現代社会において、仕事や人間関係などのストレスにより「適応障害」と診断され、休職を余儀なくされる方が増えています。適応障害は「うつ病」と混同されることがありますが、その性質は異なります。適応障害は、脳の機能的な問題というよりは、特定のストレスに対する過剰な反応によって引き起こされる点が特徴です。そのため、休職中の過ごし方や復職に向けた準備も、うつ病とは異なるアプローチが求められます。
本記事では、適応障害で休職した際に取り組むべきポイントを、療養の各段階に分けて解説します。
休職直後は、心身の疲労が蓄積しているため、十分な休養を取ることが最優先です。まずは、日々の生活リズムを整えながら、心と体を休めることに集中しましょう。適応障害の場合、うつ病に比べて回復が比較的早い傾向にあるため、状態が改善してきたら徐々に活動を増やすことが大切です。
・ 前期(休職直後):まずはしっかりと休むことが最優先です。好きなことをしてリラックスし、ストレスから解放される時間を作りましょう。十分な睡眠を確保し、無理に何かをしようとせず、心身を回復させることに専念します。
・ 中期(回復期):少しずつ体を動かし、日常生活のリズムを取り戻していきます。軽い運動(散歩やストレッチなど)を取り入れることで、心身のリハビリにもつながります。また、短時間でも読書や趣味など、好きなことに取り組むことで気分の浮き沈みを和らげる効果があります。
・ 焦らずマイペースで:適応障害は回復が早いケースが多いとはいえ、焦って無理をすると再発のリスクがあります。無理なく進められるペースを意識しながら、小さな目標を設定して進めていくのが良いでしょう。

休職期間が終盤に差し掛かると、復職を見据えた準備が必要になります。特に、休職前にどのようなストレス要因があったのかを振り返り、対策を考えることが重要です。
・ 仕事上のストレス要因は何だったのか:上司や同僚との人間関係、業務量の過多、職場の環境など、具体的な要因を洗い出しましょう。
・ ストレスの受け止め方を見直す:自分自身の考え方の癖(完璧主義、過度な責任感など)が影響していることもあります。特に、「自分が頑張らなければならない」といったプレッシャーが強い場合、それを緩和する考え方を取り入れることが重要です。
ストレスとうまく付き合うためのスキルを身につけることで、同じ状況に直面した際の対応力を高めることができます。
・ 認知行動療法(CBT):考え方の癖を修正し、ストレスに対する柔軟な捉え方を養う手法です。例えば、「完璧にやらなければならない」という思考を、「7割できれば十分」と柔軟に捉え直す練習を行います。
・ マインドフルネスの実践:自分の感情や体の状態を客観的に観察し、ストレスを適切に受け流すトレーニングを行います。
・ 適度な運動や趣味の活用:ストレス発散のために、リラックスできる活動を日常に取り入れることも有効です。
復職に向けて、職場との調整も非常に重要です。休職前と同じ環境に戻る場合、再び同じストレスにさらされる可能性があります。そのため、どのように対応するかを事前に考えておく必要があります。
・ 復職後の業務内容を調整する:負担の大きい業務を軽減してもらう、勤務時間を短縮するなどの調整を会社と相談しましょう。
・ 異動を検討する:どうしても現在の部署ではストレスが軽減されない場合、異動を申し出るのも選択肢の一つです。
・ 転職を視野に入れる:職場環境が改善されず、ストレス要因が根本的に解消されない場合、転職も検討しましょう。

・ 定期的に自分の状態を振り返る:適応障害は再発する可能性があるため、自分のストレスレベルを定期的にチェックしましょう。
・ 上手に周囲に相談する:職場の信頼できる人に相談したり、カウンセリングを利用することで、心の負担を軽減できます。
適応障害はストレス反応の側面が強いため、うつ病ほど薬物療法が必要になることは少ないとされています。しかし、症状が強く出ている場合は、抗不安薬や軽めの抗うつ薬が処方されることもあります。服薬の必要性については、主治医と相談しましょう。
適応障害はストレス反応が原因で発症する
療養の前期・中期は休養とリハビリをバランスよく行う
復職に向けた準備として、ストレス要因の分析と対処技術の習得が重要
会社との調整を行い、必要に応じて異動や転職も検討する
適応障害は薬の必要性が比較的少ないが、必要な場合は医師と相談する