糖尿病に必要なインスリン注射の種類やその看護について

糖尿病とは?

糖尿病とは、血糖値を下げる働きをするホルモン「インスリン」の分泌が不足したり、インスリンの作用が弱くなる(インスリン抵抗性が増大する)ことで、慢性的に血糖値が高くなる病気です。

インスリンは膵臓の「ランゲルハンス島」にあるβ細胞から分泌され、血液中の糖を細胞内へ取り込むことでエネルギーとして利用できるようにする働きを持ちます。しかし、何らかの理由でこの機能が低下すると、血液中に糖が過剰に残り、高血糖の状態が続いてしまいます

糖尿病が進行すると、血管や神経が傷つき、腎不全、失明、心筋梗塞、脳梗塞、神経障害などの合併症を引き起こすリスクが高まります。そのため、糖尿病の治療では、血糖値をコントロールすることが最も重要とされています。

糖尿病治療の基本

糖尿病の治療には、食事療法運動療法薬物療法の3つが重要です。

① 食事療法

  • 過剰な糖質・脂質の摂取を控える
  • 食物繊維を多く摂取し、血糖値の急激な上昇を防ぐ
  • 1日の総カロリーを適切に管理する

② 運動療法

  • 適度な運動によりインスリンの働きを改善する
  • 筋肉を増やし、血糖を効率よく利用する

③ 薬物療法(血糖降下薬)

薬物療法は、糖尿病の進行を抑え、血糖値を適正範囲に保つために行われます。薬剤の種類は、以下の4つの作用に分けられます。

  1. インスリンを補充する治療(インスリン注射)
  2. インスリン分泌を促進する治療(経口薬)
  3. 糖の吸収や排泄を調節する治療(経口薬)
  4. インスリン抵抗性を改善する治療(経口薬)

1. インスリンを補充する治療(インスリン注射)

対象:主にインスリン分泌が極端に少ない1型糖尿病患者や、2型糖尿病で進行した患者

インスリンは、血糖値を一定に保つために「基礎分泌」と「追加分泌」の2つの分泌形態があります。

  • 基礎分泌:常に少量ずつ分泌され、血糖を安定させる。
  • 追加分泌:食事後の急激な血糖上昇に対応するために追加で分泌される。

これに対応するために、インスリン製剤は以下の4種類に分類されます。

インスリンの種類

分類主な薬剤作用発現時間持続時間用途
超速効型ノボラピッド、ヒューマログ、アピドラ15~20分2~4時間食直前に投与し、食後血糖をコントロール
速効型ヒューマリンR、ノボリンR30分5~8時間食前30分前に投与
中間型ヒューマリンN、ノボリンN1~2時間12~18時間基礎分泌の補充
持続型ランタス、レベミル、トレシーバ1~2時間24~48時間1日1回の投与で安定した血糖コントロール

2. インスリン分泌を促進する治療(経口薬)

この治療は、膵臓β細胞を刺激してインスリンの分泌を増やす薬剤を使用します。

① SU剤(スルホニル尿素薬)

  • 特徴:インスリン分泌を持続的に促進するが、低血糖リスクが高い。
  • 主な薬剤:アマリール(グリメピリド)、オイグルコン(グリベンクラミド)

② グリニド系薬剤

  • 特徴:速効型で食事直前に服用。SU剤より低血糖リスクが少ない。
  • 主な薬剤:ファステック(ナテグリニド)、グルファスト(ミチグリニド)

③ DPP-4阻害薬

  • 特徴:腸管ホルモン(インクレチン)を保護し、インスリン分泌を促進する。低血糖リスクが低い。
  • 主な薬剤:ジャヌビア(シタグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)、スイニー(アナグリプチン)

3. 糖の吸収や排泄を調節する治療(経口薬)

① α-グルコシダーゼ阻害薬

  • 特徴:小腸での糖の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を防ぐ。
  • 主な薬剤:グルコバイ(アカルボース)、ベイスン(ボグリボース)

② SGLT-2阻害薬

  • 特徴:腎臓での糖の再吸収を抑え、尿として排出させる。インスリン非依存型で低血糖リスクが低い。
  • 主な薬剤:フォシーガ(ダパグリフロジン)、ジャディアンス(エンパグリフロジン)

4. インスリン抵抗性を改善する治療(経口薬)

① ビグアナイド系薬剤

  • 特徴:肝臓での糖新生(とうしんせい)を抑制し、インスリン感受性を高める。
  • 主な薬剤:メトグルコ(メトホルミン)

② チアゾリジン系薬剤

  • 特徴:脂肪細胞のインスリン感受性を改善し、血糖コントロールを助ける。
  • 主な薬剤:アクトス(ピオグリタゾン)

まとめ

糖尿病の治療では、血糖値を適正範囲に維持するために、食事療法運動療法薬物療法を組み合わせることが重要です。

糖尿病治療のポイント

インスリン補充療法:自己分泌が不足している場合に用いられる。
インスリン分泌促進薬:SU剤やDPP-4阻害薬を使用し、膵臓からのインスリン分泌を増やす。
糖の吸収・排泄調整薬:α-グルコシダーゼ阻害薬やSGLT-2阻害薬を用いて、糖の排泄や吸収を調節。
インスリン抵抗性改善薬:メトホルミンやチアゾリジン系薬剤でインスリンの効きを良くする。

糖尿病は適切な治療と生活習慣の改善によって管理が可能です。早期発見と治療を行い、健康的な生活を維持することが大切です。