今回は「高カリウム血症」について詳しく解説していきます。
高カリウム血症は、血液中のカリウム濃度が異常に高くなる状態を指しますが、なぜこの状態が危険なのか、どのような症状が現れるのか、どのように治療するのかについて、わかりやすくお話ししていきます。

まず、「カリウム」という成分について簡単に説明しましょう。
カリウムは、私たちの体にとって非常に重要なミネラルの一つであり、以下のような役割を担っています。
カリウムは、食事によって摂取された後、小腸で吸収され、主に腎臓を通じて尿として排泄されます。
正常な血清カリウム濃度は3.5~5.0mEq/Lの範囲とされており、この値を超えて5.5mEq/L以上になると「高カリウム血症」と診断されます。

高カリウム血症の原因は、大きく分けて以下の4つのパターンに分類されます。
血液検査で高カリウムと診断されることがありますが、必ずしも体内のカリウムが実際に増えているとは限りません。その代表的な原因が溶血です。
採血時に血液の流れが悪く、強く吸引した場合、赤血球が壊れやすくなります。
赤血球が壊れると、その中に含まれているカリウムが血液中に流出し、実際のカリウム濃度よりも高い値が表示されることがあります。
このようなケースでは、再採血を行い、正確な値を確認することが重要です。
カリウムは通常、細胞内に多く存在し、細胞外には比較的少ない状態を保っています。
しかし、何らかの理由で細胞内のカリウムが外に流出すると、血液中のカリウム濃度が上昇します。
例えば、以下のような状況でカリウムの移動が起こります。
これらの状態では、細胞の内部から外部にカリウムが漏れ出し、高カリウム血症を引き起こすことがあります。
通常、健康な人では腎臓が余分なカリウムを排出するため、食事などでカリウムを多く摂取しても問題は生じにくいです。
しかし、短期間に大量のカリウムを摂取すると、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
特に、カリウム補充剤やカリウムを多く含む食品(バナナ、ほうれん草、じゃがいもなど)を過剰に摂取した場合には注意が必要です。
カリウムは腎臓で調節され、尿として体外に排出されます。そのため、腎機能が低下するとカリウムの排泄が不十分となり、血液中のカリウム濃度が上昇してしまいます。
腎不全や慢性腎臓病(CKD)などの病気がある場合、高カリウム血症のリスクが高まります。
また、一部の降圧薬(ACE阻害薬やARBなど)も腎臓からのカリウム排泄を抑制し、高カリウム血症の原因となることがあります。

では、血液中のカリウム濃度が高くなると、どのような症状が現れるのでしょうか?
この中でも最も注意が必要なのが「致死性不整脈」です。
心臓は、ナトリウムやカリウムのバランスによって正常に動いていますが、高カリウム血症になると、心臓の電気的な活動に異常が生じ、最悪の場合、心停止や突然死を引き起こす可能性があります。
心電図では、血清カリウム値が6mEq/L以上になると特徴的な変化が現れ、最終的には心室細動や心停止に至ることがあります。

高カリウム血症が確認された場合、以下の治療法が行われます。
カリウム値を直接下げるわけではありませんが、心臓の保護作用があり、致死性不整脈の予防に用いられます。
インスリンを投与することで、カリウムを細胞内へ移動させる方法です。
ただし、低血糖を防ぐためにブドウ糖も同時に投与します。
腎臓からのカリウム排泄を促進するために使用されます。
特に腎機能がある程度保たれている患者さんには有効です。
重症の場合、血液透析によってカリウムを直接除去する治療が行われます。
これは、腎不全の患者さんなどに特に有効な方法です。
高カリウム血症は、放置すると命に関わる可能性がある病態です。
症状がない場合でも、血液検査で高カリウム値が確認された場合には、速やかに原因を特定し、適切な治療を行うことが重要です。
カリウム値の管理は、特に腎臓病や糖尿病を抱えている方にとって重要なポイントとなります。
日常生活の中で食事や薬剤の管理を意識し、健康的な生活を心がけましょう。