排出)

 ・腎臓は 乳酸やオキソニウムイオン などの不揮発性酸を尿として排出します。
 ・腎機能が低下すると、酸性物質をうまく排出できず、血液が酸性に傾きます(代謝性アシドーシス)。


3.血液ガス分析の基準値

3.血液ガス分析の基準値
項目基準値意味
pH7.35~7.45血液の酸性・アルカリ性のバランス
PaCO₂(動脈血二酸化炭素分圧)35~45 mmHg二酸化炭素の量(呼吸の指標)
HCO₃⁻(重炭酸イオン)22~26 mEq/L腎臓による酸塩基調整の指標
PaO₂(動脈血酸素分圧)80~100 mmHg血液中の酸素量

pHの基準値は 7.35~7.45 ですが、 7.4を基準 にして覚えておくと便利です。
語呂合わせで「異常なし(74)」と覚えるとわかりやすいです。
 • pH 7.35 未満 →アシデミア(酸性)
 • pH 7.45 以上 →アルカレミア(アルカリ性)


4.アシデミア/アルカレミアとアシドーシス / アルカローシスの違い

 血液が酸性またはアルカリ性に傾いた状態を、それぞれ アシデミア・アルカレミア と呼びます。
しかし、 「アシドーシス」「アルカローシス」 という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。

この違いを簡単に説明すると、
 • アシデミア / アルカレミア → 血液の「状態」 を示す
 • アシドーシス / アルカローシス → 血液を酸性・アルカリ性に傾ける「病態」 を示す

例えば、COPDの患者さんで 二酸化炭素がたまり、血液が酸性に傾いている 場合、血液の「状態」 を アシデミア、「原因となる病態」 を 呼吸性アシドーシス と言います。


5.どんなときに血液ガス分析を行う?

5.どんなときに血液ガス分析を行う?

血液ガス分析は、以下のような場面で実施されます。
 ・呼吸器疾患(COPD、喘息、肺炎など)の評価
 ・人工呼吸器管理中の患者さんの状態確認
 ・ショックや敗血症などの緊急時
 ・腎不全や糖尿病ケトアシドーシスの評価
 ・手術前後の酸塩基バランスの確認


6.看護師が血液ガス分析を活用するポイント

 ・pHを見て、アシデミアかアルカレミアかを判断する
 ・PaCO₂の値を確認して、呼吸器の影響をチェックする
 ・HCO₃⁻を確認し、腎臓の影響をチェックする
 ・PaO₂を確認し、酸素供給の状態を把握する

 これらのポイントを押さえることで、 患者さんの状態を素早くアセスメントし、必要な治療や看護ケアにつなげることができます。


まとめ

 • 血液ガス分析は、患者さんの呼吸状態や酸塩基平衡を評価する重要な検査。
 • pH(7.35~7.45) を基準に、アシデミアかアルカレミアかを判断する。
 • PaCO₂(肺)と HCO₃⁻(腎臓) をチェックすることで、どちらの影響で酸塩基平衡が乱れているかを判別できる。
 • 呼吸器疾患や腎不全、ショックの患者さん では、特に血液ガス分析が重要となる。

血液ガス分析の基本を理解し、日々の看護に役立てましょう。