減塩だけじゃない?看護に活かせる高血圧症予防のための食事療法

 高血圧予防のために「塩分を控えましょう」とよく言われます。厚生労働省の国民健康栄養調査報告によると、高血圧症を抱えている方は約4,300万人にも上り、日本人の約3割に相当します。そのうち、治療を行い改善の兆しがある方は1,200万人、治療を行っているものの改善が見られない方は1,250万人、治療を行っていない方が1,850万人に上ります。


高血圧症とは

 高血圧症とは、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を指します。ただし、病院で測定すると緊張して血圧が高くなる「白衣高血圧症」の方もいるため、自宅で測定した場合に収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上である場合を目安とすると良いでしょう。


高血圧症の主な原因

高血圧症の主な原因

 高血圧の原因には、ストレス、塩分の過剰摂取、肥満、喫煙などが挙げられます。特に塩分の過剰摂取は多くの人に当てはまります。日本高血圧学会では1日6g未満の塩分摂取を推奨していますが、実際の日本人の1日の平均塩分摂取量は約12gです。例えば、ラーメン1杯には5~6gの塩分が含まれており、これだけで1日の推奨量に達してしまいます。

 高血圧は脳疾患や心疾患のリスクを高め、日本人の死因の上位にこれらの疾患が挙げられています。研究によると、収縮期血圧の平均値を4mmHg低下させることで、脳血管疾患の死亡率が男性で8.9%、女性で5.8%低下し、虚血性心疾患の死亡率は男性で5.4%、女性で7.2%低下するとされています。この結果からも、血圧管理の重要性が分かります。


継続可能な食事療法とは

 高血圧予防のためには、一時的な食事制限ではなく、継続可能な方法を取り入れることが重要です。そこで、減塩を無理なく続けるための工夫や、塩分制限だけでなく積極的に摂取すべき食品についてご紹介します。

① 減塩の工夫

 塩分(ナトリウム)は血管内に水を引き込む性質があり、血管内の水分量が増加することで高血圧を引き起こします。そのため、日常的に減塩を意識することが大切です。以下の方法で塩分を抑えつつ、おいしく食事を楽しむことができます。

 • 香辛料を活用する:カレー粉、胡椒、唐辛子、わさび、生姜などを加えると、塩分を減らしても風味を楽しめます。
 • 酸味を利用する:レモン、ゆず、酢などを活用すると、味にメリハリが生まれ、塩分控えめでも満足感が得られます。
 • だしを効かせる:鰹節や昆布、干し椎茸などのだしを活用すると、旨味が増し、塩分を控えても美味しくなります。
 • 減塩調味料を活用する:減塩醤油や減塩味噌などを使うことで、塩分を控えながらも味を保つことができます。

② カリウムの摂取

② カリウムの摂取

 カリウムにはナトリウムの排出を促進する働きがあり、減塩と同様の効果が期待できます。サプリメントなどによって過剰に摂取している場合は除きますが、腎機能が正常な場合にはカリウムの多い食材を多少取りすぎても体に悪影響が出ることは少ないと考えられています。

カリウムを豊富に含む食品には、以下のようなものがあります。
 • 果物:バナナ、みかん、メロン
 • 野菜:ほうれん草、かぼちゃ、ひじき
 • 海藻類:とろろ昆布、干しひじき

 ただし、腎機能が低下している方はカリウムの排出が困難になるため、高カリウム血症のリスクがあります。腎機能に問題がある方は、かかりつけ医と相談しながら適切な摂取量を決めるようにしましょう。

③ 血圧低下に役立つ食品

 • ゴマ麦茶:ゴマペプチドには高血圧予防効果があり、市販のペットボトル飲料(例:サントリーのゴマ麦茶)でも手軽に摂取できます。
 • チョコレート:カカオポリフェノールが血圧低下に効果があるとされており、特にビターチョコレートが推奨されます。ただし、カロリー過多を防ぐため、1日15g程度の摂取が目安です。


まとめ

• 高血圧は万病のもとであり、血圧を4mmHg低下させることで脳・心疾患の発生率を改善できる。
• 減塩を継続する工夫として、香辛料や酸味、だしを活用する。
• カリウムを多く含む食品(果物、野菜、海藻類)を摂取することで、ナトリウムの排出を促進する。
• ゴマ麦茶やチョコレートなどの食品を適量取り入れることで、高血圧予防に役立つ。

無理なく続けられる方法を取り入れながら、食事療法を習慣化することが高血圧予防の鍵となります。

看護の現場でも、患者さんに適切なアドバイスを行い、健康管理をサポートしていきましょう。