WAIS検査でわかること、わからないこと

 WAIS(ウェクスラー成人知能検査)は、代表的な心理検査の一つです。近年では、発達障害の診断に関連する検査として認知されることも増えてきました。

しかし、この検査には得意な部分と不得意な部分があり、すべてを明確に診断できるわけではありません。本記事では、WAIS検査でわかること、そしてわからないことについて詳しく整理し、検査を受ける際のポイントを解説します。

WAIS検査でわかること

WAIS検査でわかること

WAIS検査では、主に以下のようなことがわかります。

  • IQ(知能指数)
  • 得意分野と苦手分野
  • 得意・苦手のばらつきの程度

1. IQ(知能指数)

WAIS検査の基本となるのがIQ(知能指数)の測定です。IQの平均は100とされ、一般的に95%の人が70~130の範囲に収まるとされています。IQの数値によって、知的能力の全体的な傾向を把握できます。

2. 得意分野と苦手分野

WAIS検査では、IQだけでなく、認知機能を4つの領域に分けて測定します。

  1. 言語理解(VCI):言語の理解力や語彙力を測る
  2. 知覚推理(PRI):視覚的な情報処理や空間認識能力を測る
  3. ワーキングメモリー(WMI):短期記憶や情報処理能力を測る
  4. 処理速度(PSI):視覚的な情報処理のスピードを測る

この4つの指標をもとに、どの分野が得意でどの分野が苦手なのかが明確になります。例えば、「言語理解が強いが、処理速度が遅い」という場合、会話や文章理解は得意でも、素早い作業が苦手である可能性が考えられます。

3. 得意・苦手のばらつきの程度

WAIS検査の特徴の一つとして、「得意分野と苦手分野の差」を分析できる点があります。このばらつきが大きいと、発達障害の可能性を示唆することがあります。例えば、言語理解が非常に高いのに処理速度が極端に低い場合、日常生活の中でストレスを感じやすい傾向があるかもしれません。

ただし、WAIS検査の結果だけで発達障害の診断が確定するわけではありません。他の心理検査や医師の診察と組み合わせることで、より正確な診断につなげることが重要です。

WAIS検査の活用方法

 WAIS検査の結果は、以下のように活用できます。

  1. 発達障害の診断補助
    • 自覚症状だけではわからない得意・不得意を客観的に分析し、診断の精度を高める。
  2. 自己理解と生活改善
    • 自分の認知特性を把握し、得意なことを活かした働き方や苦手を補う方法を考える。

例えば、「ワーキングメモリーが低い」と診断された場合、メモを活用したり、タスクを細かく分けて進める工夫が有効です。一方、「処理速度が速いが言語理解が低い」場合、会話や文章の理解に時間をかけることで、より円滑なコミュニケーションが可能になります。

WAIS検査でわからないこと

WAIS検査でわからないこと

 WAIS検査は知能の特性を測る優れた検査ですが、以下のようなことはわかりません。

  • 発達障害の確定診断
  • 人格、性格、個性
  • 想像力など、数値化しにくい能力

1. 発達障害の確定診断

WAIS検査の結果だけでは、発達障害の診断はできません。あくまで「認知の特性」を示すものであり、発達障害の診断には、臨床心理士や医師による診察や、他の心理検査、問診などが必要です。

2. 人格・性格・個性

WAIS検査は「問題を解く能力」を測るものであり、性格や個性を直接測定するものではありません。そのため、「内向的か外向的か」「協調性が高いか低いか」といった性格傾向はこの検査からはわかりません。

3. 想像力や創造的な思考力

WAIS検査は、基本的に数値化できる認知能力を測るものです。例えば、芸術的な感性や独創的な発想力など、定量的に評価しづらい能力はこの検査では把握できません。

WAIS検査を受ける際の注意点

 WAIS検査を受けるにあたって、以下の点を理解しておくことが大切です。

  1. 万能ではない
    • WAIS検査だけで全てを判断することはできず、補助的な検査の一つとして活用するのが望ましい。
  2. 発達障害の診断には他の情報が必要
    • 診断には問診や生活の様子、他の心理検査と組み合わせることが重要。

まとめ

  • WAIS検査ではIQのほか、得意分野・苦手分野、ばらつきの傾向がわかる
  • 発達障害の診断補助や、自己理解・生活改善に役立てることができる
  • ただし、単独では発達障害の確定診断はできず、性格や創造力などの側面は測定できない

 WAIS検査は、認知能力を詳細に測ることができる有用な検査です。他の心理検査や診察と組み合わせることで、発達障害の診断補助や自己理解に役立ちます。ただし、万能な検査ではないため、結果を過信せず、適切に活用することが大切です。

検査を受けるかどうか迷っている方は、まずは専門家に相談し、自分にとって最適な活用方法を考えてみましょう。