
敗血症(Sepsis)とは、感染症による全身性の炎症反応が過剰に働き、臓器障害を引き起こす状態を指します。敗血症が進行し、輸液を大量に投与しても血圧が回復しない状態や、乳酸値の上昇を伴う場合は「敗血症性ショック(Septic Shock)」と呼ばれ、生命の危機に直結します。
ここで重要なのは、「ショック=低血圧」とは限らないという点です。ショックとは、組織への酸素供給が不十分な状態を指し、低血圧だけでなく、細胞レベルでの代謝異常が進行していることが特徴です。

敗血症の治療は時間との戦いです。迅速な介入が必要であり、特に初期治療は以下の3つが重要になります。
敗血症の原因は細菌感染によるものが多いため、適切な抗生剤の投与が治療の最優先事項となります。しかし、感染源となる菌を特定する細菌培養検査には2~4日程度かかるため、治療を待つことはできません。
抗生剤の長期投与は、耐性菌の発生を引き起こすリスクがあるため、培養結果が判明し次第、適切な抗生剤へ変更することが重要です。
敗血症では全身の血管透過性が亢進(こうしん)し、組織への酸素供給が低下するため、十分な酸素供給が必要となります。
低酸素の兆候を見逃さず、迅速な対応が必要です。
敗血症では、血管透過性の亢進により血管内の水分が外へ漏れ出すため、血圧低下(循環不全)が起こります。そのため、十分な血液循環を維持するために大量輸液が必要になります。
30ml/kg以上の輸液を投与(生理食塩水、乳酸リンゲル液などの晶質(しょうしつ)液が第一選択)
大量輸液を行っても血圧が改善しない場合、昇圧剤(ノルアドレナリン)を投与します。
ノルアドレナリンは、α1受容体を刺激して血管を収縮させ、血圧を上昇させる薬剤です。これにより、血管拡張によって低下した後負荷(こうふか)を回復させます。
末梢血管収縮により、皮膚血流が低下し皮膚トラブルの原因となるため注意。
敗血症の初期治療は迅速な対応が求められます。特に、以下のポイントが重要です。
広域抗生剤を早期投与 → 原因菌が判明次第、適切な抗生剤へ変更。
低酸素の兆候(SpO₂低下・頻呼吸・努力呼吸)を見逃さず、適切な酸素投与を行う。
血管収縮作用により血圧を安定させるが、皮膚トラブルに注意。
敗血症性ショックは一刻を争う状態です。看護師は治療の目的を十分に理解し、迅速な判断と対応が求められます。