冠動脈造影検査(GAG)と看護の役割
はじめに
冠動脈造影検査(GAG)は、急性心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患が疑われる際に行われる心臓カテーテル検査の一つです。
本記事では、GAGの概要、検査手順、看護の役割について詳しく解説します。
冠動脈造影検査(GAG)とは
GAGは、造影剤を用いて冠動脈の血流の状態を確認し、狭窄(血管の詰まり)の有無を評価する検査です。心筋梗塞などの診断や治療方針の決定において重要な役割を果たします。
1. 心臓カテーテル検査の種類
心臓カテーテル検査には右心カテーテルと左心カテーテルがあります。
- 右心カテーテル検査:静脈を経由してカテーテルを挿入し、心臓や肺動脈の血圧測定や肺動脈の造影を行う。
- 左心カテーテル検査:大動脈や僧帽弁、大動脈弁の状態を確認し、冠動脈の状態を評価する。GAGはこの左心カテーテル検査に分類されます。
GAGの検査方法
検査では、動脈を穿刺してカテーテルを挿入し、大動脈を経由して冠動脈に到達させます。
その後、造影剤を流してX線撮影を行い、狭窄の有無を確認します。
1. カテーテルの挿入部位
カテーテルは以下の動脈から挿入されます。
2. 検査前の準備
① アレンテスト(橈骨動脈穿刺の場合)
橈骨動脈からカテーテルを挿入する際、尺骨動脈の血流が十分かを確認するためにアレンテストを行います。
- 方法:橈骨動脈と尺骨動脈を同時に10秒間圧迫し、尺骨動脈の血流回復を確認。
- 判定:血色が速やかに戻れば正常。血色が戻らない場合、穿刺部位の変更が検討される。
② アレルギーの確認
- 造影剤はヨード化合物でできており、安全性が高いものの、稀にアレルギー反応を起こす可能性があります。
- アレルギー反応の症状:掻痒感、血圧低下、頭痛、呼吸困難など。
- 事前に造影剤アレルギーの有無や過去の使用歴を確認し、必要に応じて医師へ報告。
③ 内服薬の確認
- 抗血小板薬・抗凝固薬:検査時の出血リスクを高めるため、医師の指示で一時的に休薬。
- ビグアナイド系糖尿病薬(メトホルミンなど):造影剤と相互作用し、腎障害(乳酸アシドーシス)のリスクがあるため、48時間の内服禁止が推奨される。
GAGの検査結果と治療方針
① 狭窄の評価
冠動脈の狭窄はパーセンテージ(%)で表され、75%以上の狭窄があると「有意狭窄」と判断されます。この場合、PCI(経皮的冠動脈形成術)などの治療が検討されます。
② AHA(米国心臓協会)の分類 冠動脈の部位は1~15番の番号で示され、電子カルテや申し送りでも使用されます。検査結果を適切に理解し、申し送りに活かすことが重要です。
GAGの合併症と看護
検査後は以下の合併症に注意が必要です。
1. 出血
- 検査後の穿刺部位からの動脈性出血や血腫が発生することがあります。
- 特に大腿動脈穿刺の場合、腰背部痛や血圧低下、心拍数上昇があれば後腹膜血腫の可能性があり、迅速な対応が必要です。
- 対応:
- 穿刺部位を圧迫して止血
- バイタルサインの測定
- 医師への報告
- 必要に応じてCT検査を実施
2. 造影剤腎症
- ヨード造影剤投与後、72時間以内に血清クレアチニンが0.5mg/dl以上、または25%以上増加した場合に定義されます。
- 造影剤が腎臓に負担をかけるため、腎機能の低下している患者は特に注意が必要です。
- 予防策:
- 輸液(生理食塩液)の投与で腎血流を維持
- 水分摂取の促進
看護師の役割
① 検査前
- 患者の不安を軽減するための説明と指導
- アレルギーや内服薬の確認
- アレンテストの実施(橈骨動脈穿刺の場合)
② 検査中
- 患者のバイタルサインをモニタリング
- 造影剤投与後のアレルギー反応の観察
- 合併症の早期発見と迅速な対応
③ 検査後
- 出血の有無や穿刺部位の確認
- 腎機能低下リスクのある患者の水分摂取の促し
- 安静度の確保と患者の苦痛軽減
まとめ
冠動脈造影検査(GAG)は、心筋梗塞や狭心症の診断に不可欠な検査です。
検査前の準備やアレルギー・内服薬の確認、合併症のリスク管理を徹底することが、安全で円滑な検査の実施につながります。
看護師として適切な知識と観察力を持ち、患者の不安を軽減しながらケアを行いましょう。