胸腔ドレーンの看護 エアリーク?呼吸性変動って?

 胸腔は、肋骨、肋間筋、胸壁、横隔膜に囲まれた空間であり、この内部には肺や縦隔が存在します。通常、胸腔内には10~15mL程度の胸水が存在し、これは肺の表面にある胸膜が擦れるのを防ぐ潤滑剤の役割を果たします。

 しかし、特定の疾患や治療により、胸腔内に胸水や空気が異常に溜まることがあります。


胸腔ドレーンの目的

 胸腔内に異常な量の液体や気体が貯留すると、肺が圧迫され、換気機能が低下します。そのため、胸腔ドレーンを挿入し、排出を行います。ドレーンの挿入部位は、目的によって異なります。

 • 排気目的(気体を排出):第2~4肋間の前胸部
 • 排液目的(液体を排出):第6~7肋間付近


三連ボトルシステムとは

 胸腔ドレナージでは、三連ボトルシステムが用いられます。これは、吸引圧制御ボトル・排液ボトル・水封ボトルの3つのボトルから成り、それぞれの役割は以下の通りです。

  1. 吸引圧制御ボトル
     o 滅菌蒸留水を貯め、吸引圧を調整する
     o 吸引を行うことで陰圧となり、外気が管を通じて入り、適切な圧力が維持される
     o 一般的に -15~-8mmH2O の範囲で管理
  2. 排液ボトル
     o 胸腔から排出された液体を貯留する
     o 胸腔内は陰圧のため、適切な管理が必要
  3. 水封ボトル
     o 胸腔内と外気を遮断し、一定の陰圧を保つ
     o 肺胞の虚脱を防ぎながら、安全に吸引を行う

胸腔ドレーン挿入後の観察ポイントと看護

1. 再膨張性肺水腫

 ドレナージ開始後に起こりうる合併症の一つ
  • 肺が急速に膨らむことで肺への血流が増加し、毛細血管の透過性が亢進
  • 血管内から肺胞へ水分が漏れ、肺水腫を引き起こす
  • 症状:SPO2の急激な低下、呼吸困難
  • 予防:一回の排液量を1000mL以下に制限し、医師と適切な管理を共有


2.胸腔ドレーン排液異常

 • 液体の排出
  o 手術直後:血性排液(正常)
  o 徐々に淡血性→淡淡血性→漿液性へと変化
  o 突然血性排液が増加した場合、術後出血の可能性
  o 100mL/h 以上の血性排液が持続する場合は早急に報告
 • 気体の排出(エアリーク)
  o 気胸治療時:水封ボトル内の気泡(エアリーク)が正常
  o 排液目的時:エアリークの発生は異常(気胸・接続不良を疑う)
  o 突然のエアリーク消失 → ドレーンの閉塞の可能性があるため、注意
  o 対策:①患者の呼吸状態と全身観察、②ドレーンの接続を確認、③ドレーン接続部が外れた場合は鉗子でクランプし、空気の流入を防ぐ


③ 呼吸性変動の観察

 • 呼吸に合わせて水封ボトル内の水面が上下する現象
  o 吸気時:水面が下降
  o 呼気時:水面が上昇
 • 変動が消失した場合
  o ドレーンの閉塞や再膨張性肺水腫を疑う
  o 吸引圧を一時停止し、変動を確認


まとめ

  • 胸腔ドレーンは目的に応じて挿入部位や観察ポイントが異なる。
  • 再膨張性肺水腫を予防するために、一回の排液量を制限。
  • エアリークの有無を適切に判断し、異常時には原因を特定。
  • 呼吸性変動の消失はドレーン閉塞のサイン。

 このように、胸腔ドレナージの管理には適切な知識と観察力が求められます。

 看護師として、患者の状態をしっかり把握し、安全なケアを提供することが重要です。