今回は「対光反射」について詳しく学んでいきましょう。
看護師として働いていると、先輩から「意識状態を確認するときは、瞳孔の状態も必ずチェックしてね」と言われた経験はありませんか? 瞳孔の大きさや左右差、眼球の動きの異常など、目の観察から得られる情報は多くあります。しかし、目を見て違いがあることには気づけても、その違いが何を意味するのか、初めのうちはなかなかピンとこないものです。
特に、一般病棟では患者さんの意識がはっきりしていることが多く、そもそもペンライトを使って瞳孔を観察する機会自体が少ないかもしれません。しかし、救急領域や脳神経領域では対光反射の確認は非常に重要です。しっかりと理解していないと、異常を見逃してしまう可能性もあります。
そこで今回は、対光反射の仕組みや観察のポイントについて詳しく解説していきます。脳神経系の話になると難しいと感じるかもしれませんが、できるだけ分かりやすく説明していくので、一緒に学んでいきましょう。
まず、眼球や瞳孔がどのように動いているのかを考えてみましょう。
眼球は自分の意思で動かすことができますが、瞳孔は自分の意思で大きさを変えることができません。このような動きには「脳神経」が関わっています。対光反射を理解するには、まず脳神経について基本的な知識を押さえておく必要があります。
脳神経は全部で12対あり、頭頸部の感覚や運動、自律神経の機能に関わっています。以下がその一覧です。
| 脳神経 | 主な働き |
| 嗅神経 | 嗅覚 |
| 視神経 | 視覚 |
| 動眼神経 | 眼球運動、縮瞳(瞳孔括約筋)、上眼瞼挙筋 |
| 滑車神経 | 眼球運動 |
| 三叉神経 | 顔面皮膚の感覚、咀嚼筋の運動 |
| 外転神経 | 眼球運動 |
| 顔面神経 | 味覚、表情筋の運動、唾液・涙液分泌 |
| 内耳神経 | 聴覚、平衡感覚 |
| 舌咽神経 | 味覚、嚥下、唾液分泌 |
| 迷走神経 | 嚥下、発声、内臓機能 |
| 副神経 | 顎部の運動 |
| 舌下神経 | 舌の運動 |
これらのうち、対光反射に関わるのは「視神経」と「動眼神経」の2つです。
対光反射とは、目に光を当てたときに瞳孔が収縮する反射のことです。この反射は、瞳孔の大きさを調整することで網膜に入る光の量を調節する役割を果たしています。
正常な瞳孔の直径は2.5~4.0mm程度で、左右差はありません。
間接対光反射は、左目の視神経から右のエディンガー・ウェストファル核(E・W核)を経由して、右の動眼神経へ信号が伝わることで起こります。
視神経に影響を及ぼす疾患には、以下のようなものがあります。
例えば、左の視神経が障害された場合、左目に光を当てても視神経が刺激を伝えられないため、左目の直接対光反射も右目の間接対光反射も消失します。
| 対光反射の状態 | 結果 |
| 左目の直接対光反射 | 消失 |
| 右目の間接対光反射 | 消失 |
動眼神経が障害される疾患には、以下のようなものがあります。
特に脳ヘルニアでは、対光反射の観察が極めて重要です。脳圧が上昇すると、動眼神経が圧迫され、対光反射が鈍くなったり、瞳孔不同(左右の瞳孔の大きさが異なる)を引き起こすことがあります。
例えば、左の動眼神経が障害された場合、左目に光を当てても瞳孔括約筋に信号が届かないため、左目の直接対光反射のみ消失します。
| 対光反射の状態 | 結果 |
| 左目の直接対光反射 | 消失 |
| 右目の間接対光反射 | 正常 |
対光反射が消失していても、必ずしも脳疾患が原因とは限りません。
白内障手術後の患者さんは、眼内レンズを入れ替えているため、瞳孔の収縮が遅くなったり、収縮しなくなることがあります。そのため、患者さんの既往歴を把握することが重要です。
オピオイドなどの鎮痛薬を使用している患者さんでは、縮瞳が見られることがあります。神経学的な異常所見がないかも併せて観察することが大切です。
対光反射の理解を深めることで、異常の早期発見につなげることができます。日々の観察に役立てていきましょう!